マジックイメージによるプレイ   (植田清吉)



 僕は高校時代「旧」ローズで結構遊んでいたのですが、次世代の「B」に移行した時、マジックイメージの概念に面食らいいま一つ馴染めなかったクチです。結局「B」は 敬遠したまま「F」になってローズに復帰したのですが、今ごろになってようやくマジックイメージの面白さと言いますか、魅力がわかり始めてきたような気がします。
 で、マジックイメージに慣れるということも兼ねて計画していたのが「世の中全てマジックイメージだ文句があるなら解釈して来い」という少々どころではないほど乱暴なセッションです。おおまかにプレイの形を説明しますと、

 1.PCを作る。(Fローズ準拠。ただし非常に曖昧。)
 2.プレイヤー、マスターともに手札として5枚のマジックイメージカードを持つ。
 3.マスターはマジックイメージカードの山札から2枚をめくり、そのイメージに基づいて現在の状況を説明する。
 4.プレイヤーはPCのアクションを手札マジックイメージを組み合わせて説明し、場に開く。
 5.マスターはそのアクションに対するリアクションを手札マジックイメージを組み合わせて説明し、場に開く。
 6.プレイヤー、マスターともに手札は常に5枚になるよう随時補充。
 7.以後4.または舞台の変更などがあった場合には3.に戻り繰り返すことによって進行。

 という具合になります。原則としてキャラクター作成時以外はダイスを用いません。実際のプレイは、

マスター:「まじないの婆さんのところを尋ねるんだね? 彼女の家は町外れの農園の脇に有るんだけど・・・・」

 山札をめくる。花輪<逆>(憎悪)とランプ<逆>(誤解)。

マスター:「婆さんは居たけど、君たちのことをタカリか何かだと思ってるみたいだね。口の中でブツブツ毒づいてる」


プレイヤー:「旅行者だって説明して誤解を解こう。他所者だけども他意は無いって」

 手札から鳥<正>(旅行)と犬<正>(信頼)を場に出す。山札から2枚補充。


マスター:「婆さん、ちょっと迷ってたけど」

 手札から三角<正>(精神の作用)と五芒星形<逆>(混迷)を場に出す。山札から2枚補充。

マスター:「わかったらしいね。君たちをあばら家の中に招き入れる」


 手札から真の白(悟り)を場に出す。山札から1枚補充。

 このように進行していきます。細かな取り決めとしては、
・魔法は今のところ「なし」。もしくは参加者全員の合意のうえ、Bローズからルールを流用。
・ゲーム中1日経過するごとに手札・山札を合わせて配り直す。
・状況設定のための山札からの2枚は、めくった時点での正/逆位置で固定。手札のマジックイメージの正逆は場に出す時点で自由に決定。
・「混じり合う全ての色」または「完全なる無色」を手札から使った場合、マスター/プレイヤーを問わず手札の制限枚数が1枚減る(ただしカード自体の効果は絶大)。これによって減った手札はゲーム中1日経過するごとに1枚回復。手札の制限枚数が0になったPCは狂気を発するなどして廃人化。(マスターの手札の制限枚数が0になった場合の処置は未定。)
 これぐらいですか。
 当然のことながら話の内容は手札に左右されますので、かなり偶然性の高いプレイになります。特にマスターには相当なアドリブの演出力が求められるものと思います。
 まぁ基本的にシナリオを用意せず、電光舎さん(注・田中桂氏主宰サークル)で出しておられる『メディリオノイルの生活』の遊び方にあるよう、1日の行動を午前/午後に分けるぐらいで、気楽に遊ぶのが良さそうに思えます。壮大な「冒険」なんてのよりも、ちょっとした「生活」なんかをやるのに向いているのではないでしょうか。
 僕自身は、英雄譚でありますとかそういう方向をRPGの中で演出するということについて、現在はあまり興味を持っておりませんので(少なくともマスターとしては)、どなたか他のかたにお願いしたいと思います。
 神話となるとまたやっかいです。僕は、ユルセルームの神々(幽魔族その他の小神をも含めて)というのは、あの世界の法則から切り放された位置にいるものだと解釈しております。神自身がユルセルームに介入するのに、たかが「パワーの断片」に過ぎないマジックイメージという貧弱なものを手段として用いるのか、という疑問があります。
 もし仮に、舞台がユルセルームでなく「ユルセルームの神話世界」であったとしても、ではそこでユルセルームの法則が通用するのか否かということが問題になってくると思いますし。
 蛇足ですが一言。「人間味の強い神話」よりも「人間」のほうがはるかに面白いと思いますが。個人的には。
 「魔法」に関しては、「すべての行為、すべての言葉にイメージが宿り得る」という言霊思想的解釈により、現状のままにとどめるつもりでいます。例えば、信じられないような出来映えの芸術品や、人の心を動かした言葉、後に語り継がれる仕事。そんなものが、生活のまにまにそれとはわからず現れる魔法であると。身近な例で言うならば、かつてのオリックス・ブルーウェーブの優勝。「仰木マジック」と呼ばれたりするアレです(冗談抜きで)。
 また「感情」ですが、これをマジックイメージと併用しますと、収拾がつかなくなる恐れがありそうです。結局のところ、このプレイではPC、NPCなどのアクションを「Bローズ」の魔法ルールに近いものでイメージに翻訳し、それを用いているわけです。「Bローズ」では、能動魔法を使用する機会がある程度限定されていたために、同一のマジックイメージによって構成される魔法の内容が、感情によって変化するという処理もできたのでしょうが、それをこのプレイの中でいちいちやっているときりがなくなるのではないかと思います。一見、カチっと決まったようなルールでも、実際に遊んでみたら繁雑極まりない、というのは避けたいですから。
 結局、僕のやってることは「ローズ」かもしれませんが、「Fローズ」ではないように思います。ルールを整備するためにではなく、僕がユルセルームで楽しむために遊んでいるので、僕が馴染まないと思ったものは取り除きます。

筆者注:この文章はかつてRPG専門ネットEXCELに発表したものを加筆訂正したものです。


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