こんばんわ。
今週もマズい進行でホントにすんませんなぁ。気をつけてはいるんですがね。月曜日が休日でも火曜日発売だと思っていたらなんと土曜日発売ですからねぇ。
さて、3/25からステイィーブン・キング原作映画最新作、『グリーンマイル』が公開、という事で、ビデオで「ショーシャンク」あたりを観ておくと良いでしょうな。「映画と小説で観るS・キング」と題しまして、今週の一本は『ダーク・ハーフ』。
映画を観るにあたって原作をもう一度読みなおしてみました。現在は文春文庫で上下巻に分かれ、各560円で売られています。ま、上下巻併せて400円ぐらいでよく古本屋に売っているので、読もうという人はチェックしておきましょう。
売れない純文学作家、サド・ボーモントには血なまぐさい犯罪小説を書くジョージ・スタークというペンネームがあった。本来の純文学の仕事でいきたいサドはある日、ペンネームであるジョージ・スタークを葬り去る事にする。その後、そこに存在するはずのない自分の指紋が残された殺人事件が次々と起こる。それは作家と抹殺されまいとするペンネームの壮絶な戦いの幕開けであった………。
今回、再読してみて思ったのは『ダーク・ハーフ』が全体としてキング作品中では凡作と言われつつも、細かい描写はかなり光ったものが多いということです。ジョージ・スタークの台詞がいい。残忍に「おれの特急列車が通ったとき………」とか言う所とか。また、これがわざとかどうか解らないのですが、主人公サディアス・ボーモントのモノローグ部分がキング作品にしてはストレートなんですよ。キング作品の主人公って、思い悩む時いろいろと回りくどく、その辺が個人たった一人感じている、その個人しか知らざるを得ない恐怖を浮かび上がらせていますよね。ところがサドはストレートなので、人間的に一見シンプルに見えるんですよ。ここがワナで、猟奇殺人者が自分はフツーの事をやって静かに暮らしたい、と思っているのに似ていますね。
「ねえちゃん」って手書きで書いてあるページは今見てもいいですね。「ないはずのものが、突然ある」というのは、ジョンガリ・Aのスタンドとかベースボール・ボーイみたいにかなり古典的ではありますが………。よくよく考えると『ダーク・ハーフ』も「悪なる半身」という古典的なネタで、これに限らずキングの「形ある」恐怖のネタは古典的であるという事は広く知られている通りです。しかし『ダーク・ハーフ』は「自分の内なる悪」という事ではなく、「悪の双子」として形を「突然ある」と見せた所が面白い所でしょう。それと同調したスズメもいい小道具なのですが。
映画版は凡作ですが監督はジョージ・A・ロメロで93年の作品。キングとの組み合わせは『クリープショウ』(1982年)の他に、『ナイトライダーズ』(1981年)、『スリープウォーカーズ』(1992年)もあります。
もともと原作が長く、対決の場面までじわりじわりと描かなければならないのでしょうがないと言えばしょうがないのですが、原作を読んですぐ観るとすっとなぞっただけ、という感じの残る作品です。しかし、原作でも執拗に描かれている百万羽のスズメの映像化という所を観るだけでも、なかなか価値があるんじゃないでしょうか。「あまりいいやつではなかった」「格調高いゲス野郎」の言語を観るのもいいし。思うに、もうちょっと時間をかけてでも同僚ローリー・デレセップスを描くべきだったんではないでしょうかね? この辺は意見の別れるところでしょう。ありがちなプロットとその量に恐れる事なく、この冬の終りには『ダーク・ハーフ』にチャレンジしてきましょう。
No. | 投稿者 | 概要 |
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PAGE1 | 投稿者:螺愚那さん | 殺されはしない! |
PAGE2 | 投稿者:"グリーンドルフィン"YEBISUさん | ジョンガリ・Aのスタンド名! |
PAGE3 | 投稿者:高橋さん | 使い勝手が! |
PAGE4 | 投稿者:klinikさん | 石仮面の海! |
PAGE5 | 投稿者:A・ドライさん | わかったぞ! |
PAGE6 | 投稿者:aporo23さん | 骨の謎! |
PAGE7 | 投稿者:"レクイエム"QTQさん | パーツ! |
PAGE8 | 投稿者:"マンハッタン・トランスファー"FARAZさん | 逃げろ! |
PAGE9 | 投稿者:よーやん | レストランにペッパー! |
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