2013年、明けましておめでとうございます。


みんなで海に行った 
    
    
  
    
  
  
 
  
   



 大晦日の夜
みんなで観覧車に乗った!
 
左は、陽がドキュメントを撮影中のストリートチルドレンたち
  
 
 

あこがれの綿菓子を食べた! 
    
  



MCLにテレビ東京が同行した

 1月4日の午後6時半、『正月スペシャル・なぜここに日本人』で4.50分放送される予定、のようです。
実質的に7時40分ぐらいから?

    
    

今回の取材は、本格的だった。だいたいにおいて、このような反政府地域の湿原や山岳地域に、
テレビカメラが入ること自体、初めてだろう。
今までも、取材は受けたが、過去はほとんどが直前になってストップしていた。理由は知らない。
協力しても、MCLの名前も出ない事もあったが・・・
長年テレビを見ていないし、マスコミのことはわからないが、ここまで取材するとは、驚きだった。
さすがに20カ国以上取材してきたベテランだからだろう。
「20カ国以上取材してきたけど、MCLのような暖かい歓迎の体験は初めてでした」という言葉が忘れられない。
取材の途中で、涙を浮かべていた事も・・・

 
 

純粋なマノボの文化が、テレビもない集落から発信されるのも珍しい。
フィリピンでは先住民族の文化が、ショー化されて紹介されるのが、いつも不愉快だった。
文化は、心と祈りと精霊たちに満たされた世界だからだ。

 
   
 
マスコミの事はわからないので、記事勝手に載せました。



この山の向こうサリンシン集落で
国軍とNPAの戦闘が起こり、
マノボ族が避難民化している 



ここは、貧しいマノボ族のアマベル村
まだ、生活はよい方だが、この奥に
極貧のサリンシン集落があり、
そこから120名ほどの避難民が来ている。
サリンシン村は、右の写真の奥に見える
山々の中にある。本当に小さな村だ。
 

ここに立つと、遠くの山奥から、ドーーーン、ドドーーンと大砲の音が聞こえてくる。
ヘリコプターからの襲撃もあり、国軍が入っているので、
ときどきバラバラバラと機銃掃射の音もする。
なんで、こんなへんぴな所で、戦闘などが起こるのだろうかと、
不思議でならないが、反政府軍の掃討作戦だという。
サリンシン村からは、ミンダナオ子ども図書館の奨学生も採用しているので不安だ。

右の写真が、奨学生のインカル君。
マノボ族で、アマベル村に保育所を建設したときに、彼が大きなバナナの袋を
頭に載せて来ている姿が印象的で声をかけた。
誠実で寡黙だけれど、一生懸命な姿が好感持てた。
「名前は?」と聞いてビックリした。
インカルという名字だった。

インカル家は、キダパワン市の初代の市長の名前だ。
初代の市長は、マノボ族で、ミンダナオ子ども図書館のあるマノンゴル村の首長。
MCLのある土地は、インカル家の最後の土地だったのだ。
それを売ってくださったのは、市長の娘のスーザン インカルさん。
とてもよい方で、ミンダナオ子ども図書館のボードメンバーをしてくださっていたが
数年前に亡くなった。

インカル家は、その後、どんどん土地を手放したり、大学や学校に寄贈して、
一族は、山に山にと追いやられていった、話は聞いていた。
MCLのある、マノンゴル村では、名前こそ名門だが、三食たべられないほど貧しく
子どもたちの数人は、ミンダナオ子ども図書館で食べたり、奨学生に採用したりしている。
話を聞くと、彼は、山に追われていった一族だった。


    

こうした集落に着くと、必ず子どもたちの状況や健康をチェックする。 

至急、現状を調査し


上のサリンシン集落から、たくさんの家族が、
このアマベル村に逃げてきている。
ここには、親戚の家がある人や知人もいて
外で寝るような状態ではなく
ハウスベースといって、親戚や知り合いの家に逃げ込んでいる。


しかし、親戚とても、豊かであるはずもなく
一番困っているのが、食料だ。
ただし、マグペット市の福祉局に
事前に確認したところ、とりあえず
副食の缶詰などを渡すことがわかったので
ミンダナオ子ども図書館では、
まずは古着と靴の支援をすることにした。

サリンシンの子どもたちは極度に貧しく
しかも、置いてきた古着などをとりに
村に戻ることも許されていないので
着るものも大変だ。
まして、靴どころか草履もない子が多い。

 

ミンダナオ子ども図書館では、この村に保育所を建設しているし、しばしば読み語りも行っている。
さらに山中のサリンシン集落には、一時間以上かけて歩いて訪れ、そこでも読み語りをしている。
人々は、MCLを良く知っていて、それだけに救済支援に来てくれたことを、心から喜んでくれた。
地元の福祉局が、わずかな缶詰を支援しただけで、こんなところに救済支援に来るのは、MCLだけだ。
しかし、奨学生もいるので放っておくことはできない。

 
 

不平等な社会が原因で起こる貧困。
お金と利益を生むための資源を優先し
現地の状況を無視した開発が、力ずくで進む限り
こうした戦闘は、無くならないと感じてならない。

日本が戦後良かったのは、
教育の機会均等と、
農地解放による土地の配分の
均等化政策がとられたことが大きいと思う。
  

翌日 古着の支援をした
背後では、サリンシン集落に向かって撃たれる
砲弾の音が聞こえた
 

砲弾の音がする中、子どもたちや親にも、日本から贈られてきた靴と古着を配った。
山奥のサリンシン村から、150名ほどがこの村に逃げてきている。
帰ることができず、家畜も置き去りで田畑も荒れたまま。
精神的にも、落ち込んでいるが、多くが親戚や友人の家に滞在し、たくましく生きている。
大砲におびえ、軍に脅されて、強い日照のなかに2時間立たされても、
わずかばかり食物を採りに、時給地に帰ろうとする。
数人は、死亡していている。
マグペット市の福祉局が唯一、缶詰などの支援をしているが、足りない。
MCLが訪れたことで、少しは元気になってくれたようだ。

 

古着のはいった段ボール箱を載せた4WDの後ろに
大勢の村人が集まってきた。
まず子どもたちを優先して、一人一人古着を手渡していった。


こんなすてきな靴、履いたことがない!


北原良夫さんの娘さんも日本から参加。
ご主人は、牧師さんで、支援活動に詳しい。
  

すごい熱気が周囲を包む。皆、大喜びだ!  


こうした体験を、多くの日本の若者や中高年の人々と共有したい。
見ると聞くとは大違い。
実体験のすばらしさを、毎回ひしひしと感じる。



戦時中に日本軍も司令部を置いた
ピキットの要塞跡で、初めての
平和の祈りの祭典を開催


    

MCLの若者たちによる、祭典が始まった  
      

戦争の絶えなかったイスラム地域ピキット
その中央にそびえるスペイン時代の要塞跡で、
平和の祈りをすることは、長年の夢だった。
ここは、日本とも深い関係のある要塞跡で、第二次世界大戦の時に、
ここに日本軍の司令部が置かれ激戦が展開され、多くの犠牲者を出した場所だ。
地下には、防空壕が掘られているが、未だに、調査はされたことがないという。
この地で、私たちは、子どもたちと一緒にミンダナオ、フィリピン
そして世界の平和を祈った。
カトリック(OMI)の司祭 マノボ族の首領 プロテスタントの牧師 


 ピキットの市長



ミンダナオ子ども図書館の若者たちが、自らの手で企画した、
第六回平和の祈りの祭典!
ピキット市長、多くの村長、そしてイスラムの聖職者、
マノボ族の首長たち、プロテスタント教会の牧師、
地元カトリック教会、オブレート会の神父も参加し
子どもたち若者たちと共に祈った。

スペイン軍が滞在した時代からはじまり、
第二次世界大戦のときの、日本軍との激戦を経て、
さらにフィリピン政府軍とイスラム反政府組織の
40年にわたる戦争で犠牲になった多くの人々を想いながら祈った。

イスラムの踊りをおどった 
   
マノボ族の儀式もした 
  
   
  
 

みんなで平和の歌を歌って祈った 
    
 

とりわけ戦闘の狭間で、死んでいった子どもたちのために、心から祈った!
 現在、フィリピン政府とMILF反政府勢力との平和交渉が始まった事もあり、
本当の平和がくるように!
そして、隣国である日本や韓国、ロシアや中国、インドネシアや東南アジア諸国と
平和のなかで隣人としての友情を結べるように、
さらに世界の人々と、平和のうちに愛を分かち合えるように!
 私は、集まった人々の前で、日本人として日本軍が行った残虐な行為を、
心から謝罪した! 
 

今回の平和の祈りに関して執筆した、季刊誌
ミンダナオの風37号を特別掲載しました。 ここをクリック(PDF)

季刊誌は、登録いただいた方に、自由寄付でお送りしています
 
 



イスラム地域、リグアサン湿原の村に
読み語りに行った

    
   

ちょうど結婚式に向かう舟に出会った 
 

テレビ東京のカメラが同行。
反政府組織の活動地域であるこの湿原に、TVが入ること自体が初めてだろう。
少なくとも海外スタッフが・・・

 いよいよ、読み語りが始まった


「はらぺこあおむし」を読むのではなく
語るのは、イスラム教徒のアミンさん 


エープリルリンも語った 
 

最後にみんなで踊り、「おおきなかぶ」の劇をした 
   
 

建てたばかりの保育所がまぶしかった 
  
   



アラカンのキアタウ集落で
マノボの収穫祭に酋長として参加 

 

ミンダナオ子ども図書館の奨学生たち

収穫祭の準備が始まった 


お祝いに欠かせない、豚の丸焼き
カエルもトカゲも沢ガニも、とっても美味しい


周囲の村の酋長たちが集まってきた
私もその一人

収穫祭の踊りが始まった 
   
    
 
    

収穫祭を祝っての食事 
    
    
  
    
 
普段は、ろくにお米も食べられない
子どもたちだけに、大満足だ
 

収穫祭の前日
愛すべき村キアタウ 

  


繰り返し古着を渡しているので
とても貧しいのだけれど
着ているものだけは、とても良く見える
すべて、日本の方々からの支援の古着だ 
感謝!
 

前日、村人たちと一緒に、カサバイモを掘った  

村の酋長(首長)の一人で、奨学生(左の子)のおじいちゃん 
  

丸焼き用の豚 
   
   
 

私たちのために
パパイヤを採ってくれた
 

夜は、この村で泊まった。希望者は、泊まれますよ!



北原良夫さんと娘さんが来られた 
 



ミンダナオの和平への合意に
関しての分析を掲載


ミンダナオの平和構築の状況に関して、季刊誌『ミンダナオの風』でより詳しく分析してみました。
季刊誌は、本来は寄付をくださった方々に、年5回ミンダナオから発送しているのですが、
現在、新聞諸紙でも、ミンダナオの状況が取り上げられており
今後の日本の在り方とも、深く関係している部分も多いと思い、
今回は、特別にサイト上で読めるようにしました。

 季刊誌『ミンダナオの風』へGO!
内容の一部紹介
(前略)
 本来MILFは、ミンダナオ島全体の分離独立をかかげていた。
さすがにそれは私にも非現実的に思えたものだが、それが駄目でもミンダナオの少なくとも自治州は、
フィリピン政府から独立した国家となるべきだというのが主張だった。
 東ティモールが独立したときから、キリスト教徒地域は国際支援で独立させて、
イスラムが400年にわたって独立を要求し続けているミンダナオは、なぜ駄目なのか・・・
これが、インドネシアなどを含むイスラム教徒の率直な気持ちだったからだ。
ジェマイスラミアをはじめとして、こうした気持ちを、根強く抱いている人々は、今も末端にいたるまで少なくない。

(後略)



反政府武装勢力
和平に向け
「枠組み」合意
 

 

フィリピン、ミンダナオのイスラム反政府勢力MILFが政府と、
和平に向けての枠組みで合意したという非常に嬉しいニュースが10月8日、日本を駆けめぐった。
だた、過去の経緯もふり返って現状を見ると、とても楽観的にはなれない。
とりあえず、「枠組み」が決まっただけで、MILFと政府が土俵に登ったところであり、
これから交渉も本番にはいる。
それ以外にも、不安な要素は多い。
国際停戦監視団の働きも、ミンダナオ子ども図書館の平和構築への活動も、これからが本番だ!
 
今回の平和構築活動で
日本の果たした役割は大きい。
緒方貞子氏がJICAに移籍してからの
日本政府、JICAとりわけ
IMT国際停戦監視団の働きは大きかった。
ミンダナオを発つ直前、
IMTの落合さんが、突然MCLを訪れ
情勢について語った。
枠組み合意の可能性にも触れた。
落合さん、ご苦労様です!
今、JICAの本部にもどられ
JICAオフィスもダバオからコタバトへ。
UNHCRも含め、
これからが正念場でしょう。
ARMM地域を、今後どのように
取り込んでいくのか、
鉱物資源を含めて
どのような取り組みを国際資本に
解放していくのか、
とりわけ、貧富の格差の是正をどうすかなど
課題は多い。
平和構築は、ようやく始まったばかりだ。

朝日新聞にかなり詳しい記事が出た。

朝日新聞記事へ

他誌にも多くの記事が紹介されている。
非常に嬉しいニュースではあるものの
平和交渉は、緒に就いた
ばかりであるという事を認識しなければ
ならない。

    

今回の平和構築活動では
日本も含めた国際的な動きと同時に、
ミンダナオ子ども図書館が、
10年間にわたって草の根で
動いてきた働きも
小さくなかったと思います。
これは、何と言っても
ミンダナオ子ども図書館の
子供たちの働き。
現地のイスラム反政府地域から
ピキット、ARMMを含んで
200名近くのスカラシップの
貧しい子供たちを採り
数知れない読み語りを実行したのも彼ら。
もと奨学生で今スタッフは、
13棟の保育所を建設。
一棟の小学校(これは日本政府と協働)
一棟の初等小学校を建設している。
この地域で、MCLと言えば
だれもが知っています。
そして、松居友一人で手が回らず
不手際も多かったにもかかわらず
MCLを支え続けて来られた
支援者の方々のお力だと思います。
10月25日の平和貢献賞は
もちろん、こうした方々のお力!!!

ただ、後述しますが、
平和構築は、緒に就いたばかりで
これからが、正念場です。
ご一緒に、頑張りましょう。

平和構築は、緒に就いたばかりで、
今後も予断は許せない 
朝日新聞
紛争40年、ミンダナオ和平へ合意 自治政府樹立目指す
http://www.asahi.com/international/update/1007/TKY201210070135.html

 フィリピン南部ミンダナオ島で10万人を超える死者を出し、40年以上続くイスラム系住民らによる武力紛争で、
アキノ大統領は7日、闘争の中核組織モロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で、自治政府の樹立による
恒久和平を目指すことで合意したと発表した。

 大統領の任期が終わる2016年までにミンダナオ島のイスラム系住民が住む地域に新たな自治政府をつくるための枠組みを
明記した文書に、近く双方が署名する。MILFは分離独立要求を取り下げ、武装闘争を停止することになる。

 まず政府とMILF、国際機関の代表からなる「移行委員会」を設置し、自治政府の権限など詳細を決める。
憲法改正や基本法の法整備をしたうえで、16年の統一選挙後の運用開始を目指す。MILFの兵力は公称約12万人、
政府推定約2万人と、東南アジアで最大規模の武装勢力とされる。本格的な武装解除は16年以降になる見通しだ。
 


以上の記事で、注意すべき点は、恒久平和が実現したのではなく、「目指す」ことで合意した点だ。
期限は、アキノ大統領の任期が終わる2016年。今後、4年以内に実現しなければ、情勢は元の木阿弥にもどる。
MILFは分離独立要求を取り下げ、武装闘争を停止することになる。
本来MILFは、ミンダナオの独立をかかげていた。
東ティモールが独立したときから、キリスト教徒地域は独立させて、イスラムが400年にわたって
独立を要求し続けているミンダナオは、なぜ駄目なのか・・・
これが、イスラム教徒のこの地域での率直な気持ちだった。
こうした気持ちを、根強く抱いている人々は、少なくない。
かつて、MNLFが政府との合意にいたった時にも、独立を目指す一派が、分離してMILFを形成した。
そのMILFの勢力が無視できなくなった時点で、今回政府側は、MILFと和平交渉をする舞台に立つと言ったわけだが
今回の合意に賛同できないグループが、新たにMILFから分離して、新規の独立闘争を始める可能性はある。
その最も有力なのが、BIFFだ。
ロイターの記事には、以下の記述が見える。

ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89700U20121008

新しい枠組みでは、新自治政府の名称を「バンサモロ」自治政府とし、
徴税権などの権限や天然資源の配分拡大のほか、
自治政府内の治安により積極的な役割を担うとみられる。
ミンダナオ10+ 件島の反武装勢力が支配する地域は原油やガス、鉱石などの
天然資源が豊富で、同島全体で計3120億ドル(約24兆5000億円)相当の
鉱物資源があるとされる。
ただ、合意後にMILFから分派したバンサモロ・イスラム自由運動(BIFM)の
スポークスマンが独立を求めて戦いを継続すると発表するなど、予断を許さない状況だ。


BIFF(BIFM)も含め、あくまで独立を目指そうとするグループが、どのように動くかが
今後の焦点の一つだろう。  
つまり、MILFが政府と交渉に入るのとは別に、
新たなグループが独立を目指して、活動を開始する可能性も高い。

この点を産経ニュースは、こう指摘している。  

経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121007/asi12100715470001-n2.htm

 だが、不透明な点や課題は多い。
一例を挙げれば、ミンダナオ島の豊富な石油や天然ガスの開発権などを、
中央政府が新自治政府に一部移譲するか否かという問題がある。
MILFの軍への編入、武装解除の行方も不明だ。
 モロ・イスラム解放戦線(MILF) フィリピン南部ミンダナオ島の反政府武装勢力。
政府との和平へと向かう「モロ民族解放戦線」(MNLF)に反発する分子が
1970年代に分派し、84年に結成された。
活動拠点の「キャンプ・アブバカル」には、ジェマ・イスラミア(JI)や
国際テロ組織アルカーイダ系の訓練キャンプもあったとされる。
97年から政府との和平交渉を始め、決裂と戦闘を繰り返していた。


今回の交渉のテーマは、いくつかあり、 表向きのテーマは、独立自治区の拡大だ。
独立自治区の拡大の背後には、リグアサン湿原の膨大な石油と天然ガス資源の利権をどこが握るかという
非常に具体的な、問題が隠れている。
MILF側としては、ARMMも含んだ全権を握ることだろうし、政府側は、半々でどうかと言っている。
こうした石油や鉱物資源、また農業資源とりわけプランテーションの背景には、大土地所有者の利権が絡んでいる。
しかも、その背後には、国際的な資本。
ミンダナオのイスラム地域も、国際的な資本の拡大により、現地での貧富の格差が、
他のミンダナオどうように、拡大するとしたならば、今後も、あらゆる形での戦闘が起こり続けるだろう。
未だに、NPA(新人民軍)との戦闘が、ミンダナオ、あるいはフィリピン全域で起こっているように。
その点は、日経新聞が指摘している。

日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0700C_X01C12A0FF2000/

 ただ、ミンダナオにはMILFだけでなく、
共産系反政府組織である新人民軍(NPA)や、
アルカイダとの関連が指摘される過激派組織アブサヤフも存在する。
11年には住友金属鉱山系の鉱山をNPAが一時占拠する事件も発生。
日本企業の進出には、比政府がこうした勢力を抑えて、
治安を強化することが条件になりそうだ。

戦争の問題は、貧困の問題とつながっている。
根本的に、貧困の問題が解決されない限り、戦争はこの地で起こり続けるような気がしてならない。
平和への一歩は、また緒に就いたばかりだ、
ミンダナオ子ども図書館は、貧しい子供たちを救済し、支援し、
読み語りを実行して、宗教や種族を超えて生きるすばらしさを体験させ
貧しい子供たちを学校に行かせ続ける・・・
皆さん、頑張りましょう。



移民系クリスチャンの文化祭
ビサヤデーが終わった

制作中
 

イスラムの文化祭、先住民族の文化祭、移民系クリスチャン文化祭
今年のテーマは、伝統的葬儀と踊り
異文化体験と楽しみの分かち合いが、平和を作る!
 
    

 
 

葬儀が終わって伝統的な踊りと歌  
    
 

終わってからビサヤ料理をみんなで食べる
   
 



 第3回自由都市・堺
平和貢献賞を受賞しました!

大賞がお二人、奨励賞が一人です
http://www.city.sakai.lg.jp/city/info/_jinkenbu/heiwa_jyusyo3.html#shorei
詳細は、上をクリック
大賞

Daw Aung San Suu Kyi
(アウンサンスーチー氏)



1945年6月19日ヤンゴン市(旧ラングーン)生まれ。ミャンマー連邦共和国在住。
国民民主連盟中央執行委員会議長(中略)
同氏は、1945年、ビルマ(現ミャンマー)の国民的指導者アウンサン将軍の娘として生まれました。
1988年に民主化運動に参加、国民民主連盟(NLD)を結成し、総書記に就任しました。
しかし、1989年に国家防御法違反により自宅軟禁され、一時の中断を経て、2010年まで軟禁状態におかれました。
 このような中、同氏は1991年にアジア女性として初めてのノーベル平和賞を授賞されました。
 2012年4月には、議会補欠選挙の結果、アウンサンスーチー氏を含む関係者の政治参加が実現し、
ビルマ(現ミャンマー)では、民主化及び国民和解、持続的発展に向けた改革のきざしが見え始めてきました。
贈賞理由

同氏は、ビルマ(ミャンマー)の民主化運動を阻止しようとする軍事政権の圧力により、
1989年から長年にわたり、軟禁生活を強いられるという逆境にも屈せず、
自国の民主化、平和尊重に尽力してきました
2010年11月、同氏は解放され、本年、同国において選挙が行われるなど、
今後、同国の民主化への道筋の中で、重要な役割を果たすことが期待されています。
同国の民主化は、同国の人々の基本的な自由・権利の確保のみならず、
アジア地域全体の平和・安定にも寄与するものと考えられます。

台湾赤十字組織

1904年3月、上海万国紅十字会として設立、1933年、中華民国紅十字会と改称しました。
1949年、同団体は台湾に移り、1954年、台湾における法に基づく唯一の民間団体として、
現在も各国の赤十字と交流し、国内外の人道支援に尽力されています。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災においては、同団体は、台湾の人々から寄せられた支援金から、
ただちに約13億円を日本に送金、さらに約4億円を追加し、
合わせて約17億円が日本赤十字社を通じて被災地の緊急復旧作業の支援に充てられました。(後略)
贈賞理由

東日本大震災は、各地にかつてない甚大な被害をもたらし、今も避難生活を余議なくされる方も多く、
復興にはまだ多くの時間が必要な状況です。
 そのような中、我が国に対し、多くの国・地域から支援が寄せられました。
とりわけ台湾の人々からも、同団体を通じて多大な支援をいただき、
その規模はアジアの国や地域の中で最大のものでした。
 特に、同団体は、救援金を被災地の実情に即したきめ細かな支援に充てるため、
被災市町及び日本赤十字社と連携し、継続的な取り組みを続けています。
 これら同団体の活動は、被災地の復興はもちろんのこと、
今後の日台関係の発展、
及び広くアジア太平洋地域の平和・安定の構築に大きく寄与するものと高く評価します。


ミンダナオ子ども図書館は、奨励賞をいただきました! 
奨励賞

松居 友(まつい とも)氏

受賞者紹介

1953年3月2日東京生まれ。フィリピン キダパワン市在住。
児童文学者、ミンダナオ子ども図書館館長。

フィリピンでは、第二次世界大戦後、南部のミンダナオ島で独自の文化・社会を築いてきた
モロ(イスラム教徒となった先住民族の総称)と政府の対立が先鋭化し、
1970年には民族自決を掲げるモロのゲリラと政府軍との戦闘がはじまり、
多くの犠牲者や避難民が生まれました。 
2003年には停戦合意がなされ、断続的に和平交渉が続いてきましたが、
現在も不安定な状態が続いています。
 2000年に偶然、ミンダナオ島を訪問した同氏は、紛争により難民となり、
貧困により疲弊した子どもたちが、笑みどころか表情を失っている光景を見て、
この子どもたちを救いたいという強い思いから、島に残り、絵本の読み聞かせ活動を始めました。
 2003年には、さらに活動を拡大するため「ミンダナオ子ども図書館」を設立し、
小学校や保育所建設、医療支援、奨学金の付与なども行っています。
 現在も同図書館には、貧困等で自宅からの通学が困難な、
言葉も宗教も違う約100人の子どもたちが共同生活しており、
同図書館はこれまでに、同図書館に居住する子どもたちも含め、さまざまな事情を抱え、
学校に通うことが困難な約630人の子どもたちに奨学金を付与してきました。
 近年は、日本の不登校やひきこもり等の課題のある青年たちを招き、
子どもたちへの支援とフィリピンの子どもたちとの交流を通じて、
生きる力をつけるための活動も行っています。

贈賞理由

宗教、民族間の争いが続くフィリピン、ミンダナオには、貧困のため、十分な教育、医療を受けることができない多数の子どもたちがいます。
 同氏は、道路も十分整備されていない山岳地帯などの村を訪ね、絵本の読み聞かせ活動を通じ、子どもたちが、
自身の文化や民族の誇りを再認識する支援をするとともに、訪問の際、医療が必要な子どもたちへのきめ細かな支援を行っています。
 また、同氏は、言葉や宗教の違う子どもたちが、互いの文化を知り、違いを認め合い、共同生活する同図書館運営などの中において、
一貫して民族、宗教の違いからくる対立の解消への取り組みを進めています。
 同氏のこれらの取り組みは、個人の尊厳の回復、同島における民族和解を促進し、多様性を認め合う社会の実現に大きく寄与するものと評価します。

授賞式は、10月25日、堺市で行われます。
http://www.city.sakai.lg.jp/city/info/_jinkenbu/heiwa_jyusyo3.html#shorei
詳細は、上をクリック

ミンダナオ子ども図書館支援方法
上をクリックしてください




9月30日up

皆さんからの支援のシートを届けた 
 
 

現在、イスラム地域の状況は、
比較的落ち着いている。
上記にも記したが、

戦闘は、BIFFの分離過激派にたいし
反政府のMILF側が、
「現在は、9月27日の政府との
平和交渉の回答を待っている
段階であり、結論が出る前に
戦闘を起こすようであれば、
場合によっては、MILFが、
BIFFとの戦闘も辞さない」言う、
強行姿勢をしめしたために
BIFF側が、とりあえず戦闘を
収めることにして、
つかの間の停戦状態と
なっているため。

少し説明が必要だろう。
BIFFは、バンサモロ イスラム 
自由戦士と呼ばれる集団で
MILFから分離して、
独自に過激な戦闘を起こしている。
率いているのは、オンブラ カトウと
呼ばれるコマンダーだ。、
ピキットには、日本軍の要塞もあり
かなり日本人がいて
世界大戦時に散ったので
日系人も多くいる。
ほとんど、言葉を濁して言わないが
こどもを治してあげたイスラム教徒の
お父さんが、密かに、自分が日系人
であることを語ってくれた経験もある。
そんなわけもあって、カトウと言うのは
日系人かと思ったりもしたが、
(ちょっと日本人に似た顔だ)
これは、推測思い込みのたぐいだろう
ただ、NPAも含めて、
反政府組織のなかに、日系人が
かなりいることは確かなようだ。

ただ、現場から聞こえてくる
反政府組織の内実は複雑で
日本人には想像しがたいが、
(これはあくまで、聞こえてくる話であると
解釈して欲しいのだが、戦闘や戦争の
発端を想像または空想するのに
役立つかもしれないので、あえて書くが・・・)
BIFFには、ある議員などの方から
資金が流れている、と言った
考えられない(噂話)が聞こえてくる。
つまり、来年の5月は、フィリピンの地方選挙
であるがゆえに、戦争を起こすことによって
国の予算が、議員や市長、村長などに
大量におりてきて、その一部が
流れて選挙資金になるとか。
(あくまで噂としてではあるが・・・)

ただ、こうした裏の流れで
日本の現状を見てみるのも興味深い。
私が心配なのは、現在の日本の方で
尖閣諸島の問題が、必要以上に拡大される
その背景に何があるかを考えてみるのも
良いかもしれない。
南シナ海、東シナ海などをはさんで
中国と対立しているのは、
日本とフィリピン、後はベトナム?だが、
その背景には米国の存在が見え隠れする。
フィリピンの場合は、米国抜きでは、
この問題は考えられない。
バナナのプランテーションを始め、
米国資本は、フィリピンとくにミンダナオに
大きな権益も持っているし、
米比合同演習も行っている。
フィリピン政府も財界も、兄貴分としての
アメリカには簡単にはたてつけない。
しかし、どんなに領土問題が強くなっても
フィリピンが、独自に
中国に戦いを挑むことは無いと現地では
言われている。

理由は、
1,独自に戦うほどの経済力は持たない
2,フィリピンの財界も含め、経済界はほとん
  どが中華系である。
  たとえば、ミンダナオでも、ダバオの銀行
  デパート、財界のほとんどは中華系で
  コタバトなどは、中華系で経済が持ってい
  ると言われている。
  ダバオにもコタバトにも、大きな中華街
  があり中国語学校に多くの子供がいる。
3,政治界でも中華系は多く、良い例が
  今のアキノ大統領で、議員や市長など
  地方でも非常に多い。
4,種族も複雑で、日本と異なって、
  実に多くの種族で構成されていて
  反政府運動も活発だ。

だいたいにおいて、米軍の駐留を拒否して
追いだした過去もあり、
反日であると同時に、反米でもあり
イラク戦争の時にも、
派兵して、サッサと撤退した。

私には、
今回の中国との対立の構図の
最大の目的と対象は、
日本に思える。
 
ミンダナオでも確実に言えることは
戦争は選挙と連動している。
こちらで聞こえてくるのは、

1,支持を得るための政治的理由
  特に自国の現状に問題が山積している
  場合は、問題から目を背けて支持を得る

 こちらでは来年5月の地方議員から市長
村長、村の役員にいたるまでの選挙だが、
これらは、現地の広大な土地所有者どうしの
私兵を使ったりする、最も生臭い権力闘争。
 世界的には、アメリカの大統領選
にまでいたる大きな選挙の年だ。
 戦争を起こすメリットは、人々の心を
内政から、外に向けさせること。
そして、軍事に関係した企業からの
支持を得る事。選挙資金の獲得だ。
 そのおこぼれには、
国際NGOも含まれるかもしれない、
巨額な国家資金が落ちてくるわけで、
戦争で儲かる産業は多い。
 また、国家予算を、軍事費で落とし
そこから選挙資金が得られるとも聞く。
 MCLは、政治に関与しないので、
国からの資金供給に頼っていない。
99%個人の寄付だ。

 日本の場合、内政から、国民の意識を
外に向けさせることが今必要だとしたら
何よりも、福島原発問題だろう。

 聞こえてくる話によると、
福島原発の影響は、政府が言うよりも
はるかに大きく、東京都自体が
将来にわたって、大変な放射能の
影響を受ける事実が、隠されているという。
(又聞きだが、専門家の話)
国会前の市民デモも殆どマスコミに
載せられることもなく、
国は、何とかこの問題から国民の目を
そらせたい、とするならば
尖閣諸島もめぐる中国との対立は
格好のエサだろう。
 
2,世界的な経済不況をしのぐため

 特に、アメリカの経済不況は深刻で
ドルが基軸通貨から滑り落ち、世界が
多極化してしまうと、打撃を受けるのが
石油・鉱物資源やプランテーションの
国際資本だろう。
 アメリカ資本が、資源資本や軍需産業に
大きく頼り日本も、部品その他で、
おこぼれを得ている。
 としたならば、戦争が起こらずとも、
危機感を高めて、国の軍備を増やさせる
ことは、大変なもうけを拡大させる。
それのみではなく、戦争そのものが起これば
国家予算を投入した、大きな消費が起こり
軍需景気が展開する。

 フィリピンは、軍備を装備するにしても
国家予算は、しれているし、米軍に頼るしか
戦争をする方法はない。
ベトナムだってしれている。
 米軍はフィリピンに軍備を投入するほどの
経済的余裕があるかどうかは疑わしいし、
そう考えると、東アジア地域で
唯一、軍備を備える経済力を持っているのは
中国に抜かれたとは言え、日本だ。
後は、韓国と台湾ぐらいか・・・。
 ミンダナオでの戦争が起こる形態を見るに
つけ、今回の中国や韓国等をめぐる
対立をあおる動きの背景には、どうみても
まだ、金を持っている、日本を危機感の中に
陥れることによって、日本国民の税金で
大量の武器を買わせる事にあると思える。

 ただ、日本には、平和憲法がある
憲法九条を持っているので、大ぴらには
軍備を拡大できない制約がある。
 そう考えると、今一番求められているのは
憲法を改正(改悪?)して、日本が正式に
軍隊を持てるようにして、大量の戦闘機
空母、ミサイル、戦車などを
買わせることだろう。
 日本人は、世界の裏の事情に疎く
市民、庶民は、簡単に戦争に走るような
気がすることがあって、
ミンダナオから見ていると不安で仕方がない
 しかし、二つの世界大戦と長崎や広島の
原爆投下の惨事の体験もあるので
それほど愚かではないと思うのだが。

 

ブアラン村から避難した人々  
 

難民収容キャンプに避難した人々 
   

避難民収容所に避難した人々は
まず、雨よけのシートをかけるための
木組みを作る

シートをカットするスタッフたち 
 

  
 
去年の2011年11月に書いた記事
一年前にもかかわらず今の日本が向かっている?

 

 2011年11月:今、これを、渋谷のカフェーで書いているのだけれど・・・
今回の滞在で一番気がかりだったのは、世界情勢の中で揺れる日本の人々の気持ちだ。


 ミンダナオで、絶えず戦闘を見てきているだけに、トラウマになっているのだろうか、
戦争へ引っ張る力が日本を巡る世界を覆っているのを敏感に感じ取る。
それに対応する世界観を、中高年の人々が持っているのだろうか?それが気になる。
 何より子どもたちが可愛そうだ。引っかからなければ良いのだが。
 ぼくが、武器を持たない、殺されても殺さないと決心したのは、
ティーンエイジャーの頃17歳のころだろうか。
高校生で、大学の学生紛争が飛び火していろいろなことを考えた頃だ。
右にも左にも行くことなく、第三の道を切り開こうと決心した年頃。
 今、ぼくが、常識では考えられない地域に入っていけるのは、
武器を持たない決心をしているからだ。
反政府も政府も混在している複雑な地域であるだけに、
武器は日常的に見ることも多い。
 そのような中で、なぜ活動が出来るのか不思議に思う人も多いが、
もし護身のために武器を携行していたり軍隊の護衛があったりしたら、
かえって恐くて活動できない。武器を持たないことと、子どもたちのために、
命をかけて仕事をしたいというこの二つの想いがあってそれを人々が感じてくれる。
これが最大の安全だと思う。ただし、絶対だとは言い切れない。
 武器三原則の見直しなど日本は、武装した方が良いという考えがあるようだが、
もし、日本が武装したら、危険度は格段に高まるだろう。
渋谷を歩く人々を見ても今の日本人は、若者も含めて戦争に耐えられるはずがない。
高齢化しているし、体力的にもミンダナオの政府系も反政府系にもかなわない。
金の力だけで(経済力だけで)戦争に勝つことが出来ないことは近代兵器で攻め込んだ、
アメリカが証明している。
(アメリにも、たくさんの良心的な人々がいることも知っているが・・・)
 今こそ、どんな挑発を受けても平和的に解決する忍耐強さを見せるときだ。
憲法九条を全面にだして、逆に対話を続けていく勇気を持つならば
日本は、世界、とりわけアジアの国々から賞賛され信頼され、経済的にも伸びるだろう。
若者達も、それを望んでいるしそのようなことを今回は深く考えさせられた



 ミンダナオの戦闘は、2008年、9年の80万の避難民が出た戦闘でも
実に奇妙な戦闘で民間の死者は少なかった。
国軍も、反政府軍もプロフェッショナルな戦闘で、戦闘が起こる場所の住民達をまずは、
双方とも避難させてそれからドンパチやるからだった。
 2000年のフィリピン政府軍と米軍の合同演習。
演習という名の実戦が起こったとき、そして、2002年のやはり
合同のテロリスト掃討作戦の時には多数の死傷者出て死体を埋める暇もなく
川に流したと言う、そのときとはずいぶん違う。
米軍が関わってきた、合同演習や掃討作戦は、本当に恐い。
 2008年は、おもにフィリピン国軍と反政府軍だったので良かったが、
理由は、両方とも、フィリピンの人たちだから民間人をむやみに殺したくないと
思っているからで、ピキット市の市長が、ぼくの目の前で国軍司令官に
携帯で電話して戦闘を国道沿いから外して民間人に危害が行かないように頼んでいる。
その後すぐに、反政府勢力のMILFの司令官に、同様の事を頼んでいる。
そんな様子からも、現地の人々は、本当はあまり、戦闘をしたくはない事が良くわかった。

 戦争で一番恐いのは、当事者同士ではなく、その背後にいる、第三者なのだ。
コミュニティーとは、「隣の人を、自分のように愛する事」と考えると、
それを広げていけば戦争は、無くなるはずだ。

 しかし、隣の人、特に貧し困窮している人々の事を切り捨てることなく優先し、考え、
野心もなく、満ち足りた小さな平和を望んでいるこうした人々が
幸せに暮らせる社会を優先し支援し、作り上げることを考えれば・・・
隣人の中でも、こうした人々をとりわけ大切にする社会を作り上げれば、
戦争は最もやってはならないものであることが、理解できるだろう。
 「隣の国の人々を、自分の国の人々のように愛する事」
 「自分の国の豊かさが、隣の国の人々の貧しさを作る原因にもなっている事を理解すること」
 「隣人、隣国、そうした最も身近なところと友情も結ぶところから考えるとき、
初めて世界の平和が実現するように思えてならない」



 世界が、経済や政治、軍事分野で複雑な動きをしている現在。
フィリピンのミンダナオという地域から海の向こうの欧米諸国と日本とを比較すると、
いくつか興味深い点に気がつく。

 欧米諸国は、実に、戦略に長けている。
 おそらく、ヨーロッパでは、長年にわたって歴史の中で諸国が戦闘を繰り返し、
複雑な国家や宗教の対立のなかで生き延びざるを得なかったからだろう。
 戦争のおこし方、対立の作り方。相手側に工作員を送り込む方法
マスコミを使った宣伝作戦、人心操作?
 日本は、江戸時代の300年の平和そうした平和が続いた後、
突然、世界の中に引き出されて何もしらずに世界戦略の渦中に巻き込まれ
二つの戦争を経て敗退。真珠湾攻撃の際も、見事に戦争を作る操作に引っかかり
原爆投下で、全てをうしなったにもかかわらず、当時、どのように、
国際社会の中で孤立化させられ戦争に焚きつけられていったかの、
戦後の冷静な分析がなされていない。
 アジアにおける、誤った行動、とりわけ、大量の虐殺の反省、
ミンダナオでも、穴を掘って、多くのマノボの人々が生き埋めにされた、という事実など
(マノボの妻といっしょになって、山に逃れた日本人たちも多いが)
そうした検証がなされていないのは、とても不安だ。
アジアの各国にとっても不安だろうが、また、同じように、世界戦略に載せられて、
武器を大量に買わされて武器を使って噛みついて、一般の人々に、
大変な人的被害を出すようになったら悲しいことだ。
 武器を売りたい人々にとってはどこで戦争が起ころうとかまわないわけで、
日本企業も参加に名乗りを上げている?



 日本が武器を持ったらアジアは日本から離れるだろう。
 欧米ならば、多少は戦略的な判断ができるだろうが、300年の平和を享受し、
戦争の仕組みを知らない日本が大戦時のように、ただ感情のなすがままに
武器を振り回せば、子どもにライフルを持たせたようだ・・・
 欧米と日本の歴史の違いは商売の方法にも見えるような気がする。
西欧の商売の方法は、植民地主義のように商人は、貴族と結託し、
貴族の持つ軍事力を使って他国に軍を送り植民地化し、
反政府的な人々を追い出し経済的に支配する。
西部劇も同様だ。まさに、現在、ミンダナオでも起こっている事のような気がする。
 日本の場合は、近江商人がそうであったように、
商人は、貴族や武士と関わることなく武力行使もせずに、独自の文化を形成していった。
文化とは、欧米では、貴族文化のことを指し、日本では、町人文化、
貴族や武家とは一線を画した純粋な市民文化が生まれている。
それが、江戸の300年間続いた平和な時代を作ったように思われる。
 江戸時代から商業で、ミンダナオまで貿易し明治になっても戦前には、
ミンダナオのダバオには20万の日本人が住みマノボ族と結婚して現地に溶け込み
日本人学校も出来たりしていた。
 「郷に入っては、郷に従え」が商売の基本であり、
武力を使った植民地主義とは異なっている。大戦でその全てを失ったが・・・

 中国の場合は、華僑だが、これはなかなかしたたかだ。
 良くわからないが、静かに深く浸透するがアイデンティティは保持して
中華街を形成するが、小さな商店もミンダナオの小さな町にまで広がっていて、
ダバオやコタバトにも大きな中華学校があり中国語が教えられている。
 日本の場合、ダバオに戦前まで日本人学校があったのだが、
欧米の仕掛ける戦争にまんまと引っかかり、その後全てを失ってしまった。
まあどちらにせよ商売の仕方は、現在の日本の貿易や自動車産業、
衣料や家電にしても、武力を使った植民地主義では無いことは確かで、
中国やASEAN諸国に近い。
 ただ、政治が暴走すると怖いのが日本で単純なだけに、もう一度、
大戦へ至った経過を検証しアジアに対して行った失敗を反省する方が、
将来の日本のために、特に、今後、おそらくアジアを含む世界で活躍していく
子どもや若者たちのためにも良いだろう。
 戦争を起こさない商業、貿易、友好関係のなかで互いに語り合って問題を解決し、
貧困層を作らない発展を模索する力が、アジアにはあると思う。
 ミンダナオ子ども図書館には、イスラム教徒もキリスト教徒もマノボ族も
仲良く生活しているが、ここには、コミュニティーがあると感る。山の集落には、
コミュニティーが生きていると言った場合、それは、
集団社会が機能していると言うのではなく、子どもたちも大人たちも個人として尊重されながらも、
お互いに理解し合い、助け合って生きているという事だ。
つまり、互いのコミュニケーションが生きている、互いに愛し合っている、
助け合っている、友情や愛情が生きている社会だ。
だから、家庭が崩壊し親がいなくなったとしても子どもは自殺などしない。
周囲の人々の愛や仲間の友情に支えられるからだ。



 コミュニティーとは何かと訪ねられたらぼくは即座にこう答えるだろう。
 「隣の人を、自分のように愛する社会」

 日本には、この感覚が失われ皆、競争社会のなかで孤立し、孤独だ。
そのような教育で育ったエリートが政治や経済を動かしているとしたら恐ろしい。
隣の人を、自分のように愛する事のできない人は、隣の国の人々を、
自分の国の人々のように愛する事はできないだろう。
 ミンダナオの資源獲得のために起こされる紛争や戦争。
先住している人々を山に追いやって広がるグローバル企業によるプランテーション。
隣の国の人々を、自分の国の人々のように愛さない自己中心的なエゴイズム。
 日本にとってのすぐ隣の国とは中国、韓国、北朝鮮、ロシア、台湾、フィリピンだ!
日本は、これらの隣人たちと、どれだけ理解し合いながら、
友情ももって交流しているのだろうか?
今の日本人たちは、中国や韓国やフィリピン、そしてASEAN各国といった
隣国の人々を自分のように愛せるだろうか。
 競争原理に打ち勝って、成績優秀で、エリートとして育てられた者たちほど
こうした気持ちがわからない???
 先進国社会は、学校教育、識字、自由主義の力で個人主義が可能になった、
と言われる。確かに、日本の人々も、個人の自立、確立が進みそれが、
コミュニティーの崩壊や、家庭という集団社会を崩壊させたと思われるときもあるが、
個人主義が確立したように見える日本の人々を一人一人眺めていると、その内面で、
「個人」すら崩壊しているように見える。
 こうした観察から、ぼくは今、このように考え始めた。コミュニティーが崩壊すると、
次に家庭が崩壊する。家庭が崩壊すると、しまいには、個人も崩壊する。
 もしも、日本と中国と韓国そしてASEANが強い友情で結ばれて、
協調して経済活動をしはじめたとしたならば、経済力の世界第二位と第三位に加えて、
強力な韓国とASEAN各国が一体となるわけだから経済的なパワーの大方は、
東アジアが牛耳るだろう。
 それに、危機感を抱くとしたならば、東アジアを分断させ、
中国を孤立化する政策を展開したくもなるだろう。
加えて北朝鮮も希少金属の宝庫であるし、東シナ海、南シナ海も資源の宝庫だと言われている。
 ミンダナオは、南シナ海領域に入り、米軍は、ミンダナオのサンボアンガや
ジェネラルサントスに、南シナ海を中心にインドネシアからマレーシア、
ベトナムを睨む基地を置こうと計画している。東シナ海の基地は、沖縄だろう。
 北朝鮮の潜水艦の問題から始まって尖閣列島の問題、若者たちのデモ、
日中の政治的な対立・・・金持ちの日本が、円高で海外に進出するのを止めて
逆に大量の武器を購入し、核武装をしてくれれば、儲かるかもしれない。
世界の中で、善悪二元論を使って対立を起こし、国際的な政治的なプレゼンス、
軍事的なプレゼンスを高めてそれによって利益をあげる?
 国家の安全は、経済的には、共存互恵隣国と深い友情で結ばれるところから
始まると思うのだが・・・

 経済の豊かさと心の貧困は、反比例しているのだろうか・・・
 日本からの訪問者、とりわけ若者たちがミンダナオ子ども図書館に来ると、
ほんの数日の滞在であるにもかかわらず別れの時に激しく泣く。
それだけ、日本で、孤独の中に住んでいてMCLにやってくると日頃、
深く求めているにもかかわらず満たされることがない、愛や友情に飢えていた心が
現地の若者たちとの出会いでどっと開かれ、奥底にしまい込み失われていたと
感じていた自分自身が一気に復活するからだろう。
 「帰ってくるからね、また帰ってくるからね私の事を忘れないで・・・」
泣きじゃくりながら、どちらが故郷で、どちらが故里かわからないような言葉を口にして帰って行く。
 何が日本と違うのだろうか・・・

 日本の若者たちの事が気になるが、少なくとも今回滞在して多少なりとも世論が、
若い世代の事を心配し、気づかい始めていると感じる時がある。

 ミンダナオと日本の社会の大きな違いは競争社会か、お互いに助け合い、
心を分かち合うコミュニティーを重視した社会かの違いであるように思えるときがある。
 ミンダナオは、ある意味では、現代の競争社会の落ちこぼれグループの典型だ。
貧しく、開発からも、経済システムからも、教育からも取り残された人々。
多くの自称先進国の人々は、こうした人々を哀れと思ったり「努力が足りない」と蔑んだりする。

 ミンダナオは、かつては平和で豊かだった。
イスラム教徒も先住民もクリスチャンも仲よく共存していた社会だ。
良くここで聞く言葉は、外国がこの地の資源に興味を持ってくれさえしなければ、
戦争もなく平和なのに・・・。

 国際的な資源獲得競争によって起こされる戦闘。
プランテーションなどの国際資本によって、山に追われる先住民族。
ミンダナオの貧困は、国際的な資本主義社会、グローバリズムと新自由主義が、
民主主義の理想だと思い込んでいる先進国の経済至上主義によって
作られた貧困だと思う時があるし、ミンダナオの貧しいコミュニティーこそ
真の民主主義の具現化だと、感じる時がある。
 競争相手を蹴落とし、追い詰めて自己、自社または、自国の利益を獲得することよりも、
多少貧しくても平等で分かち合い、互いに愛し合うことを求めている人々も
いるのだという事を、先進国は忘れていないだろうか。日本の若者も含め、
競争することよりも心を分かち合い助け合うことを大切に思う人々がいる。
今の若者たちが、真に求めているものは、これではないだろうか。
ミンダナオの、特に貧しい人々は、そうした心を失っていない。
それに出会って、若者たちは、号泣する。
 「生き残るためには」競争社会を勝ち抜かなければならない、と日本人たちは、
子どもの時からたたき込まれる。
 「生き残る」という意味は、競争が嫌いな負け組は「死ね」または、
「死ぬしかない」「あんな者たちは放っておけ」と言う意味かもしれない。
そうした気持ちを人々が抱いて生きている社会は心の安まる社会だろうか。
孤独な社会ではないだろうか。
 そうした競争社会に疑問を持ち、競争社会のなれの果てとも言えそうな
グローバリズムや新自由主義の陰で、貧しく虐げられている人々と分かち合い
心のつながりを持つことを大事だと考える人々も、日本には多くいる。
そういう人々が、ミンダナオ子ども図書館を心から支援して下さっていると感じる。
 その心の根底は、優しさかもしれないし哀れみかもしれないし、
「取り残されている人々」?を自分たち同様の、先進的な?競争社会、
新自由主義的民主主義?に取り込むことかもしれないが・・・
支援する心に違いがあっても良いとして、ぼくの目には逆に、自分の社会が喪失した、
大事な心に対する希求や危機感が根底にあるように思われる。
プライドもあるから率直には言えないとしても、心のどこかに、
本来の優しさや人間性を失った自分を少しでも回復させたいという希望が
無意識に働いているのではないだろうか。
 その点、若者たちは、率直で感性も豊かだから、
ミンダナオ子ども図書館の子どもたちに出会うと、心の底から慟哭するのだろう。



 小学校の恩師無着成恭師が言った言葉が忘れられない。
 仏教では、支援や寄付は、布施または喜捨という。
寄付とは、つまり、自ら執着しているもの、財産や我執を喜んで捨てることであり、
それゆえ、信者は、ひざまずいて僧侶に布施をする。
布施をする方が偉いのではなく布施をする方がひざまずくのは、
それによって、自分を救って下さいと願う行為だからだ。
 寄付する方の者、支援する側の者が、自分を低くして、
貧しい人々の心によって我欲や執着といった煩悩から救ってもらう、
それが、寄付であり支援、布施であり喜捨であるのかもしれない。
 ミンダナオに来た日本の若者たちに、言う言葉
「何かをしてあげようと思うよりもまずは、友達になること。
友達になれば、友達が困っているときに何かしたいと、心から思う。
そこから、始めればよいのだと」

 ミンダナオの若者たちにはこう言う
「支援してもらっている事を感謝することは大事。
でも、まずは、友達になること。
日本の子どもたちは孤独で、心の友情や愛の支援をひつようとしている。
 だから、助けてあげてほしい・・・」

 経済的に豊かでも、心の貧困にあえいでいる、自称先進国の競争社会の人々が、
現地で救われていくのを目の当たりにするたびに思う。

 ミンダナオの貧困は「作られた貧困」ではないだろうか。
信じられないほど、土地も自然も豊かなミンダナオなのに、
なぜ3食たべられない家族、沢でカエルをとって食いつなぐしかない家族が、
こんなに沢山あるのだろうか。
本来は、このような貧困や避難民と行った困難な状況に置かれる必要の無い人々が、
なぜこのような不幸な立場に置かれざるを得ないのか。
それは、彼らには抗しがたい状況が、近代の先進国主導の政治的、経済的、
文化的状況によって作られ、圧倒的力でもって、
ある日突然に彼らの生活を破壊していくからのように見える。
 先日、ボアイボアイ村を訪ねた。スカラシップの調査のためだが、
この村のマノボ族の状況は良くない。理由は、この集落の人々が
自分たちの土地を追われ、自給地を持っていないためだ。
周囲は丘陵地で、広大な土地が広がっているにもかかわらず、
彼らには、自分たちの土地がない。
 移民系の人々に、ただ同然の値段でだまされて土地を奪われてしまった経緯もある。
しかし、それだけでは、ここまでひどくはならないだろう。
首領に聞くと、この村には、多くのマノボ族が逃げてきた。
彼らは、向こうのアンティパス県から移ってきた。
 首領の指さす方向に目をやると、すぐしたの道路の向こうアンティパス県に、
どこまでもどこまでもバナナ畑が広がっている。バナナプランテーションだ。
ここ数年、進出が甚だしく、ミンダナオ子ども図書館の奨学生の中にも追われて、
自給地を失い、家族が崩壊している子も多い。
 追われた家族の多くが、このボアイボアイに逃れてきたが、
彼らとて作付けできる土地があるわけではなく、さらに追い詰められていく。
ミンダナオ子ども図書館のスカラシップ子どもたちの世代が教育を受けることで、
せめて生活できるようにすること・・・これが最後の頼みの綱なのだ。



 すでに既得権を持った人々が、土地の所有権を放棄するとは思われず、
今後も問題が続いていくだろう。

 2008年の戦闘は、ニューバレンシアの周辺の地域から始まった。
この先の村に避難民救済に行ったとき、避難民は数千人。
どこのNGOも恐れて入らない地域だが、グレイスさんが言った言葉が忘れなれない。
「クリスチャン系の有力者が、クリスチャン系の農民に武器を渡している・・・」
その実に数週間後、国軍が入り避難民は10万を超え、数ヶ月後には80万を超えた。
ここのごく普通の人々たちは、そのようなことまで気がついていない。
今も気がついていない。この地域の貧しい人々は、
ただ自分たちの耕作する土地を守りたかっただけだ。

 かつては、この村にも、イスラムの人々が魚を売りに来たり、
クリスチャンの若者たちが、下のイスラムの村にバスケットボールをしにいったりした
というから宗教的な教義が対立を生み出しているわけではない。
これは、現在世界で起こっている、紛争や戦争でも同じだろう。
 地域の小競り合いは、リドーと呼ばれ、たびたび起こるのだが、
それが、80万もの避難民を出すほど拡大するためには、
すでに筋書きによって用意された準備がいる。
つまり、小さな発火を「待っている」大きな軍備。
世界で起こっていることを知らない文字も読めない「無知な」農民を、扇動するのは訳もない?
 時には、それが不発に終わったり、計略によって覆されたりすることもある。
アロヨ政権末期のアンパトワン事件などは、戒厳令を起こす計画が
事前に漏らされ火はくすぶっただけで消されたが、それも用意されていた筋書きだった?
マギンダナオ自治区などでは、小さな規模で戦闘が起こされることもある。
イスラムの薬売りの女性が襲われて、その報復にMILFが立ち上がり、
それに対抗してヘリコプターから空爆がはじまった。
空爆を起こすために、意図的に女性を襲わせ挑発したのではないか・・・
空爆の目的は何だったか?避難民が出て、その救済に向かったのは
「ミンダナオ子ども図書館」だけだった。空を飛んでいるヘリコプターも見ているのだが、
新聞にも載らない。NGOも地方行政も避難民救済すら行わない。
かわいそうなのは、子どもたちだ。
 2008年、戦闘が勃発した初期の段階で、クリスチャン系の暗殺団
「ねずみ」の話が出たが、すぐに消えマスコミは一斉に、
反政府組織を非難する論調であふれかえった。
どちらが先に手を出すのかは、あくまで不明の闇の中だが
戦闘を煽る強力な手段はマスコミだろう。
真実を報道する、勇気ある記者もいるが、戦争を起こす根本的な原因を、
時には偏った論調を掲載して、覆い隠すのもマスコミだろう。
 戦争を起こす理由は何かというと、現地では、土地問題だったりもするのだが、
土地問題の背後には、日本も含む国際的なプランテーションが
遠巻きに関与していたり、
(直接関与しているのではなく、地域の政治家などの有力者を通して間接的に関与している)
またピキットのように、リグアサン湿原に眠るという、膨大な天然ガス、石油、
ミンダナオが希少金属の宝庫だといった鉱物資源だったりする。
こうなると、背景は、国際的な国と国との対立関係も絡んできて、
ミンダナオの豊かな資源を、アメリカがとるか中国がとるか、
EUや日本はどうやってそのおこぼれに預かるかといった事まで動き始め、
戦闘の後の、国際的なNGOの動きまでが関わってくる?
 経済的な問題は、戦争を起こす大きなきっかけだ。反政府勢力にとっては、
貧困の問題。不公平な社会の矛盾。体制を牛耳っている側にとっては
落ち込みつつある現在不況を打破すること?
「こう、不景気だと、戦争でも起こってもらえないか・・・」
経済力が落ちてくると、国際的な政治力が落ち、軍事力も落ちてくる。
国力が落ちてくるのだ。力を維持するためには、経済力、政治力、
軍事力を維持しなければならない。それは、ミンダナオの小さな村においても、
世界においても、同様?戦争で最も儲かるのは、兵器武器を製造する産業だろう。
その主な生産地は、アメリカと部品製造に関与している列強諸国。
もちろん、日本も含まれる。
ミンダナオでは、反政府組織が使っているのも国軍同様に、アメリカ製の武器だ。
 アンパトワン一族が検挙されたときに、大量の武器が見つかった。
国軍から流れたものも有ったが、国軍ですら持っていないアメリカ製の武器があり、
そこを経由して、反政府組織にも武器は流れているというから、
武器が売れるなら、儲かるならば、敵も味方も関係ない?
宗教などを理由に挙げて二極の対立を故意にあおり立てて、戦争を作っては、
そこに武器を供給していけばよいのだ。国際的な武器商人にとっては、
自国が勝とうが負けようがどうでも良い。結局、反政府組織も正規軍側も、
戦闘の正面に立って戦うのは、正義感に燃えた若者たちや農民で組織された民兵たち。
 革命を起こして、不平等な社会を是正する。
貧困を解消して、理想の社会を作る。自由を広め、民主主義国家を建設する。
掲げている理想は美しくとも、戦闘の前面に立って戦い、
死んでいくのは純粋な若者や少年たちだ。その陰で利益を享受しているのは
別の国に住む第三者たち?自国の国内で、戦争が起こるのを喜ぶ者はいないだろう。
見世物の格闘技と同様で喜んで儲けているのは、
リングの外にいる顔の見えない第三者だ。ちょうどプロレスのように、
公衆の前面やテレビで格闘技をやらせておいて、リングの外で、金を賭けているような仕組み。
 世界で武器を買うことの出来る国は多くはない。
石油資源で儲かっている、中近東諸国。中国やロシアに脅威を感じている東アジア諸国。



 とりわけ日本は、金持ちだから、武器を買ってくれる最上の国の一つ?
日本が独自の武装した国軍を持つとしたならば、最大の顧客は金持ちの日本だろう。
中国脅威論を展開して朝鮮を刺激して、
戦争の脅威を高めれば日本国民も武装を納得する?

 北朝鮮にも希少金属があるし、中国を通してそちらにも武器を売れるし、
スーダンや南アフリカソマリアやアフガニスタンにもミンダナオ同様に
多くの資源が眠っている。とにかく、このような不景気な社会を打開するためには
戦争でも起こってもらわないと・・・このような事実に疑問を持ち、
ラジオや新聞で発表したジャーナリストや神父は、キダパワンでも殺されたし、
地元のNGO関係者や弁護士、弱者擁護の議員も殺害されたりしている。
表には出ない、簡単な暗殺か見せかけの事故。トモさんだって危ないよ・・・と、
スタッフやスカラーや妻も寝食を共にしている90名(今は123名)の
親のいない子どもたち500名(今は630名)近い奨学生たちも心配している。
 ハイゼンベルグやゲーテやユングの言うように、最も小さな部分で起こっていることを
とらえると全体が見えてくる?
 日本は、かつて世界大戦の時に善悪二元論に引っかかった。
大切なのは、決して善悪二元論に引っかからない事。
悪魔のように狡猾な第三者が必ず背後にいると疑ってかかるべき?
第三者を監視する、第四者として行動すれば、四角形の曼荼羅となり、
伝統的な陰陽二元論からはっする五行の螺旋が回復する。
仏教や陰陽道は、武器を持つな、殺すなと言ったイエスの教えに近い気がする。
 一例を挙げれば相撲のような格闘技を、賭博や金儲けのツールにせずに
神聖な技の儀式として平和のうちに受け入れること。
決して武器を持たず平和憲法を前面に出して、勇気を持って世界を渡り歩くこと。
 幸い、子どもたちの読み語りのおかげでフィリピンのミンダナオ、
ブアランのクリスチャンエリアは、心を開き始め、下のイスラム地域と一緒に
多様性の中で生きていく道を模索し始めた。

 イスラム地域の村長さんの言葉「年とった大人たちは、
なかなか簡単に受け入れられないだろうが子どもたちなら、
未来に期待が持てるだろう」ミンダナオ子ども図書館を
よく理解して下さっているイスラム教徒の村長さん。
 
 




    
 



































保育科修士課程のさとみさんも
幼稚園の先生のさとこさん
田坂好生さんも救済支援に参加
   
   
 

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緊急支援に心から感謝!!! 
前田徹生 容子さま、
松田聡子さま、
乾盛夫神父さま、
鳴門カトリック教会さま、
八隅喜一郎さま、
小林康代さま、
早藤雄二郎さま、
日野詢城和尚さま、
緑川真知子さま、
高林公一さま、
久野万里子さま、
こどもの里さま、
川越いつえ様、
ISOKAさま
ふりや かよこ様
山田穂積さま、
渡辺千春さま、
串崎恵美子さま、
マジックマレット 
小西さま、
菊池知子さま、
佐野真さま、
吉田津佳紗さま、
大澤ますみ様、
  今井晶子さま、
千里サンパギータさま
多湖敬子さま
吉田拓也さま
麗和幼稚園
藤堂さま
加藤聖子さま,
小玉亮子さま
2012/09/14現在
戦闘は、BIFFの分離過激派にたいして、MILF側が、
9月27日の政府との平和交渉の回答を待つように強く指示を出し
場合によっては、MILFとBIFFとの戦闘も辞さない強行姿勢をしめしたために
BIFF側が、とりあえず戦闘を収めることにして、つかの間の停戦状態となっています。

カバサランとバゴンイギッドには、入れなかったのですが、今は何とか入れ
保育所の建設も完了したので、27日前に、早急に開所式を済ませますが
政府との交渉が決裂した場合は、MILF側は最終戦争に入ると言っており
現地では、交渉が決裂する公算が強いと考えられています。

ミンダナオ子ども図書館では、500世帯にシートを配布しました。
その後、市長令によって帰宅が促されましたが、恐れて帰宅できない家族が
現地に残っています。また、親戚のところに非難している子どもも多く
奨学里子支援の子どもが休学し、現地から離れて、お礼の手紙を出せない状況も
起こっています。

今後さらに戦闘が拡大する恐れがあります。
帰宅した家族にとっても、渡したシートは、いざという時の緊急避難に役立ちます。
今は、寄付金はポンドして、いざという自体に備えている状態です。

状況は、逐次サイトでご報告していきます。

支援者のみなさん、現地の子供たちに代わって、心から感謝いたします。

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避難民のためのトイレも作った  
 
 



戦闘の合間をぬって
保育所の開所式を実施した


 

うっかり保育所の写真をスタッフが撮り忘れました。
保育所を支援してくださった、中本山實相院発菩提心の会のサンタクロースの皆さん、トトロの奥様
近いうちに保育所の写真を掲載すると同時に、10月の季刊誌に同封して、写真をお送りします。
予定通り、ゆめポッケも配りました。
 

 
上記でピキットで戦闘が起き、避難民が出た事を記した。
戦闘は、MCLが協力して建設したブアランと山岳部で始まったが、
MIFL側が、BIFFに、政府との平和交渉の結果を待つように圧力をかけて
とりあえず治まっている、と書いた。
避難民が出始めたとき、MCLでは、上の写真で載せたように、ビニールシートを届けた。
そのとき、ピキットで砲撃が始まり、戦車が向かい、大砲の音が聞こえ始めた地域が
リグアサン湿原ぞいのこの地域だった。
まさに、二つの保育所を建設中だっただけに、建設はストップし、状況次第となった。

実は、MCLでは、この地域が戦火に近く見舞われることを予想して
カバサランとバロンギス集落に保育所を建設したのだった。
なぜ?と思われるかもしれないが、今、戦火に見舞われそうなこの地域に保育所を建設し
いざ、大変な事態になり、人々が困窮したときに駆けつけられるような信頼関係を
今のうちに築いておこうと思ったからだ。

 

事態は、思った以上に早く進展し、まだ建設が終わっていないうちに戦闘が始まったが、
上記のような理由で一時休戦といった状況に入った。
ピキットの福祉局や現地からの情報を集めた。
この休戦期間に、ほとんど完成している保育所を建設し終えて
開所式を済ませられないだろうか・・・
 
イスラムのスタッフが動いた。
結果的に、保育所は完成し、状況を見極めて、開所式を実行する日取りを決めた。
最悪の結果も考えて、子供たちは同行させないことにして、
読み聞かせは、スタッフで簡単に行うことにした。
それと同時に、たえず戦闘に見舞われているこの二つの村は
立正佼正会の方々から贈られてきた、「ゆめポッケ」という
母親たちが、手縫いで作ったバッグに、子供たちと選んだ学用品に
ぬいぐるみを加えたものを渡す予定を実行した。
http://www.ichijiki.org/does/goods/dream-bag/
(MCLは、non-rerigious sect特定の宗派のもとで活動しないが、宗派を超えて
良い支援、心の籠もった支援のお手伝いは喜んでする。
ゆめポッケは、一つ一つ手作りで、子供たちにとっても喜ばれている。)



今回もただ開所式のサインをするのではなく
子供たちに読み聞かせをすると同時に
ゆめポッケを配ることで、子供たちがとっても喜んだ。
つい一週間前には、砲撃音がしていた地域だけに
最初は、さすがに村人も緊張した顔をしていたし
MILF側の警備も物々しかったが
学用品とおもちゃをもらって子供たちが喜ぶ顔と、
読み聞かせでの歓声や笑い声で、さすが村人たちも
つかの間の平和を感じていた。
ライフルを持った一人が曰く
「MCLは、他と違うなあ・・・」

 
 
 
 
 
カバサランとバロンギスに着いた 


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ここは、軍は入れない地域だが
年月をかけて、福祉局は入れる。
わたしたちも、5年以上のお付き合いで
もちろん奨学生たちもいる。



わたしたちを警護してくれているのは
MILFの人々だが、いつも思うのは
いったい何から守ってくれているのだろう?



川沿いに舟で行くと
子供たちも、人々も最初はちょっと
緊張したような顔で見るが
MCLであることがわかると
大喜びで手をふってくれる。
下は、奨学生たちもいる小学校、
子供たちもMCLを知っている。



対岸は、ARMMイスラム自治区で
同行した福祉局の職員たちも
緊張気味だが、そこにもMCLの建てた
保育所もあり、奨学生もいて
人々が手をふるので、あっけにとられている。

MCLは、政府も反政府も関係なく
貧しく困難な状況にある子供たちの所なら
どこにでも行く・・・
 
 




右は手の不自由な奨学生のポールくん
大学で法律学を専攻し弁護士になる 

保育所の開所式
今回はスタッフが読み聞かせをした
 
 

渡辺さんご夫婦
ピーター ポールくん、元気ですよ。
10月から、ノートルダム大学に復帰して
弁護士をめざして、法律の勉強を続けます。
大変困難な状況から来た若者だけに
いろいろと迷いもあったけれども
一歩一歩迷いながらも
しっかりと、自分の人生を歩んでいく。
そうした成長の様子を見ていくのも
この仕事の楽しみの一つだろう。
 



かつて奨学生で、
大学でマスコミュニケーションを学んだ
アルベルト君。
京都暁星高校の皆さん
彼も元気で活躍しています。
ラジオ局の経験の後に
MCLにもどってきて
今は、役員もしています。



見事に、「三びきのやぎの がらがらどん」
を語ります。
日本のみなさん、日本語の絵本も
送ってください、
読めなくても、自分でお話を作って
絵を見て語ることが出来る
想像力豊かな子供たちだということが
わかってきました。


 
 

保育所のサイン式 

中本山實相院発菩提心の会のサンタクロースの皆さん、トトロの奥様
10月の季刊誌に同封して、写真をお送りします。
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立正佼正会から贈られてきた
ゆめポッケを渡した
    
  

右の二人の少女たちも
MCLの奨学生。
父親がいない子と
手が少し不自由な子。
でも、本当に大喜びで駆けてきた。
ゆめポッケももらったし。



このリグアサン地域の出身で
舟に乗り慣れているはずの
スタッフのアミン君が
滑って川に落ちた?
実は、民希さんが舟に乗るのを
手伝っているときに
民希さんが滑りそうになって
助けた瞬間
自分が川に落ちてしまった!




 



  
 


この地域は、
戦闘が絶えないだけではなく
本当に貧しい。
10月には、本格的な戦争が
この地域で起こると言われている。
戦争だけは起こして欲しくない。

何よりも子供たちがかわいそうだ

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もしも、こうした子供たちと、日常的に出会い
長年にわたって関係を持つことが無かったなら
戦争勃発に対して、これほど神経質になり
トラウマ状態になったりはしないだろう。
我が子のように愛する子供たちが
半年から一年近く、避難民生活を余儀なくされ
表情も失われていく過程を見ているがゆえに
極度の悲しみから、トラウマが起こりはじめる。

 


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