write 2000/07/30
ジャンプ第35号予想
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「週感ジョジョンプ」第242号!


 こんばんわ。
 夏だ読書だ、という事で夏休み期間中はなるべく毎週二冊ぐらい紹介していこうかなと思っておりますが、あくまでマクラはマクラ。本題は予想なんで、その辺を見誤らないようにしたいです………。今週の一冊パート2(それは二冊目といわんか?)はジャック・ケッチャム『ロード・キル』(扶桑社ミステリー)。道と殺人鬼、と言えば以前ジョジョンプ151号でも紹介したジェイムズ・エルロイの『キラー・オン・ザ・ロード』を思い出しますが、これはもっとシンプル。

「黒イナゴ亭」のバーテンダー、ウェインは昆虫や小動物などを殺し続けた過去があり、密かな殺人願望を持っていた。加えて隣人たちの悪事………「犬の糞を掃除しない」といった些細な出来事を手帳に記し、「有罪」として殺しの時を待ち続けていた。ある日、偶然にも殺人現場を目撃した彼は、犯人の家に行き、共に殺しの旅を行うために道に出、己の願望を解放してゆく………。想像を絶する殺人旅行の始まりだった。

 またバーテンダーですね。バーテンっていうのは謎の過去と二面性に富んでいるものなんでしょうかね。今回の殺人鬼は町中の人間のほとんどの罪状を承太郎よろしくメモに書き付け、いつか殺してやる、と狙っています。『キラー・オン・ザ・ロード』の主人公、マーティン・マイクル・プランケットは一定の美学に従って殺人を行う奴でしたが、ウェインはとにかく殺人衝動のカタマリ。「ブッ殺す」と心の中で思ったのならスデにハイウェイ上で引き金を引いてしまっているような、そんな人物。
 面白いのは、作中の第二の殺人者であるリーとキャロルの存在。彼らは、三角関係がもとである男を死に追いやり、それをウェインに目撃されてしまう訳ですが、その「フツーの殺し」がウェインの「異常な殺し」によって"表面上は"ジェットコースターの様に後ろに追いやられて行くのが興味深い所です。リーとキャロルの心の中では、ウェインのあんまりな「殺人」を目撃し動揺しますが、同時に地獄のドライブに行く原因となった「自分達の殺人」を顧みる余裕がある訳です。その渾然とした二つの流れが、ロード・ノヴェルとしての完成度を高めています。物語の前半のキャロルの考えにその練られた部分があります。

 BMWはいつものようにすいすいと丘を走っていた。ヘネカー老人が、黒い雨戸を閉め切った白い屋敷の前で、芝生に水をやっている。老人は車に気がつくと、手を振ってきた。キャロルも手を振って答えた。
 ふだんと同じだ。
 そうでしょ?  今日はまだ誰も殺していないもの。なんだって考え方しだいよ。
 また頭痛がぶり返していた。

 実に構成がシンプルで、なおかつ読ませるというその理由がお解りいただけたでしょうか? ジャック・ケッチャムはS・キングも絶賛の作家(らしい)のですが、キングの重厚さというか、執拗な書き込みはありません。なので、割と広くお勧めかな、と。作者、ジャック・ケッチャムは解説によると 「わたしはいつも『どこに悪があるのか?』を最初に知りたいと思っている。小説を書く人の中には『自分は何のためにここにいるのか』を探求する人も多いようだが、わたしはどうも『自分は何に直面しているのか』を探り続けているように思う」と、言っているそうです。ちょっとジョジョ第五部にも通じるものがあると思いませんか?

No.投稿者概要
PAGE1投稿者:yooichiさん爆発の前に!
PAGE2投稿者:A・ドライさん記憶DISCだけ!
PAGE3投稿者:ともよさん集合と結果!
PAGE4投稿者:ラバーソウルさん倉庫の死闘!
PAGE5投稿者:MASさんヤクを使え!
PAGE6投稿者:よーやん許可するッ!
PAGE7投稿者:"グリーンドルフィン"YEBISUさん燃えろ!
PAGE8投稿者:ファクトリーさん真の能力!


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