こんばんわ。
No. | 投稿者 | 概要 |
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PAGE1 | 投稿者:klinikさん | 狙撃名! |
PAGE2 | 投稿者:A・ドライさん | この概念! |
PAGE3 | 投稿者:螺愚那さん | ジョリーンを助けろ! |
PAGE4 | 投稿者:A’たーぼ"コステロ"さん | 徐倫 vs エルメェス! |
PAGE5 | 投稿者:GBFプレコさん | 遠くで呼んでる声がする! |
PAGE6 | 投稿者:よーやん | お前は次に………! |
PAGE7 | 投稿者:骨で支えるさん | 人型スタンドは………! |
PAGE8 | 投稿者:"レクイエム"QTQさん | 女の戦い! |
PAGE9 | 投稿者:わくわくさん | Q.E.D.!! |
PM 11:00 新宿歌舞伎町。
相手のキューは緩やかに手球を離れ、9番ボールは虚空に消え去った。
コロナエキストラを流し込み、先ほどまでの魂がもぎ取られるような瞬間をもう一度頭の中で繰返す。誰しもナインボールで相手が突く時はミスを祈り、入った瞬間には希望が削がれるのを感じるはずだ。それがゲームボールの時は特に堪える。
PM 11:20 山手線。
JR新宿駅、金曜夜、あまりに混んだ改札を抜けてまた満員電車に詰め込まれる気はさらさらなかった。先頭車両に足を向け、喧騒の中で目を閉じて電車を待った。それは自分の前でドアが開くまでそれは頑なに続けられた。このまま現実に戻らなければ最悪の一日が速やかに通り過ぎるものだとでもいうように。
先頭車両のドア前は一面ゲロの海だった。
直視せざるを得ないそれをまたぎ、角に体を預けて陣取る。それからようやく後続の乗客の嫌悪あふれる表情をちらりと見る。下を見ずにその河を渡るのは困難だった。これが水道橋のホームだったら何人かは隙間に片足を突っ込んでいたかもしれない。
PM 11:50 西武池袋線。
酔っ払った大学生男女の大きな猥談を遠くに聞きながら、今日の昼間に次郎さんからかかってきた電話の事を思い出していた。目を閉じて。
「おまえか………明日は誕生日だな? 知っていたか? その事を」
何と言えばよかったのか、いつもの様に思い返していた中、時は過ぎ去っていった。
AM 12:00 西武池袋線。
今日という日が過ぎ去った。
AM 12:30 自宅。
ネクタイを外しつつ冷蔵庫を開け、バドワイザーを一本だけ取り出す。パソコンの電源を暗闇の中で探り当て、OSが立ち上がるのを待つ。明るいウィンドウズの起動音が流れ、すぐさまネットにアクセスする。プルタブを開けながらパスワードを片手で打ち、メールにざっと目を通す。
「おめでとう」
ネクタイを部屋の片隅に放り投げ、冷蔵庫からビールをもう一本持ってくる。
次の日。
けだるい表情だったに違いなかったが、最低限の礼儀を守りつつ、クリーニング代をキャッシュレジの前に置き、登録用カードを差し出した。クリーニング店の女性はワイシャツの数を数え、登録用カードをリーダーに通した。
「オタンジョウビ オメデトウゴザイマース!」
一瞬、時が止まった。まだ高校生らしい女性店員がはにかみながら「お………おめでとうございます」とぎこちなく言い、頭を下げた。それきりでまた日常に戻り、店員は金額を数え直した。 |
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