「週感ジョジョンプ」第262号！

　こんばんわ。
　さて、お待たせいたしました。今週の一本はスパイク・ジョーンズ監督『マルコヴィッチの穴』（1999年アメリカ）です。
　この映画、予告編の時からもう「一体どんな映画なんだ？！」とすごく気になっていたのですが、見ても「うわ、こんな映画だったのか」とびっくり。そのびっくりさ加減は「思っていたのと違う」というのではなく、「思っていたとおりだけどびっくり」というびっくりさなのです。説明はとても難しいのですけど、こんな映画。

街頭人形師のクレイグ・シュワルツはペットショップに勤める妻・ロッテとニューヨークの片隅に暮らしていた。定職もなく、生活は苦しかったクレイグはある求人広告を見つける。「手先の器用な人求む」。とりあえずその会社………マンハッタンにあるビルの「7と1/2階」にあるオフィスで仕事を得る。その後、同じ階のOL、マキシンに一目ぼれした彼は彼女の人形を作って家で楽しんだり………。そんなある日、オフィスのファイルキャビネットの裏に小さなドアを偶然発見する。慎重に中に入ると………そこは15分だけ俳優、ジョン・マルコヴィッチの頭に繋がる事ができる穴だった。クレイグはこれを使ってマキシンと共に商売を始めるが、待ち受けていたのは意外な結末だった………。

　相変わらずどのへんが面白いのか説明し辛いヘタレなあらすじですが、とにかくアイデアがブッ飛び過ぎ。「7と1/2階」なんて、何か映画の本筋に関わる理由があるのか？と思いきや、最後まで何もない（笑）。俳優が皆、背をかがめて演技しているサイケな光景にたちまちクラっときます。私の好みではないのですがOLマキシン役のキャスリーン・キーナーが腰を曲げてテクテク歩く姿にクラっとくる人もいるのかも。いや、クラっとしておいた方がいいですね。そーすると終盤まで抵抗なく受け入れられて、頭までずっぷり漬かれる訳ですから。
　映画を観ても、「これジョン・マルコヴィッチがよくやる気になったなぁ」と思うことしきりです。本作の登場人物はみんな、「あれ？　ジョン・マルコヴィッチって誰だっけ？」と言っているのですが、最近ではリック・ベッソン監督『ジャンヌ・ダルク』に出ていましたね。というか、ジャンヌとこの映画、撮った年は同じ。あとは『シェルタリング・スカイ』（1990）とか、『太陽の帝国』（1987）（何役でしょうか？　どうしても思い出せません）とか出ていますね。パッとした作品はないんですが印象に残る名優、名脇役といった所でしょうか。出ると数％だけ作品が厳かになる感じかな（え、『コン・エアー』（1997）にも出ているって？）
　しかし今作ではそのへんの俳優ととにかく格が違う事を確認。「マルコヴィッチ本人を演じるマルコヴィッチ」なんてもう可笑しくてしょうがない。皆さんがこの映画のプロットを見た瞬間から気になったであろう「マルコヴィッチ本人が『マルコヴィッチの穴』に入ったらどうなるの？」という疑問にもバッチリこの映画は答えてくれますよ。館内は爆笑の渦でしたけど。
　そんなところで笑っていて「この映画ってどう終わらせるの？」と思っていたら………なるほど、他人になり、他人との関係が複雑化していく中での人間の存在意義というものが………いや、これ以上はネタバレになってしまうのでやめますが、とにかくジョジョンプ的には本年度No.1ノミネート確実のオススメの一本です！

　ちなみにジョン・マルコヴィッチ、今度は監督に挑戦だとか。「Dancer Upstairs」。ダンサーの映画？　どんな映画になるんでしょうねぇ？　本作でも華麗なダンスを見せてくれただけに期待します。

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