「週感ジョジョンプ」第204号！

　こんばんわ。
　この部分は3/10に書いたのですが、3/11にアップしております。多分。いつも通り日付は変っておりますが………。
　そう、ジョジョンプ2ndシーズン始まって以来の不祥事（ウソ）3日間連続無更新………どうかなーどうよー？　キミはたとえば月火水と学校を休んで木金土と学校に行けるか？　行けなくったって割とおかしくないかもしれない。しかしPAGEの更新はそんでもやらなくちゃあダメだ。という訳で今日もまずはマクラを書いて落ち着こう。
　………？　いやいや、書ければ書くのだ。しかし今回は時間がない。いつもの代原ストックといきますか！

　今週読んでいた本は三浦綾子・作『塩狩峠』（新潮文庫）。………三浦綾子って言ってもこのPAGEを見ている方には全くピンとこないでしょう。私もあんまし知りません。実は最初、どういう内容かすっかり忘れて読んでいたのです。この本は高校生時代に古本屋で100円で買って読まずに実家に転がしてあったのを正月の帰省の際に持ち帰ったというややこしい経緯があります。
　さらにこの本をどうして買ったのかがどうしても思い出せなくて、実話をもとにした小説という事で興味を持ったのか、私も数十年前は悩めるお年頃だったのか、定かではないまま読みはじめました。
　タイトルの塩狩峠とは文中によると、「天塩（てしお）の国と石狩の国の国境にある大きな峠である。旭川から北へ約三十キロの地点にあった。深い山林の中をいく曲がりして越える、かなりけわしい峠で、列車はふもとの駅から後端にも機関車をつけ、あえぎあえぎ上るのである」とあります。
　明治末年、結納のために札幌に向かった鉄道職員、長野政雄の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走しはじめた。そこで長野は自分が列車の下敷きになる事で止めた………という事故が実際にあったらしいのです。『塩狩峠』はその人をモデルにしてその生涯を描いた作品なのですが、読んでいるうちにはたと自分がかつて読んだ事かあると思い出しました。
　この小説、日本基督教団出版局の出していた雑誌に掲載されていた事もあり、主人公がかなり敬謙なキリスト教徒なのですな。私はキリスト教徒でもなんでもないのですがこの一つの事件の「見方」というのが面白そうで、手に取ったのでした。当時は偽善っぽいっつーか、昔の小説らしくとにかく主人公が悩みまくりというその内容にかなり嫌気がさして自分の記憶の中からとにかく消し去りたくって読んだ事も忘れていました。今だったらすぐさま（ちょっと罰当たりかもしれないけど）読むのをやめてキングとかクライヴ・バーカーとかの首がすっ飛んでしまうようなシロモノを手にしているかもしれません。
　しかし今、この年になって読んでみると………かなり現実感のなさが際立っていてある意味SFであるなぁ、と思ったのです。愛読者の皆様には申し訳ないのですが断言しましょう、SFです。
　存分にSFテイストな主人公の罪と罰を噛み含めて読んでいくと、私が最初手に取った時の予感は間違っていない事を確信しました。この話は「一つの出来事」に対する、ある強烈な見方を元にしている訳です。それを少し検証した巻末の、「補遺」がかなり興味深いです。「（実在の人物である）長野氏の死は、ハンドブレーキの操作の誤りによる過失死ではないか？」とか、「自殺ではないのか？」というツッコミがいい感じです。これがなければこの小説、楽しみ半減であると言えるでしょう。カルトにハマらない皆様の試金石、と見せかけて、長編小説の物量でじわりじわりと心を押していくところはサスペンスであるとも言えるでしょう。
　普段だったら絶対に手に取らない小説を読んでみるのも、いいものですね。

　と、書いた先週、何と地下鉄日比谷線の大事故が起きました。私の会社も八丁堀の近くにあるので、朝、みんなが来なくて割と恐い思いをしたものでした（私は有楽町線で無事到着していました）。そこでまた『塩狩峠』の内容を思い出し、事故が当初「テロによる爆破」と伝えられた事も含めて、「一つの出来事」に対する見方というものを思い出してしまいます。事故で亡くなった方の中には、若い学生もいたらしい。心からご冥福をお祈りすると共に、運命の不可解さを考えるまたとない機会であった事を正直にここに書きとめておきましょう。

「週感ジョジョンプ」第205号へ進む
「週感ジョジョンプ」第203号へもどる
「週感ジョジョンプ」バックナンバートップページに戻る
「週感ジョジョンプ」トップページに戻る