こんばんわ。
今週の映画は黒沢清監督『カリスマ』(2000年・日本)であります。
ジョジョンプでは初の邦画ではないの? 「カリスマ」と言えば「カリスマ!」でありDIO様であります。そこで気になっているジョジョファンの皆様も多いはず。そんな皆様に先駆けて私が露払いって事で観てきましたよ。
場所はテアトル新宿。客の入りは半分ぐらい。新宿の他では関内でやっているぐらいみたいで、ほとんど単館上映みたいな感じなのに。さて、監督の黒沢清はあの『CURE』を撮った人なんですが、私もそれで観に行ったくらいでそれ以前をあんまし知らない。調べてみると、Vシネマで『勝手にしやがれ』シリーズとかを撮っていたのですね。邦画ではこれから「来る」んじゃないか、という事を書こうとしたらもうすでに「来て」いたような人。あと成人向け映画も撮っていて、蓮見重彦の弟子じゃなかったっけ? どっかでそんな事を聞いたのですがそれをダラダラ書いてもただのお勉強になってしまいますので、早く内容のほう、いっときましょう。それにしても蓮見重彦ってあーた、あの人まだ生きているの?
『CURE』と同じくまたまた刑事役として登場するのが役所広司。この人が演じる主人公・藪池は人質事件の説得に失敗し、一週間の休暇をとる。人質を撃ち殺し自らも自殺した犯人が死の直前に藪池に伝えたメッセージは
「世界の法則を回復せよ」
だった。藪池は犯人も人質も両方を生かしたかったと主張する。
薮池が何となく向かった山。そこは次々と木の枯れる死の世界であった。その中で、ただ枯れずに生き残っている一本の木があった。その木に固執する謎の青年、桐山(池内博之)により、その木は「カリスマ」と呼ばれていた。この一本の木をめぐり、森の静かで粗暴な「生」の戦いが繰り広げられ、薮池は否応なくその渦中に巻き込まれる事となった………。
と、どうイイカゲンに書いてもよく解らない内容だとは思うのですが多分、達筆の人が書いても上手く伝わらないのでまあいいでしょう。『CURE』でもその側面は出ていたのですがある所は舞台風、ある所はヨーロッパ映画風とそこそこ楽しめます。アメリカン・ハリウッドな映画オンリーの人以外には。ちょっと北野武みたいだなと思う人もいるかもね。
ただ「世界の法則を回復せよ」っていう所からも匂うように、「両方が生きる道」とか青臭い恥ずかしさが狙っているのか狙っていないのかよく解らない気味の悪さがあります。『CURE』より語らせすぎている点ではるかに劣ると思うのですが、途中からあまりのイメージの饒舌さに何か別の意図があるのでは?と勘ぐってしまいます。更に、この映画は謎がかなり多いです。そのへんを考慮したとたんにズフズブとハマっていってしまう自分に気がつきました。裏『もののけ姫』と突き放した見方もできますが、この作品、監督の中では十年あっためていたそうで、『CURE』もこの作品の前奏曲だったのではないか?と妄想は拡大していきます。そのへんの考える余地がある所はすごく優れています。
「世界の法則を回復せよ」というメッセージがこの映画の哲学的問題で、登場人物も「生」に絡めてそこを追求しているじゃん、と観る事ができれば楽なんでしょうが、私はそうは取れませんでした。と、同時に「久々にヨーロッパ的な邦画」などと言う事もできなくなってきました。ズルいと言われようともこれについては判断保留。しかし賛否両論語りまくりの映画を観るのはいいものです。昨年の『ブレア…』に引き続き、映画好きには問題がいろいろと突きつけられる今日この頃、楽しくはないですか? 私は割と楽しいですね。
ともあれ、邦画のホラーなんぞに食傷気味の方には、口直しにコイツを観て、またビデオでおフランス映画なんぞを楽しみ、自分の中の「法則を回復」しようぜという結びだとちとスノッブすぎますかねぇ? ジョジョファンへのおススメ度は低いです。しかし「パス」するのは勿体無いですぜ!
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