次世代コンテント研究室

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レンダリング

 カメラ実写と立体物映像の合成画像に生じる違和感の主な要因が、 実写と立体物映像間における照明条件の不一致にあることから、 次世代コンテント研究室では、 高い精度(物理的にほぼ正しい輝度)での周囲環境の照明条件の取得法、 及び、照明条件を物理法則に基づいてシミュレーションする、グローバルイルミネーション(GI) と呼ばれる画像生成法の研究開発を行っています。

 周囲環境の照明条件の取得については、 デジタルカメラで周囲を撮影することで行います。 しかし、周囲環境の照明条件は非常に複雑で、且つ、とても広いレンジの物理量になります。 例えば、日中の日陰領域からの照明の量を1とすると、太陽によるそれは軽く10000を超えます。

 こういった広い範囲の照明条件を取得するために、複数の露出で同じアングルの画をデジタルカメラで撮影します。 オート露出で決めた露出を基準に1F-Stopずつ露出を下げてゆき、 一番強い照明だけが残る状態まで下げては撮影を繰り返します(図1)。 (ちなみに、日中屋外晴天時ですと10F-Stop以上の撮影が必要です。)

図1−多段階露光撮影画像の例


 そして、これら複数の画を段階的に組み合わせて、High Dynamic Range Image(HDRI)と呼ばれる 広いレンジの画像を作成し、これを周囲環境の照明条件として保存します。 尚、このHDRI作成の際は、研究者 Paul Debevec 氏らによって開発された HDRShop というソフトを使用しています(図2)。 この HDRShop のチュートリアル等の日本語訳を、こちらからご覧頂けます。

図2−HDRShop の作業画面


 HDRIとして取得した周囲環境の照明条件を基に、立体物のGI計算を行います。 このGI計算については、幾つかの処理方法が提案されていますが、 我々はその中の「有限要素ラジオシティ法」をベースとして開発された、株式会社オプトグラフのラジオシティライブラリを GI計算エンジンとして採用し、計算結果である立体物の照度値を、そのままテクスチャとして保存することで、 立体物を任意の方向からフォトリアルに表現出来るようにしています。

 また、このオプトグラフラジオシティライブラリを、Alias社の3DCGソフト Maya のプラグインパッケージ化することで、 フォトリアルなコンテント制作のシステム化を図っています(図3)。

図3−Maya プラグイン開発によるワークフローのシステム化


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