ミンダナオ地方マギンダナオ、
コタバト両州の州境付近で、
14日から続く反政府武装勢力
モロ・イスラム解放戦線(MILF)と
バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)の交戦で、
国軍のカタパン参謀総長は19日、
事態収拾のため、
近く国軍部隊を投入する考えを明らかにした。
首都圏ケソン市の国軍本部で
記者団の質問に答えた。
交戦地域の拡大で、避難住民が
2万人を超えたためだが、
国軍介入が事態悪化につながる恐れもある。
また、BIFFはMILFとの戦闘に加えて、
コタバト州キダパワン市にある
州庁舎襲撃を計画しているとされ、
予断を許さない状況が続きそうだ。
交戦はマギンダナオ州パンガルガン町で始まり、
その後、隣接する同州ダトゥモンタワル、
コタバト州ピキット両町にも広がった。
国軍が介入する上で問題となるのは、
部隊投入対象となる地域の選定。
戦力面でMIFFに劣るBIFF側は、
小グループによるゲリラ戦を続けているとみられ、
「仲裁に入ったレフェリー(国軍部隊)が
殴られることもあり得る」
(カタパン参謀総長)状況だ。
また、両州に点在するMILF支配域に
国軍部隊が不用意に入った場合、
MILFとの遭遇戦が発生する可能性もある。
「三つどもえ」の交戦を回避するため、
MILF指導部との連携など、
慎重な対応が必要となる。
今回の交戦原因は、主に
(1)リド(土地をめぐる争い)
(2)BIFF構成員による
MILF支配域通過をめぐるトラブル--
の2点が指摘されている。
発生直後、MILFの部隊指揮者が
死亡したことから、
「報復戦」の様相も呈している。
このため、カタパン参謀総長は
「(MILFとBIFFの)組織的戦闘なのか、
それとも部族間同士の争いなのか。
事態を複雑化させないため、
交戦原因と現状の把握をまず進める」
と述べ、部隊投入の時期は明示しなかった。
BIFFは、現政権発足直後の2010年12月、
MILF第105部隊の
カト元部隊長により結成された。
MILFの離脱者らで構成され、
兵力は1千人程度とされる。
カト元部隊長は、MILFと比政府の
和平交渉に不満を持ち、
08〜09年に町役場占拠事件などを起こした。
(酒井善彦)