訪問者の規定

初めてのことだが、テレビの影響もあり訪問者が増えている。
訪問者は、海外体験を求めてくる若者と中高年にわかれるが、中高年の場合はともかく、日本の若者たちにとっても、
日本の未来を考えてもらうためにも、ボランティアとして長期滞在を可能な限り受け入れようと思っている。
しかし、正直に言って、言葉も出来ないし、現地での危険度がわからないのでスタッフも心配し,当惑して、
かんじんの子どもたちの世話や現地活動が阻害されるという意見が出てきた。
テレビで放映された影響もあるが、テレビと現実との間には、危険度も含めて隔世の違いがある。
MCLはもともと訪問者のための場所では無く、恵まれない子どもたちが、安心して生活し学校に通える場所だ。
訪問者の増加に対応するために、半年ほど子どもたちに与える影響などを観察した後に、
スタッフたちが会議を開き、ソーシャルワーカーも交えて、訪問者のための規定を作ることにした。

 

 訪問者の手引き

ガイドラインとポリシーについて

ミンダナオ子ども図書館は、日本のNGOではなくフィリピンの現地法人NGOであり、
政府機関である福祉局からの要請指導も受けいれつつ、マネージメントは現地役員が
現地スタッフやMCLソーシャルワーカーとともに行っています。


 MCLでの主役は子どもたちです。
私たち現地スタッフは、子どもたちのために仕事をしています。

 訪問者の存在や行動が、子どもたちにマイナスの影響を与えるといった判断
また子どもたちを救済する活動になんらかの支障が出るといった状況判断が、
子どもたち自身や現地スタッフから出された場合は、
現地役員が即会議を開き対応が検討されます。
指示や対応が出された場合は、従ってください。

 訪問希望者が増えていますが、
現地スタッフは、子どもたちへの活動に全力を注いでいますので、
必ずしも訪問者の欲求に答えきれるとは限りません、
現地では、支援寄付者よりも現地の子どもたちが、常に優先されること
をご承知おきください。
マネージメントを含む現地活動は現地スタッフが責任を持ち、
日本人は現地では松居友を含め脇役です。
(松居友は、創設者であるのですが、ディレクターという地位は脇役です。
運営主役はプレシデントを始めとするオフィサーで、かつてのスカラーです。)

  ただ、治安状況にもよりますが、
出来るだけ訪問者は、スタッフの活動に同行し、
MCLの現地活動が見られるように配慮いたします。

 MCLは、活動範囲も広大で危険地域も多く、戦闘や戦争もあり、
必ずしもどこにでもお連れすることはできません
リゾートや遊び気分で来られた方は、失望なさることでしょう。
ただし、本格的な体験やNGO活動を見たりすることを希望する方々、
将来その経験を仕事に生かしていきたいという若者たち
心から子どもたちと友達になりたいと願っている中高年や若者たちにとっては
大きな喜びとなり、かけがえのない体験となるでしょう。
そのような訪問者の方々の思いや若者たちの将来を考えて、
可能な限りの事は相談の上で
要望にお応えしたいと思っています。

 すでにスカラシップ支援をしてくださっている方々の場合は、
現地の情勢や置かれている子どもの状況如何にもよりますが、
支援している子の家にお連れいたします。

 


 現地スタッフが検討し制作した
訪問者のためのガイドラインとポリシー


Ⅰ,訪問者は、MCLのスタッフやスカラー(奨学生)の同行無く、むやみに敷地外に出ることは出来ません。
 (誘拐の危険があるためなど・・・)


2,訪問者は、MCLのスタッフの同行無くして、町や遠隔地に行くことは許されません。
  町へ行きたいときには、最低1~2名のスタッフと複数のスカラーが同行。
  セキュリティーをかねて男子を含むほうが良い。

3,訪問者の個人の持ち物、とりわけ携帯電話、iPhone、ラップトップ、カメラなどの電子機器を
安易に子どもたちに貸さないでください。子どもの心理的発達に、読書と外遊びが優先されるため。

4,訪問者の居室に、スカラーを入れないでください。

5,訪問者は、特別な関係(恋愛関係など)をスカラーと持つことは許されない。
  帰国後フェイスブック、メールなどでの交流をしないでください(大学生は除く)。
  日本に来たら良いなどと誘われて、高校を中退したままダバオやマニラの海外リクルート(人身売買も多い)
  に応募して行方がわからなくなった子もいます。
  こちらでの高校生は、日本の中学生に相当します。また山の子たちは、信じられないくらい無知で素朴です。
  
MCLは、本館は女子寮、男子寮は大学寮と併設にするように、福祉局から指導を受けています。
  高校生以下の恋愛関係を禁止、発覚した場合は保護者の元へ帰り、スカラシップは継続するものの
  保護者の管理下に置くことになっています。
  大学生およびスタッフは、恋愛を許可されていますが、MCL内部では恋愛行為が禁止。
  婚約
や既婚の場合は別で、これらは、スカラー自身が自主的に学生総会で決めた事でもあります。

6,訪問者は、スタッフ同様に、敷地内での飲酒禁煙を守ること。室内でも同様です。

7、敷地内で、上半身裸体またはセクシーな服の着用は控えること。

8,土日や平日などに、買い物などで町に行きたい場合などは、数日前にスタッフに申し出ること。
  仕事や私用を調整してスタッフが同行しなければならないためです。

9,男性の訪問者は、男子スカラー同様に、6時以降は高校大学女子スカラーの泊まる
  宿舎2階に入らないこと。

10,イスラム教徒がいるために、台所では、豚肉または冷凍豚肉を料理しないこと。

11,原則的に訪問者は、第2棟の二階に滞在するが、食事はどこでもかまいません。
   食事は、粗食ですが、出来るだけ子どもたちと一緒に食べてください。
   フィリピンの習慣である、主人と使用人、外国人と現地人、金持ちと貧困層が
   テーブルや食事内容を変えるという風習をMCLでは適応しません。
   週に数回ぐらい、町で食べるのはかまいませんが、スタッフ同行でお願いします。

12,訪問者がスタッフと活動地域に行く場合も、決してスタッフから離れないこと。
   敷地外の場合は、トイレに行くときも声をかけ、出来れば同行してもらうこと。

13,以上の事が守れない場合。また、子どもに対する肉体的、精神的にマイナスの影響を与える行為がある、
   とスタッフが判断した場合。スカラー(奨学生)から問題がスタッフに提起されてきた場合など、
   スタッフ会議が開かれ役員の裁決により、場合によっては退去などをしていただくことも
   あり得ることをご承知おきください。

14,戦闘、戦争、爆弾事件や誘拐事件の頻発など、ミンダナオの情勢が悪化し、
   訪問者の面倒を見る余裕が無い、とスタッフが判断したときも、
   退去していただくことがありえることもご承知おきください。


滞在者は、ビジター(短期訪問者)、ボランティア(長期滞在者)、
ボランティアスタッフの3種に分けられています。

Ⅰ:ビジター(短期訪問者)とボランティア(長期訪問者)の場合:

  ビジターとは:
滞在20日間以内(ビサ無し渡航可)の訪問者を、MCLではビジターと呼びます。
受け入れ人数は状況によって逐次判断します。

  ボランティアとは:
滞在20日間以上の長期滞在者をボランティアと呼びます。おもに若者たちを対象に考えています。
ボランティアの滞在限度期間は、例外をのぞき3ヶ月を上限とし、現地受け入れ人数は、
常時最大で2~3名と考えます。

    ビジターおよびボランティア受け入れの目的
子どもたちと触れあう事によって友情をはぐくむこと。
可能な限度でスタッフと活動地域に同行し、子どもたちの背景を知り、貧困の現実を見て理解すること。
そうした体験を経歴として、将来の仕事や人生で役立ててもらうこと。

他の若者たちにも機会を提供するために、原則ボランティア体験は一人一回限りとします。
ただし、ビジターとボランティアスタッフの場合は別で再訪は可能です。

Ⅱ:ボランティアスタッフの場合:

日本および現地に滞在しながら、長期にわたりMCLの活動を根本的にサポートしてくださっている方々を、
ボランティアスタッフと呼びます。

ボランティアスタッフは、おもに日本および現地で長年MCLのために活動をしてくださっている方々で、
MCLから以来、または希望を受け付けた後に、MCLの役員が選択決定します。
日本のボランティアスタッフと現地ボランティアスタッフにわかれますが、

現地ボランティアスタッフは、常駐最大2名程度を考えています。
現地ボランティアスタッフは、現地スタッフと日本人スタッフの合意で滞在者を選択し、
本人と相談のうえに仕事や滞在期間を決定しています。
日本のボランティアスタッフの場合は、こちらの状況をよく理解されているので、
現地滞在などは、別途スタッフたちが話し合い受け入れます。

註:日本人は現地では特例を除いて(医師や看護師。海外における活動経験が長い人など)現地での活動は難しく、ボランティアスタッフの仕事は、おもに対日本の作業を手伝う程度だと認識してください。 
 


ぼく自身の体験から 

現地に足を踏みこんで3年目、ミンダナオ子ども図書館を始めたころ、
読み聞かせはおろか、医療の件で医師と交渉することも、ましては法人登録をすることも、
それどころか日々の生活すら一人では出来ない自分を見て、ため息が出たのを覚えている。

「ああ、言葉もわからないし、まるで小学校3年生か4年生程度だなあ・・・」
 薪を使っての料理も出来なければ、井戸での洗濯もできないのだから。
 当時高校生だった若者たちを学校に行かせてあげながら、
彼らに養ってもらっている自分が情けなくなり、せめてものお手伝いだと思って、
彼らが学校に行った後に、感謝の気持ちをこめて便所の掃除をしていたことを思い出す。

 出来たことと言えば、読み聞かせに行くときなどの車の運転と荷物運び。
ほぼ10年近く自分一人で運転していた。だから今でもスタッフたちには、
MCLでは、運転手という仕事は無いよ、と言っている。
運転は出来るスタッフがやれば良い。

 何か(ためになることを)やろうと意気込んで、ボランティアを夢見てくると、失望が待っている。
青年海外協力隊の若者が、半年ほど落ち込む理由だ。

落ち込んでいると、周りのフィリピン人たちが心配して声をかけてくる。
 「どうしたの、だいじょうぶ」
 「これでも食べない」
 「良かったこっちに来て、いっしょに食べよう」
 仕事もしないで、お喋りしてばかりいるフィリピン人・・・と軽蔑していたのに、
落ちこんでいるときにひょんなことで救われて、心が開いて友達になり、
それからようやく本当の仕事が始まった。
これは、実際に青年海外協力隊の若者から聞いた言葉。

 そして、ようやく仕事が始まるかなあ・・・と思った頃、日本に帰っていく。
 MCLに来たとしても、同じだろう。ボランティアだけでは何も出来ない。
 だからといって、何もしないで食って寝ていれば、単なる穀潰しの居候にすぎない。
 MCLでは、仕事は言われてやるものではない、自分で作れという考えだから、
仕事を与えるわけでも無く、本人が何をやりたいか言い出し、活動し始めるまでだまってみている。
(会社でも、仕事は与えられるものでは無く、自ら創り出すものだ!)
ただ、現場に行く機会はなるべく作り、現地で見たり体験したことが、
ここでは発揮できなくても、将来仕事をしていくうえで役に立てば良いと考えている。






 
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