フィリピンの最高峰2945m. マノボの聖地 アポ山がその姿を開く時 |
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ミンダナオ子ども図書館の 2階から見た夕刻のアポ山 ![]() |
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この山の向こうから 日の出が拝める。 刻々と表情を変えつつ 終日私たちを見下ろしている アポ山! ![]() アポとは、長老の意味で、 地元の人々は、 たくさんの神々や妖精が棲む 神聖な山としてあがめている。 ![]() 2年前(2006年)に初めてフィリピン人が エベレスト登頂に成功してから、 ミンダナオの山の原住民の人々は、 エベレストが世界一の高峰 と認めるようになったが、 私がミンダナオに来た頃は、 世界の最高峰はアポ山(2945m) であると言われていた。 ![]() ミンダナオの人々は、 先住民はもちろんのこと、 イスラム教徒もキリスト教徒も 大人も子どもも、 自然の中には、妖精や精霊、 お化けや天使が住んでいて、 ![]() しばしば夜空を 鳴きがながら飛んでいたり、 大きな木から白い姿で 現れたりすると信じている。 ![]() ミンダナオ子ども図書館でも 夕方ポーチで、 太陽がアポ山の向こうに 沈んでいくのを見ていると、 とつぜん隣にいた子が、 ビックリした声をだして叫ぶ! ![]() 「パパとも! ワクワクが飛びながら啼いているよ!」 そう言って、 ぼくの腰に抱きつく。 ![]() MCLには、岩がいくつか 地面から顔を出しているけれど、 そこは、妖精たちの住み家だという。 ![]() 村人たちは夕方、 その横の小道を通るときは、 必ず岩に向かって 「タビタビポー!タビタビ!」 と言って通る。 岩の家に住んでいる妖精たちに 「ちょっとすみません、とおしてねー!」 と言っているのだ。 ![]() そんな妖精たち、 死者やお化けたちが 集まってくる故郷が、 アポ山なのだ。 ![]() アポ山がなぜ、 神聖な山なのかというと、 そこが、死者の霊などが集まり、 天界へ飛び出す 神聖な場所だからだ。 ![]() それゆえに、人々は、 世界一高い山は、 アポ山であると信じている。 ![]() フィリピン人による 初のエベレスト登頂がなしとげられて それが、学校で 子どもたちに伝えられた。 ちょうどその頃、 山でおままごとをしている子たちに、 「世界で一番高い山、知っている?」 と聞くと、すぐに 「アポ山!」と答えた。 けれど、そのなかの一人が、 「違うみたいだよ。 エベレストだって先生が言っていたよ。」 と言った。 ![]() そこで、 「エベレストってどこにあるの?」と聞くと。 「アポ山の裏側にあるみたい!」と答えた。 ![]() 電気もない故郷の人々にも、 エベレストが世界の最高峰だと、 口伝えで伝わり始めているようだ。 アポ山は、世界第二の高峰として 人々の心に生きている。 ちなみにエベレストは、 このアポ山の後ろに 控えているのだという。 ![]() フィリピンの最高峰、アポ山の登山は、 しばしば訪問してきた若者たちと、 現地が夏休みの4,5月に MCLのハイスクールの 卒業生たちといっしょに、 山頂まで登った。 ![]() 現地の子たちにとっては、 アポ山に登れるなんて、 想像を絶することなのだ。 それゆえ、 ハイスクール卒業のお祝いとして、 希望する子たちと登ることにしたのだ。 ![]() アポ山は、 登山ツアーもダバオからがほとんどで、 そちらの道は完備しているが、 山頂を挟んで反対側の町キダパワンは、 ジャングルも温泉も湧き出していて 素晴らしい場所だけれど、 観光地として整備していない。 (2020年の最近は 急速に整備化されてきている) ![]() ただ、知る人ぞ知る山岳拠点で 海外からも、登山に来る人もいるが、 ちゃんと市役所の許可を得て 専門のガイドを雇わなければ 登れないことになっている。 ![]() ミンダナオ子ども図書館のある キダパワン市は、 アポ山の最高の登山口でもあり、 本来は最もゆうめいなのだけれど、 幸いなことに、訪れる人が少なく 極上の自然が残っている。 ![]() 登山口は、 キダパワンからも三つあり 一番ポピュラーなのは、 比較的ルートが切り開かれた 沢沿いの最短コースだが、 ![]() ぼくたちは、 マノボ族の奨学生の お父さんたちに頼んで ガイドになってもらい、 地図にはない、 ジャングルに出来た 踏み跡をたどって 山頂に向かうことにしている。 ![]() ちなみに 今回ガイドになってくれたは、 ミンダナオ子ども図書館の 奨学生のお父さん。 ![]() 貧しくて3食食べられない家庭だから 大事な収入でもある。 小さな学童用のリュックサックを背負い、 (たぶん子どものお下がり) それ以外の大荷物は頭にのせて山を登る。 ![]() 途中の沢で一泊し、 山頂では、少なくとも二泊して、 持ってきたテントを張ったり、 洞窟の中で寝たりするけれど、 食事は、子どもたちが作ってくれるし、 山芋や山菜を集めて、 沢のカエルやカニをとったり、 ニシキヘビの蒲焼きもおいしいよ!? これこそが、 本当の自然体験だと感じる。 ![]() ポーターも マノボ族のお父さんに なってもらうけれど、 MCLの奨学生たちが ポーターになって、 重い荷物もかついでくれる。 ![]() 手つかずのジャングルを体験できるのも アポ山の特徴だが、 ガイドがいないと絶対に無理だ。 地図もなく、 複雑な狩猟や獣道が交錯しているから。 ![]() ![]() 下から眺めると、 単調な山のように見えるが、 山頂付近は、 いくつもの湖沼を有し 同じ山とは思えないほど 風景が変化する。 ![]() アポ山は、活火山だ。 下から眺めるその姿と高度から、 八ヶ岳の赤岳のような 山だと想像していたが、 山頂付近は、 7つの岩峰が取り巻く 複雑な山なので驚いた。 ![]() 七つの岩峰は、 それぞれ独自のピークを形作っていて、 その底には、 いくつもの異なった噴火口がある。 ![]() 頂上に立つと、 遠くダバオ町や海、 ジェネラルサントスの山まで見渡せる。 ![]() 遮るもののない 360度の広大な風景が 欲しいままだ。 ![]() (最近は、ダバオサイドからツアーすれば、 ロッククライミングも出来るそうです。) ![]() 意外だったのは、 山頂付近の至る所に 野生のブルーベリーが群生している事だ! どんなに食べても食べても、 尽きることのないブルーベリーの実。 ![]() しかもその大きさに驚いた! ミンダナオの人々は、 ブルーベリーを知らないし、 食べられるとも思っていないから、 手つかずに、道ばたの いたるところに実ってる。 ![]() 噴火口は神秘的だ! ここには数々の 妖精が住んでいるので、 「すごい!」「素晴らしい!」「美しい!」 等の感嘆の声を上げてはならない。 ![]() マノボ族のお父さんが、 出発前に必ず 忠告を発するのがこのこと。 ![]() 「なぜ?」と聞くと、 耳元でささやいて教えてくれる。 「あっちの世界に連れて行かれるから。」 つまり、そこら中に妖精たちがいるから、 それに向かって、感嘆の声を上げると、 「あの人、わたしたちのことが好きみたい!」 といって、 彼らの世界に人を引きこむのだという。 ![]() 引きこむということは、 命をとられるということで、 死んで向こうの世界に行くのだ。 つまり、登山で事故が起こり死ぬことで、 「わたしの知りあいも、 何人か死んでいますよ。」 と教えてくれる。 ![]() あるとき、山の泉のまえで、 「この水のめますよ」と言われて 飲んだあと、 「おいしいーーー!」と叫ぶと、 「シーーーッ!」といって、 その場で魂をとられないようにと、 マノボ族のお父さんが祈ってくれた。 ![]() そういった目で見始めると、 アポ山の本当の姿が見えてくる・・・。 ![]() そんな気持ちで、 ミンダナオの世界が見え始めたら、 それこそ本当のミンダナオ体験だろう! ![]() 赤道近い山だから暖かいだろうと 油断してはならない。 休火山ではあるものの ![]() 蒸気は絶えず 噴出しているし、 ![]() 雨が多いのと、 降ると半端ではなく夜は冷える。 防水対策も欠かせない。 ![]() しっかりしたレインジャケットと 暖かいフリースのジャケット、 登山道は整備されていないし、 粘土質で滑りやすいので、 出来ればしっかりとした登山靴と 登山ステッキがあるほうが良いだろう。 ![]() マノボ族のガイドや ミンダナオ子ども図書館の若者たちは、 ときには靴を抜いてゴム草履で、 また、急な斜面は滑りやすいので はだしになって登っていくけれど。 ![]() |
ようやく 山頂に到達した! ![]() 山頂の真下の カルデラのなかの泊まり場。 ![]() 宿泊場は、 とりあえず水のあるところにあるが、 全くの自然環境だから、 キャンプ場が 指定されているわけではない。 ![]() 水は、 ぼくは山水は飲むけれど、 訪問者の場合は、 ミネラルウォーターを買って 若者たちが担いでくれる。 ![]() 山頂から下った 中腹にある湖沼 そこにもキャンプ場があり、 ダバオからの登山者は ここに達する。 ![]() 現地での夏休み 4,5月は、登山者も増え 宿泊小屋も建ち ![]() 山麓の先住民一家は 竹の小屋を作って ![]() お菓子を売ったり 食べ物を作ったりする。 ![]() 子どもたちも 親を手伝って、 ![]() 荷物を運んだり、 ![]() お料理したり 洗濯したり。 ![]() ![]() ![]() 中には 下の村で スカラシップ調査の時に会って、 知っている子もいて ビックリ! ![]() ![]() 何と山のお店で、 お母さんお父さんの お手伝いをしていた。 ![]() 途中にこのような 良い湖沼地帯があるので、 ジャングルの中で一泊して、 ![]() 山頂の7つのピークを巡って、 山頂わきで一泊して、 ![]() この湖沼地帯で 一泊して、 ![]() ![]() 谷沿いのルートで 下り、 ![]() ![]() 最後に 麓で温泉に入る。 4泊5日ぐらいで行くのが 最上かな? ![]() 高度は高くないけれど、 日本のように 道路が整備されていないし、 ![]() 交通が全く 発達していないので アプローチに時間がかかる。 ![]() 帰りは、 沢沿いのルートを ![]() 一気に下った。 ![]() アポ山は、 土質が非常に 滑りやすいので 靴に神経を使った方が良い。 ![]() 最上は、 日本から持参してきた スパイク付きの地下足袋かな! ![]() 最後は、 天然温泉のある麓で汗を流した。 マノボ族の神話や 伝説にも出てくる 有名な聖地。 ![]() 東ダバオから いっしょに来たバゴボ族の若者が、 ここを見て、 名前を聞いてびっくり! ![]() 「ここは、 原住民たちの聖なる場所だ! ここに来て、 帰ったものは一人もいないと 言われている、伝説の池だよ!」 ![]() 以前は、ジャングルに お湯がわき出ていて、 ただでは入れたけれど、 ![]() 今は、 プールも出来て、 ![]() 宿泊施設も建って 観光リゾートになってしまった。 ![]() 聖地だけは 守られているけれど・・・ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
登山体験希望の方へ! |
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ミンダナオの学校は、7月が夏休みになりました。 その頃に毎年、ハイスクールを卒業する子と 夏休みでも里帰りできない子たちに希望をとって、 アポ山登山をしています。 子どもたちにとっては、アポ山は神聖な神の山! 登れるだけでも想像を絶する夢の世界! そんなアポ山の登山体験を皆さんご一緒にしましょう! ガイドもマノボ族のお父さんが引き受けてくれますし、 ポーターも料理も子どもたちが引き受けてくれますよ! ご希望の方は、宮木あずささんにメールして下さい。 mclmindanao@gmail.com |
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夏休み以外でも、 奨学生のお父さんたちがポーターになって、 計画たててくれますよ。 登山は、一年中可能です! スタッフや、休日ならスカラーも同行できますね。 よろしければ、ご相談下さい! |
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現地日本人スタッフによる、 写真を交えた最新の活動報告です! ![]() |
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![]() 松居友による活動報告および 製作映像や想いを載せた自由日記です! |
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