魔族来たる、闇より来たる
“大にして大なる獣”ゴマ
大きい。ゴマを形容するにはまずこの言葉が必要である。人間の身の丈を遥かに越えるゴマの姿が闇の奥底でしか見られないのは、カナンに住む者にとって幸いであったろう。そしてゴマの姿は大冒険画家の書き残したただ一枚の画幅にしか残されていない。しかしそれすらも密林蛮族の間に残る伝承に基づいて描かれたものであり、決して正確にゴマの姿を写しているものとは言えないのだ。
ゴマの正体が人々の前に晒される時が至るのならば、それは人の世の大いなる危機、闇が全てを飲み込む兆しに違いない。
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