紙芝居屋たちの口上


●ウラナング
§すべては将軍たちの腹芸か?
 レシマの檄に応えてウラナング付近に集結した諸将たちは、クンカァンの執政官セセラギ・クォンの提案で、市外にて会見の場を持った。この話し合いで、セセラギには抗戦の意思はなく、すべてはクルグランに威かされてやったこと、ウラナングをクマリを返還するつもりであること、などが明らかとなった。
 一方、聖都に滞在していた黒軍は、マセウス将軍指揮のもと、いったん傭兵団に転進した後、なんとヴォジク軍に投降した。これでヴォジクは黒魔軍の精鋭をそっくり手に入れた形となり、カナンは新たな火種を抱えたことになる。

●カヤクタナ
§ヴェニゲ
 飛行都市は、エレオロクを守るように周回軌道をとった。
 太守クレイヴと軍師のワスィフは交易都市としての制度化を進めるが、これはトニに太守を譲渡する準備で、トニは少なくとも自分とウナレ王妃が存命中はヴェニゲがカヤクタナに属するとクレイヴたちに告げた。
 また、後にパルパル学派と呼ばれるようになる学者や神官たちが、パルパルと話しをつけた。その結果、パルパルはヴェニゲとして飛び続けながら、しばらくの間、人間の探求を続けると宣言した。

§エレオロク
 モロロット二世はクンカァンを追撃せず、セセラギと撤兵交渉に入った。ウラナングのクンカァン軍の通過を許す代わりに、旧シク領の割譲とオロサス家のクンカァン王位継承が条件として出され、ソヴァ将軍との交渉の末、セセラギはこれを受けた。
 ナサールと出会うことで考えを変えたレシマは、ウラナングへと戻ってフィリシと会うことを決意する。

●ヴラスウル
§ジュッタロッタの波乱
 聖都奪還の尖兵として都を後にしたヘクトール、レンセルらの辺境軍が、カヤクタナ領コレル森北西にてソイウィル率いるヴォジク軍と衝突、一敗地に塗れクタへ逃れるという椿事が勃発。ヴォジク軍は引き続きジュッタロッタを目指して進軍する気配を見せ、首都の内外に一気に緊張が走った。女王は直ちに各地の王軍に動員命令を発令、また盟邦カヤクタナへは援軍要請の使者を送り、ヴォジクとの対決姿勢を明らかにしている。
 城内では先月来焼失地の復興作業が続けられており、王族、王臣らから具体的な復興案が提出され、また民間の有志がそれぞれの分野で腕を揮っている。
 ミトゥン神殿に附属していた孤児院の再建についてはミュラー家のルヴァナに一任され、特に王命により学問所も併設される見通しである。

§闇と魔の傷跡
 東部辺境に残された闇の被害は少なくない。魔族による直接の被害のみならず、住民の避難によって手入れが行われず、そのために今季の収穫が見込めなくなった耕地も多い。タファン、ツァヴァルらが確認したところでは、井戸の中などの暗部には一部が取り残されているものの、ほぼほとんどの魔族が闇の奥へと退いたであろうことが判明した。
 流賊の鎮圧に当たっていたインカムは都合百人程度を帰順させ、南部辺境の開拓地に送ったが、当の開拓地ではギュルニ、ギュリヘツの栽培に失敗し、食糧不足が深刻な問題として持ち上がっている。
 クトルトル家の主邑セイロには当主ヘクトールの敗報が届き、急遽麾下の辺境諸侯に陣触れが回された。
 いずれにせよ、安寧はもう少し先の事になりそうである。

●ハンムー
§バーブック暗殺!
 ヤシバや古の刃など南方の諸勢力が連合して王都ハンムーを攻めるかというっところまで事態の切迫していたハンムー情勢であるが、両軍が衝突するよりも前にバーブックが死ぬという展開で、あっけない幕切れとなった。
 バーブックは、王都ハンムーの黄天宮において、護衛ハラバグンにより殺害されたのである。またこれと前後して彼の娘ウラヌニも別の人間の手にかかり、幼王ハルシャも救出されて権力を回復した。
 だがその一方、そのハルシャ王と古の刃との間に溝ができつつあるという噂もあり、ウラヌニの妹たちも蠢動しており、さらにはドゴンドッチ方面のマセウス将軍率いるクンカァン軍残党の動向も気になるところで、事態はまだまだ予断を許さない。

§南方蛮族の変質
 ハンムーで暴れた記憶もまだ生々しい南方蛮族であるが、その部族の様子が最近は変わってきたようである。本来の住処である南方辺境に散った彼らは、侵攻より防衛を重視した軍事行動を身につけつつあるらしい。部族に迎え入れられて蛮族の顧問のような立場となっているナギに心境の変化があったためと見られているが、いずれにせよこれでハンムー南部が安定するならばありがたいことである。

●クンカァン
§金剛要塞の悲劇
 黒軍のアガット将軍は、金剛要塞ゴレガミラを掌握。配下の魔族に命じて、市民全員を兵士として徴兵するという暴挙に出た。むろん、目標はカヤクタナであることは間違いない。
 緑軍はこの動きを見て、急ぎ国境の防備を固めているようだが、主力はウラナングに展開中のため、引き戻すのは容易ではない。
 金剛要塞には、兵士にできない小さな子供、老人、病気持ちが取り残され、牢獄に監禁されて重労働を強いられているという。これではクルグランの時代の方が遥かにましだったと言えるだろう。一刻も早い黒軍の屈伏が望まれる。


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