「週感ジョジョンプ」第276号！

　こんばんわ。
　きりのいい280号で終了しようか、と思っている週感ジョジョンプでありますが、最後に自分のベスト3映画を紹介しようと意気込んだのはいいものの、それはそれでサービス精神が足りないな、ということでやめる事にしました。という訳で今週の一本は東宝特撮映画黄金期後期の名作『妖星ゴラス』（1962年日本）です。こんなタイトルのMAILは受け取りたくないなぁ（うそ）。
　一度、観てみたいけどビデオ屋では手を伸ばしつつやはり棚に戻す、という作品はホラー / SF関係に多かったりしますが、ゴラスもその一本。そんな私に「東京砂漠」の間黒男さんから一通のMAILが届きました。『妖星ゴラス』のビデオ上映会をやるので来ないか、という話でして………小心者の私にとってこういう機会を逃してはなりません。更新が滞りまくりなある日曜日（すみません、コレ先週の話です）、私は中央線の間邸に急行しました。ワン・ツー・スリー・フォ〜ウルトラーセブーン！
　まーったく予備知識の無い方のために簡単にあらすじを書いておきますが、内容が内容なので知っている人も多いかも。

　1980年代の日本、太陽系内に地球の6000倍の質量を持つ怪遊星が接近してきた事が判明し、「ゴラス」と命名された。土星探検のために航行中の日本の宇宙船隼号は、ゴラス観測のために進路を変更、太陽系の果てへと向かう。しかし、ゴラスの重力圏に捕まり脱出不能となる。艦長は帰還を諦め、地球にデータを託しその役目を終える事となった。そのデータから、ゴラスが地球に衝突するという恐るべき事実が判明した。これに対して世界が出した結論は、驚くべきものだった………！

　私が漫画でとても重要視するものに「驚き」があります。こういう予想PAGEをやっていると小理屈系と思われがちですが、話の細かい整合性とかは（それが謎の中心になっていない限り）二の次で「驚き」をどう演出してくるかというのが重要。リアリティが無いとか言われる事を恐れて小さくまとまりすぎな昨今の少年漫画の現状には怒りを通り過ぎて諦めすら感じますが、この『妖星ゴラス』のプロットはどうですか！　これを観れば『アルマゲドン』や『ディープインパクト』なんざいくら金をかけたか知りませんが児戯に等しいですね。いや、映画の出来ではなく（笑）アイデアの「見せ方」、あいまいに言ってしまえばスケールの大きさが。
　隕石がやってきてこのままでは地球が、という設定は誰でも思いつきます。さらに人類を脱出させようとしたり隕石を破壊したり………というのもさらに凡人的発想。
　「海水から取り出した重水素を燃料とした核融合ロケットで地球そのものを動かして危機を回避する」などと考え映画中で大真面目にやってこそプロの仕事でしょう。………いや、皆様のお考えになる事、よく解ります。「そんな事、考えてもフツーはやらない」。
　そんな人の頭上には一生カエルは降らないんでしょう。
　破天荒なアイデアは一笑に付されがちです。しかしそこを「あえてやる」と選択し、「どう見せるか」という所を追求した映画だという所に荒木漫画に通じるものがあると思いませんか？　私はこういうモノを（当時の）三億円をかけて豪華なキャスト、もうどうかしているとしか言いようの無い南極基地の特撮セットなどを揃えて作ってしまった現場に嫉妬すら感じますね。いやこれを書いていてマジで目頭が熱くなってきましたよ。今では絶対できないのはもちろんなんですが、こんな事を「あえてやる」というその精神に。
　最近、雑誌 / 書籍の企画に「21世紀に受け継ぐ………」というものが多いのですが、ジャンプの漫画もこの精神をちったあ受け継いで欲しいものです。自分の人生の10年後なんか容易に予想できる今、どんなページを見ても次のページが容易に予想できる、そんな漫画ばかりになったら生きている意味が全くない。死んだ方がマシ。心からそう思います。

「週感ジョジョンプ」第277号へ進む
「週感ジョジョンプ」第275号へもどる
「週感ジョジョンプ」バックナンバートップページに戻る
「週感ジョジョンプ」トップページに戻る