write 2000/06/12
ジャンプ第28号予想
「週感ジョジョンプ」トップページに戻る

「週感ジョジョンプ」第228号!


 こんばんわ。
 会社から遅く帰ってきていちおー食事して更新、という生活を送っているWeb管理者にとって食事とは? 私はロクなもの食っていませんね。ご飯は毎日炊きます。安上がりだから一応。納豆も食べるかな。あとビールですね。それと量り売りのサラダを買ってきます。あと一品あるといいのですが、予算オーバーなので食わない事にしています。冷奴だけの日もありますね。飲みに行くために節約しなけりゃいけないんで。冷奴をスプーンですくってなるべくゆっくり(これポイント)食べます。で、腹が減ったらそのまま寝ます。
 毎日そんな感じではありますが、社会人ともなってちょい金に余裕が出てくると、給料日直後は上手いものでも食うか、という事もあります。それが長じて毎日「マシな」ものを食わないと気がすまない人もいます。私はそういうこだわりはいっこうに構わないと思いますが、それを人に話すというのはどうも愚行のような気がしてなりません。根がB級だからでしょうか。
 そんな私が手に取ったのが不思議な今週の一冊です。北大路魯山人『魯山人味道』(北大路魯山人・著 平野雅章・編 中公文庫)。北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)と聞いてもジョジョンプ読者、特に高校生までの人にはピンと来ないかもしれませんね。大学生なら専門にもよりますけど、知っているかも。
 若い頃から独学で書・篆刻・絵画を志して、大正期に「美食倶楽部」「星岡茶寮」を創業した芸術家………とここまで書けば「ああ、『美味しんぼ』の海原雄山のモデルか!」とはたと思う人も多い事でしょう。「星岡」以降は陶芸に没頭していた事もあわせてピッタリですね。
 今回のこの『魯山人味道』もそんな偏屈親父の繰り言が並んでいるのか、と思いつつ紐解いてみると………やはりちょっと美文調がかった文章でとうとうと美味について書いてあるのみでちょい閉口します。例えば「くちこ」について書かれた項ではこんな調子。
「………これは寒海鼠の胎児の話であるが、そのはらわたはこのわたであって、これは大概の人がご承知のとおり、初見おか惚れという美人ではないが、トロトロと長く糸を引くやつを、一筋舌の上に乗せ、無上の味覚に陶酔し、顔面筋肉は、心の愉悦を表現して、やや弛緩する………」
 好きな人は好きかもしれませんがとりあえずサービス精神ゼロ。長いセンテンス、小論文では減点、いや人の事は言えませんね。それでも読んでいくうちに少しづつ面白くなっていくので何でも読んでみるもんだなぁと思います。
 美食を追求していく試行錯誤の中途という事を意識させる「山椒魚」の項なんか、なかなかいいです。山椒魚の調理法として言われた通りに「気に縛りつけて棒で叩いて料理する」事を実践し、その身を切ると山椒の匂いがするのに静かに驚くくだりは面白いです。上海で「大田鶏」と大書きして貼り出してあったので食いに入ってみると何と蟇蛙だった、という「蝦蟇を食べた話」もユーモラスです。
 最後の方の「味覚馬鹿」の項となると、また孤高漂わす料理の至言が淡々と述べられています。あとがきによると、晩年の魯山人はそのキッツイ性格が災いして、家族とも別れ、陶芸に没頭し、経済的に逼迫し、孤独な日々を過ごしたということです。その侘しさの末路、我々が自己主張の激しい人間に時に見てしまう寂しい末路を感じさせ、なかなか思わせるものがあります。年がら年中、味に厳しかったというそのマニアっぷりは他の道楽の気概を引き締めるにあまりあるものがあります。
「………私の考えていることは、日常生活の美化である。日々の家庭料理をいかに美しくしていくかということである。材料に気を配るとともに、材料を取扱う際の盛り方からまず気をつけて、いかにすべきかと工夫するのだ。工夫は細工ではない。工夫とは自然に最も接近する事だ………」
 日本の意固地なマニア心を伝承する者にとっていかに生くべきか(笑)というのは重要な問題でありますが、美もまた考えるべき事かもしれませんね。

No.投稿者概要
PAGE1投稿者:"グリーンドルフィン"YEBISUさんボディー!
PAGE2投稿者:A・ドライさんもう一つの腕!
PAGE3投稿者:MASさんエルメェスの覚悟!
PAGE4投稿者:ひろみさん女性の名前!
PAGE5投稿者:よーやんフ〜〜〜〜〜〜!
PAGE6投稿者:AMCさん一枚入れば………!
PAGE7投稿者:GBFプレコさん魂をもう一つ!
PAGE8投稿者:骨で支えるさんブランドリスト!


「週感ジョジョンプ」第229号へ進む
「週感ジョジョンプ」第227号へもどる
「週感ジョジョンプ」バックナンバートップページに戻る
「週感ジョジョンプ」トップページに戻る

CON$ E-mail: condor@edit.ne.jp
このPAGEはWindows95+Netscape Communicator Ver4.7Jで作成しています
Copyright (C) 1997 CON$