足柄山の三悪人鼎談


植田コワルスキー清吉(以下う):こんにちは皆様。おなじみべいすめんとるうむの二悪人にと、P波〜初期微動〜のオカシラ柊ほゆる(職業:悪人)をオマネキしてここ足柄山から楽しい一時を見せびらかして差し上げます。
JIMMYジミーおのだ(以下J):ハタチのギャルも悪人呼ばわり、相変わらず毒舌ざんまい、植田さんの舌に触れたもの全て毒に冒されてしまうという中国三千年の伝説の舌の持ち主だけのことはある。どうもコンコンチキ、JIMMYです。九八年もよろよろしくしく。
柊バニーほゆる(以下ほ):悪ウサギな柊ほゆるです。皆を騙してやります。今日のこの日を待っていたのですよ! 耳を長くして! 植田さんと対決だわ! …山吹色のお菓子です。こいつで、よろしくしてやってください。
う:ヤレヤレとんでもない性悪を掴んじまったぜ。一体これからどうすりゃいいんだ兄弟(台湾のプロ野球チーム)。いつもいつもワレラの対談に混ざるヤツは「よろしくしてくれ」と哀願するのはナゼなんでしょう。ワレワレ気のおけない仲間だと思ってるのに、よろしくも何も今更そんなこと言わなくてもいいでしょうに、ねぇ。
J:と言っておいてなれなれしくすると「この礼儀知らずのバカチンが」とビームを発射するくせに。全く策士なんだから。今日も「また今夜もエジキだわい」と毒ブクロをふくらませて喜んでいるにちがいないですよ。
ほ:毒ブクロどこに付いてるんですか? 植田さん。私とっても知りたいお年頃なの。でも毒殺は苦しそうだからイヤダ。ビームは楽しそうなので、出してください。
う:毒ブクロ? ありとアラユルところに付いてますよ。ほらたとえばこんなところにも。でも勿体無いのでビームは出しません。エネルギー不足。エネルギー対策にはハイブリッド。電気とガソリンで楽々動くハイブリッド人間。でも便所は近い。困ったもんだ。
J:便所で排出しないでもう一度摂取して燃焼すればもっとエコロジー、ハイブリッドターボ、オマケにインタークーラーで強制的にお腹を冷やせばもっとブリッド。
ほ:こんな人やだ。もてないよ? あっち行ってよ! ガソリン臭いのもヤダです。
う:とにかく臭いのは俺もイヤ。これを三悪人三つの誓いの第一条とということにしましょう。者ども第二第三の誓いを考えるのだ。優秀作品には豪華商品と副賞の足柄山から寒い雨の中静岡までトボトボ歩いて帰るツアープレゼント。俺はいらないけどね。
J:そりゃツアーじゃなくてウバステですよ。いやウサステかな? タクシー呼んで植田さんに請求書回してしまえば問題ないか。どうかな捨てられ指数No.1の人、いやウサギ。
ほ:おやおや? 今使用している車は誰のものかなぁ。そんなこと言う人は捨てていきます。歩いて帰る人は、高速道路に出ないようにね。轢き殺されちゃうからね。山の中を行きなよ。
う:俺は第二第三の誓いを考えろと言ったのであって、誰をエジキにするか決めろなどとは言っておらぬわ。この能無しドモめ。足柄名物熊ビームを喰らいやがれぃ。
J:出た、コワルスキーの爆笑熊殺し。そんなに無理して決めなくたっていいのに。どうせまた忘れるんだから。私ら三歩歩いたらワンという体質なんですからね。
ほ:そんなのすっかり忘れたサ。私、忘れ物クィーンだからね。
う:そんな肩書きなど俗世を離れたこの足柄バトルスクェアでは通用せぬよ。千年女王だったってんならともかく。日本の学校制度ではせいぜい二十一年女王がやっとだよ。こらJIMMY居眠りしてんじゃねぇぞ。目覚ましビームだ。
J:うおう、怖くてふるえて目が覚める。いいじゃないですか、運転してる時は寝なかったんだし。
ほ:あたりまえでしょうが! 私の車なんだからだめです。そういうことは自分の車で一人でやってね。
う:では第二条、「車を運転するときは勝手に寝ない」。これは大事だ。この掟を破った者には自動的に死の制裁が。オソロシヤ。
J:勝手にっていうコトは許可申請すればいいのかなぁ。家に帰るまで認可されないと思うけど。コミケの一般入場ぐらい時間がかかりますよ。
ほ:人が沢山いて、うじゃうじゃでしたね。私はサークル入場でしたがね。初参加で楽しかった。
う:俺は今回ジプシーというかジタンというか亡命百済人というか、本拠地を奪われて一日みじめな思いをいたしました。すぐまわりにチヤホヤされる人がいたかと思うとより一層。灼熱ハラワタビームとか射ちたいところですが、エネルギー不足なのでガマン。ニクマン食います。
J:みじめとか言ってるわりに傍若無人にビームを撒き散らしていたくせに。エネルギー不足なんてウソウソ、絶対ハイブリッドなんだから、あの射ち方は。枯れることなき泉のごとくあふれ出るビーム、それはナイアガラの滝のようでしたよ。
ほ:知人が皆来てくれたので幸せだったよ。なんか、コミケの目的は「人に会う」だったような気がする…。
う:そうなのよ、まさにそう。俺たちだって作品を発表する場としてだったらコミティアで充分用は足せるの。何でわざわざ暑い中寒い中そして何より臭い中あんな所に行くかって言うと、遠来の旧友とかカントリーマンとかに会って話ができるからですよ。どうお考えですか?
J:まぁ中にはEVAの同人誌が沢山欲しいとかコスプレの女の子と写真を撮りたいって人もいますがね。でもそんなのは時間がたてば恥ずかしいだけかも知れんし、友人こそが財産ですよ。でもみんな悪人仲間だから貢ぎ物をくれない。一戸建てとか金銀財宝とか一人位くれてもいいのに、十五万人もいるんだから。うさぎは珍獣扱いだからいろいろもらえていいよね。
ほ:いろいろな意味で珍獣扱いでしたね。いろいろもらってラッキー!でも、ちょっとかさばって大変。大きいんだもの。うれしいけど。
う:では第三の誓いは「もらえるものは何でももらう」に決定。気になる優秀作品は誰だ? 歩くツアーが待っているぞ。
J:それが誰だったかは読んだ人の想像に任せるとして、コレどう見ても「良い子の誓い」ですよ。まぁ私たちの素性の良さをアピールするには充分なパフォーマンスだったといえましょう。
ほ:せっかく悪になったのに、だいなしだ。どーしてくれるんだ? 私もビームを出してやる! カクゴしろ! さて、これは何ビームかな? 出してみてのお楽しみだわ。うふふ。
う:そんなヘロヘロビームが通用するか。毒ブクロに吸収して反射衛星ビームを一発カマしてやるゼ。と思ったがこれはそのまま消化してエネルギーにしよう。さて、これでビームの出ぬのはJIMMY君ただ一人となったよ。ガンキャノンもガンダムもビームライフルを持ってるのにガンタンクだけは持ってないんだよ。あのジムでさえビームスプレーガン持ってるんだ。それとも君はボールか?
J:実は私はジオン軍なんですよ。だからザク、でもシャア専用、恥ずかしくなると赤くなって三倍のスピードで逃げる。おもちゃ屋で並ばないと買えないんですよ。大手サークルですよ。
ほ:ガンダムよくわかんないもん。二人で話してなよ。いいよもう。大手サークルって「W.C.」とかいうサークル名の所ですか? すごい列でしたね。
う:ワールドカップに辿り着くまでには長くて辛い道ノリがあったのですよ。日本代表が苦しんでカントクの顔付きまで変わってしまったように。最初スーツ着てコレステロール高そうなオッサンだったのに。
J:エンギが悪いからといって改名して、エステで激ヤセ、目も悪くなって大変でしたよね。でもその苦労のかいあってW.C.という文字が街中にあふれるようになったんですよ。以上、小耳にはさんだちょっとイイ話。
ほ:W.C.という文字は以前から街中にあふれていたような気がするんですが…。無いと困るでしょう。でも、W.C.があふれたら大変だわい。
う:そりゃ大ゴトですよ。あっというまに法定伝染病ですよ。学校休まされちゃうですよ。JIMMY君失職の危機。黒ヒゲ危機一パツ。
J:それにしてもあの黒ヒゲはどういうシチュエーションで樽になぞ入ったんでしょうねぇ。やっぱり三つの誓いを破ったからお仕置きされてるんでしょうか。それにしても高く飛ぶもんですな。海賊だから、体きたえてるんでしょうね。見習わなくちゃね。僕らもイベント出たり対談したり、なかなかのハードワーカーですからね。
ほ:体きたえないとね! 体調悪いと植田さんのビームにたえられないもの。たえられないと怒るんだもの。コミケストップが出るのよ。あれ? 植田さん居眠りしてるよ。おーい。
J:このスキに帰ろう。植田さんには歩いてもらおう。
う:独り目覚ましビームで覚醒した私はムテキ。ムテキングって感じ。このムテキビームを君に。おりゃ。

一九九七年十二月三十日 足柄山中にて

BGM ビームの発射音

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