「週感ジョジョンプ」第212号！

　こんばんわ。
　さてさて、先週のジョジョンプで『グリーンマイル』を観に行こうと思ったら、満員で入れなった………っていう話をしたかと思います。それで何を観に行ったか？というのが先週のネタであった訳ですが……遅れましたね。昨日も更新しなくってすみませんでした。スランプと呼べる立派なものではないのですが、どうも不調でありまして。

　今週の映画は『マグノリア』（1999、アメリカ）であります。実際のところ、ノーマークの人も多い事でしょう。私も『グリーンマイル』を観る事ができたら観られなかったと思う一作です。ノーマークの原因としては、どんな映画か解らない、という所にあるのでは？　「ロサンゼルス近郊の街を舞台に、そこに暮らす9組の人々の、交錯する人間模様を描く」………こう書くと、ドキュメンタリー・タッチの映画を思い浮かべるかもしれません。違います。「癌で瀕死の老人が、看護人に最後の願いを伝える。それは行方知れずになった息子に再会する事だった」………違います。
　『マグノリア』は確かに途中までは様々な「ちょっと病んでいる」人々が交錯する人間模様を描いたドラマなのですが、見所はラストにあると断言しておきましょう。
　ジョジョの方は意外な展開に話題騒然ですが、一瞬何が起こったのかと思わせるこの最後が………！

　登場人物の病み方も様々。現代人らしいといえばその通りで、荒木流突発的ほとんどビョーキな人々を目にしている我々にはステロタイプで退屈かも。まずは口の悪い瀕死の老人、アール・パートリッジ（ジェイソン・ロバーズ) 。この看護人として太ったディカプリオの様な人畜無害男フィル・パルマ (フィリップ・シーモア・ホフマン) 。老人アールが行方知れずになった息子に再会したい！と言い出す訳です。この老人アールの若すぎる奥様がリンダ・パートリッジ（ジュリアン・ムーア) というヒス女な訳ですがこの人はさておき、老人の息子っていうのがフランク・マッキー (トム・クルーズ) 。この男が男性優位主義者のセミナーのグルという役目。トム・クルーズのこの怪演は見もの。最後あたりがやりすぎでちょっと引くんですが、トムを見直しましたねー。それとは関係なく、ドニー・スミス (ウィリアム・Ｈ・メイシー) という男が出てきます。1960年代という過去ではクイズ番組の天才少年だったのに今やただのアホ（ERの部長には少なくとも見えないですなー）。しかし現在の天才クイズ少年としてスタンリー・スペクター (ジェレミー・ブラックマン) が。その背景には当然息子に寄生する父親リック・スペクター (マイケル・ボウエン)がいて、その親子の愛憎関係が………。

　この映画に対する興味を急速に失っている人がいれば申し訳ありません、私の文章力のせいです。しかしその反面、真実をいくばくかお伝えしているはず。187分のこの長い映画は途中がすごく辛いのだ。冗長の中に美しさがあるヨーロッパの映画と違って、とにかく仔細に10人＋αの人生を追うために密度の濃いものをずっと見させつづけられる訳です。
　しかし………。
　冒頭の「偶然に関するエピソード」からして、まとめは尋常じゃないな、と思って観る忍耐力がかろうじて勝って席に座って観ていると衝撃の絶対予想不可能なラストが訪れるのです！
　私も最初は、ラストはそれぞれの人間関係が奇跡的に合致するといったところでまとめるのかなー、とか思っていたのですが、違いました。これに比べれば、『シックス・センス』の「秘密」なぞ掘り出された徳川埋蔵金ぐらいチャチなものでしょう。このラストの現象、聖書に元ネタがあり、監督がインタビューで語った所ではチャールズ・フォートという作家が小説に書いているとの事ですが、ジョジョファンも満足のオチで。観た皆様、絶対に人に話さぬように。

　監督は『ブギーナイツ』（1997）を撮ったポール・トーマス・アンダーソン。私は『ブギーナイツ』は未見なのですが、興味が沸いてきました。『マグノリア』自体は全体のバランスが悪いのと、とにかく登場人物の感情のバックボーンが見えないのがとてもまずい（アール老人の奥さん、リンダの涙がかなりヘン）のですが、辛抱強い友達と行くのならまずまずの映画かも。とにかく長いので、覚悟して下さいね。

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