第2回 C-1-1 首都ジュッタロッタ(その1)


◆ジュッタロッタ内・摂政クテロップ邸
 若手王臣をはじめとする来訪者たちのミカニカへの謁見は、過日の暗殺未遂事件より以後クテロップの指示により停止されている。謁見自体を苦々しく思っていた重臣たちからは、これを機に廃止せよとの声も強く上がっていたが、クテロップは頑として受け付けず、代替措置として私邸に謁見者を招き、引き続きミカニカへの進言を中継していた。
 今日も摂政邸には幾人もの謁見希望者が来訪しており、控えの部屋にあてられた応接間で自分の順番を待っている。
 従者が次の客を呼び、クテロップの書斎に招き入れる。
「これはクリルヴァ殿。ご機嫌はいかがですかな」
 クテロップが席を立ち、王族の一人である若者を迎える。
「摂政殿下も相変わらずお元気そうで何より」
「この度は何用ですかな。陛下に進言でございますか?」
 いや、とクリルヴァが首を振る。
「殿下にですよ」
 クリルヴァの目にただならぬ光が宿り、声が低められる。(さぁ、ここが肝要。ネルリーヒ様、なにとぞ御加護を!《ネルリーヒ×2・魅力+10》)
「先王メグーサイ陛下のご落胤のことはご存知ですかな?」
 クリルヴァの目をじっと見つめながら、クテロップが平静な声で答える。(この目だ。国祖ファトレオ陛下によく似ておられる)
「ご落胤? 流言でございましょう」
「現王ミカニカ陛下のお命を縮めようという不届き者が現れました。先王の血を引くその御子を民間にお置きしたままでは、やはりお命を狙われることになるやも知れません。またその御子を擁してつまらぬことを企む輩が現れないとも限りません」
 クテロップの返事を聞き流してクリルヴァが続ける。
「探索して王宮にお迎えするべきではと考えます。是非とも、このヴラスウルのため、手をお貸し下さい」
 クテロップは黙って聴いていたが、がたり、と椅子を鳴らして立ち上がった。
「クリルヴァ殿。私がどなたにお仕えしておられるかご存知でしょうな」
「無論。ミカニカ陛下でしょう」
「いや。現王陛下とヴラスウルを託すという先王メグーサイ陛下の遺詔がある限り、私の真の主君は先王陛下」
 今度はクリルヴァが黙り込む。
「ミカニカ陛下を、ヴラスウルを任せうる君主にお育て申し上げ、無事にこの国をお引き渡ししたその時から、私はミカニカ陛下にお仕え申し上げるのです」
 クテロップの声がかすれ、小さくなる。
「先王陛下のお血筋は現王陛下お一人。ご落胤と称するは紛い者でありましょう。そのような紛い者など、どうなったところでこのクテロップの知ったことではありませぬ。それに」
 さらに声が低められる。
「仮に真に先王のお血を引いておられるのであれば、おそれながら却ってこちらからお命を縮め参らせねばなりませぬ。ミカニカ陛下の王位を安泰ならしめるためにも。そうではありませぬか? クリルヴァ殿」
 クテロップの異様な雰囲気にあてられ、クリルヴァは言葉を失う。摂政と自分は、確かに国のためを思っているはずではある。しかし忠義の質が違う・・・・果たしてどちらがヴラスウルのためなのか、胸中に浮かんできた疑問を懸命に押し込める。
「摂政殿下のお考え、確かに拝聴いたしました。しかしミカニカ陛下に万が一の」
「止められよ」
 クテロップが鋭い声で遮る。
「陛下に対し奉り、不吉でございますぞ。それより先は言われますな。要は臣下一同、現王陛下をお守りし、お盛り立て申し上げれば良いことでございましょう。違いますかな」
 クリルヴァが微笑を浮かべる。
「左様ですな。では、これにて」
 立ち上がり、部屋の扉を閉めて出て行くクリルヴァの後ろ姿を見送り、クテロップは大きな溜め息を漏らした。
「次を」
 従者が近衛武人のハーデヴァを部屋に招き入れる。
「何かな? 手短に頼むぞ。後に仕えている者もおる」
 ハーデヴァは微笑みを浮かべながら言った。
「ミカニカ陛下のご縁談のことで」
「何?」
「ハンムーから持参金付きで花婿をお取りしてはいかがと思いまして」
 すぅ、とクテロップが息を吸い込む。次の瞬間、
「馬鹿者が!」
 普段は平穏・篤実で通っている摂政の口から物凄い音量で罵声が飛び出した。
「この痴れ者が! 身分をわきまえよ。たかが武人風情が王家の舵取りを気取るつもりか。メシナル家の妾腹の小僧が差し出がましい口を。退がれ、退がらぬか! 武人なら武人らしく辺境で槍でも振るっておれ!」
 いつにない剣幕で激怒するクテロップの姿を、廊下にいた従者たちが扉を少し開けた隙間からおどおどと見ている。
『只今の声は摂政殿下であろう? 何事か?』
『曲者か? 殿下は御無事か?』
 異変に気づいたらしい来客たちの声や足音も聞こえる。
「ハーデヴァ様、お退がり下さい」
 扉から入ってきた摂政の護衛兵たちがハーデヴァを左右から促し、彼の後について部屋を出て行く。
 クテロップが荒い息を整え、部屋の前にいた残り三人の客を招き入れる。いずれも王族やクトルトル家出身の王軍関係者たちである。
「少々気分がすぐれぬ。差し支えなければこのまま三人、順に話していただけぬか」
 アイシャが口を開いた。
「我がヴラスウルの軍事力を確かめ、また盗賊や蛮族相手の小競り合いでなく、諸国を相手取っての大規模戦の訓練のため、閲兵式を開催していただきたい」
「なるほど。しかしそれよりも」
 咳払いを一つしてクテロップが続ける。
「先日の王領拡充の件について、陛下より御下問が有りましてな。開拓に適した土地、これは東部辺境ということになろうかと思われまするが、アイシャ殿には現地を直に検分して、候補地を御報告願いたい」
 私も、とクゥリウが進み出る。
「小規模からで構いませんから、屯田を行う兵を養成したいと思いまして。とりあえずそれらに関する指導のできる人材を集めたく存じます」
 クテロップがうなずく。
「ではクゥリウ殿、その人材も現地にて実際に開拓に従事している者の中から選ばれてはいかがか? インカムたちを派遣させましたが、東部の開拓は我らが都で想像しているより盛んであるらしいですぞ」
 アイシャがクゥリウとともに退出すると、カジフとクテロップが部屋に残る。
「言い出しそびれました。どうも王室の方々の前ですと申し上げにくく」
「何の進言かな?」
「陛下の親衛隊のことにございます」
「ほう?」
「弓兵を集め、一部隊を組んでいただきたいのです」
「弓? それはならん。陛下がお許しになったとても軍の反発が強かろう。弓が武人の武具でないことなど、戦部クトルトルの家に生まれたお主なら知っていると思うが?」
「重々承知の上のことでございますが、敢えて申し上げます。クトルトル家は連年辺境の蛮族、盗賊どもと戦い続け、弓兵を敵に回すことの恐ろしさを知り尽くしております。当然、味方につけた時の心強さも」
「・・・・うむ」
 カジフが言外に匂わせたことを、クテロップは悟ったようである。
「わかった。今夕にも進言しておこう。クトルトル家の忠誠、陛下に必ずや嘉されようぞ。・・・・そうそう、間者の知らせによれば、先月からのカヤクタナとクンカァンの戦、クンカァン側が劣勢にて一時兵を退いたとのこと。ただし」
「ただし?」
「これは不確かな情報ではあるが、モロロット二世王の消息が不明、との噂も入ってきておる」
「情勢、目が離せなくなりそうですな。ともかく摂政殿下、陛下までよろしくお取り次ぎ願います」
 深々と礼をし、カジフが引き下がる。部屋に残ったクテロップが、また大きな溜め息を吐いた。

◆クテロップ邸・隣室
 ぎぃ、と扉の開く音。いささか疲労の見える表情でクテロップが入ってくる。
「お疲れでございました」
 室内にいた三人が立ち上がり、会釈をする。
「待たせてしまったな。何分にも若手のやる気というものは大事にせねばならぬからの。これも王臣を統べる摂政のつとめとして果たさねばならぬこと。」
 クテロップが着席を促し、テララッハ、アッカーン、ルナの三人が卓につく。
「案はまとまったか? 三人とも」
 まずテララッハが口を開く。
「専売制の強化を。塩、銅、酒の三品の流通を国が管理し、その収益を財源に組み込むのです。それから国債を」
「国債?」
 えんえんとテララッハが国債の発行について考えるところを述べ始めるが、途中でクテロップが遮る。
「わかったわかった。塩はビョガ様、銅はフラヘシュ様あたりか? 酒はブリュヘ様にお伺いを立てるとして、その国債とやらはどの神様にお伺いを立てれば良いのだ?」
「は?」
「わからぬ男だの。神意をお伺いするにはどうすれば良いのだ、と聞いておる」
「いや、それは・・・・」
「答えられぬのか? ならばその案はちと辛いの」
「殿下」
 ルナが口を挟む。
「私の案を。これなる書面にまとめてあります」
 しばしその書面に目を走らせていたクテロップが顔を上げる。
「ルナ」
「は」
「辺境の農村に、足を運んだことがあるか?」
「いえ」
「ここでお前が述べているのは綺麗事に過ぎぬ。これではわずかな田畑に齧りつくようにして暮らしている貧農たちに、死ねと言うようなものだ」
「殿下、私は決して」
 クテロップの口調がたしなめるようなものに変わる。
「開拓を進める余力のある富農たちには利となるかも知れぬ。しかしぎりぎりの線で暮らしている者たちのこと、もう一度考えてみよ。」
「は」
「よろしいですかな」
 微笑を浮かべたアッカーンが、独特の節のついた口調で話し出す。
「私は商人でございますからな、大事なヴラスウルの民草を絞り取るような真似はとてもとても」
 ちらりとルナを見て、続ける。
「やはり他国と貿易を行いたく。我がヴラスウルの土地には果樹が育ち、よい実をつけますが、これを醸して上等の酒を造りましょう」
「ふむ」
「この酒をハンムー、ヴォジクなどネタニ川の下流に当たり、酒の消費の多い国々に売るのです」
「面白い」
 クテロップがアッカーンの顔を見てうなずく。
「陛下に進言する価値がありそうだの」
「お褒めに預かり光栄」
 アッカーンが軽く頭を下げる。
「ところで、ルナ、アッカーン。お前たちは二人でまとめた案を提出するものとばかり思ったが」
「いや。私はあくまで一商人に過ぎぬ身分。お役人衆のような雲の上の方々と同席させていただけるだけでも恐れ多い」
 少しも恐れ入っていない表情でアッカーンが続ける。
「それにお役所に詰めて机でお仕事をしておられるお役人衆と違い、我ら商人は商売のため国中を、いや国の外までも飛び回らねばなりませぬゆえ、なかなか時間も取りがたく」
「言うではないか」
 クテロップが苦笑する。
「言葉が過ぎましたか? これは失礼を。お役人衆、なにとぞお許し下されよ」
 ルナとテララッハは憮然とした面持ちである。
「まぁ、よい。お前たちはいずれも劣らぬヴラスウルの宝だ。競い合い、張り合うのもよいが、ほどほどにしておけ」
「は」
「それから、お前たちにはしばらく都を離れて貰いたいと思っておる。テララッハ、ルナ、お前たち二人はやはり現場に出ていないのが穴になっておる。辺境の実状を検分するも良し、他国の情勢を見てくるも良し」
 我が子を見るような表情でクテロップが続ける。
「アッカーンの言葉ではないが、役所で机に向かっておるばかりが役人ではない」
 ルナとテララッハが頭を下げる。 「それからアッカーン。お主はヴォジクでもハンムーでも良い。貿易相手となりうる御用商人を見繕って来てはくれぬか」
「相手がヴォジクとなりますと、このジュッタロッタの商館を通さねばなりませんな」
「『赤の商館』をな(※1)。わしの名で書状を用意しておく。明日にでも取りに来るが良いぞ」
「お手数をおかけいたしまする」

◆王宮前
「フハハハハハ。まずは上々の滑り出しといったところかな? どうだ、お前」
「そうね。あの嬢ちゃんを信者にできなかったのは残念だったけど」
 見事な銀髪を後ろで結った男が、その妻らしい美女に話しかける。彼らこそは近頃ジュッタロッタで勢力を増している「ネゴ神教」
の中心人物、『ネゴ神殿下』教主アーシュ・ザウクスとその妻にして副教主『誘惑の』チューリン・ザウクスであった。
「まぁ興味を持ったようではあるし、良いではないか。本来なら謁見すら叶わないところであったのだからな」
 そうなのである。暗殺事件の余波で王宮には厳戒体制が敷かれており、衛士や重臣たち以外の者が女王に謁見するのはひどく困難なのである、が。
「これもお前の実家の力よの。さすがに太后の縁者ともなれば無下にはできまい」
「それにガーラやリタが働いてくれたから、たっぷり献金もできたし。そういえばあの子たち、何してるのかしら」
 二人がくるりと王宮の門を振り返ると、三人の若者が門をくぐって出てくる。
「すみません。預けた武器を返してもらってたもので」
 神聖騎士団長のガーラが頭を下げる。
「王様の家来だからさあ。お金持ちばっかりだと思ったんだけど、あんなに警備されてたんじゃ駄目。まともに動けなかったもん」
 司教のリタが三つ編みの髪をかき揚げながらぶすっとした顔で言うと、チューリンの侍女であるセレスタが言い返した。
「えーっ! お金持ちなんていないよー。だってリタ、見たでしょ。宝石とか飾ってないかなーって思ってたけど、石と木ばっかり。あーぁ、貧乏国ってやーね。あ、そうだアーシュ様、チューリン様、次はハンムー行きません? あそこなら王宮も豪華絢爛ですよ。きっと」
「フハハハハ。考えておくがな」
 通りを歩きながら話している一向を、辻から見ている小柄な娘がいた。
(騎士団長のガーラって人がいいかな。一人でいる時を狙わなくちゃね。さ、そうと決まればお店に戻ろーっと)

◆王宮・守護兵の控え室
「傷のほうはどうだな。ククルカン」
「は。もはや何の差し障りもございません」
「それは何より」
 守護兵の主立った面々と摂政クテロップが顔を揃え、今後の警備方針について相談をしている。
「まずナハルから提案のあった、犯人の似せ絵による調査であるが、これは難しいということであったな」
 メルクタナが進み出て言う。
「はい。ククルカン殿をはじめ、ケセラや私など直接犯人と渡り合った者はおりますが、何分にも夜間のことでありましたゆえ顔立ちまでは」
 ナハルが言う。
「では、王宮関係者の身元をもう一度洗い直しましょう。今まであまりに出入りが緩やかに過ぎました」
 何事か考えているのか、ダッシャアは無言である。
「では、部下とともに警護と不審者の摘発に動いてくれ。用心に用心を重ねてな」
「はっ」
 靴音を立てつつ何人かが控え室を出て行く。クテロップの前にククルカンとケセラが残る。
「で、だ。先に書状で届けられた秘策とやら、読ませて貰った」
「いかがでしょうか」
 ククルカンが聞く。
「背後が有ると思うか? 刺客に」
「無い、とも思えませんが」
 ケセラが言う。
「無いのではないかと推測しておる。このクテロップは」
「と言われますと」
「もしも何かの組織、いや国家でもよいが、背後に有るのであればな、陛下のお命を縮め参らせずに逃げる、ということは考えられぬのだ」
 クテロップがケセラとククルカンの顔を交互に見る。
「陛下が刺客に気づいて、声を上げる余裕があった。胆の座った暗殺者ならその間に陛下を害し奉るのは容易であろう。自らの生還を期せずにな」
「では、この度の刺客は?」
「わからぬ。クンカァンという線も考えたが、あの王が任務を果たさず逃げ帰るような暗殺者を使うとも思えぬ」
「謎、ですな」
 ククルカンが渋い表情で言う。クテロップがうなずく。
「しかし、わしとしては一つの回答を得た。正解であるとは限らぬが」
「ほう。摂政殿下、そのお答えとは?」
「あの曲者はラノート様の使者ではなかったのだ」
「何ですと?」
「そう考えれば筋道が通らんでもない。陛下のお命が目的で忍び込んだのではない、とすればな」
 ケセラが言う。
「では摂政殿下。一体何が目的で?」
「それはその当人に聞かねばわかるまい。ククルカン、ケセラ、お主らも急ぎ警備にあたってくれ」
 言い終えるとクテロップが咳込む。
「殿下、お風邪でも召されましたか?」
「うむ。あれ以来気を緩められぬでの。ちと疲れておる」
「大事にして下され」

◆王宮・深夜
 小さな足音がする。小柄な・・・・宮女であろう影が、廊下を歩いている。王の私室の前の角で、その足が止まった。部屋の扉の前に四人の衛士が立番をしている。
(・・・・。)
「何者か!」
 背後から誰何の声。娘がゆっくりと振り向く。手燭の灯りを反射して赤く光る瞳。奇妙に白い頬。
「宮女と見たが、陛下の御寝所と知ってのことか? 名を名乗られよ」
 手燭を持ったメルクタナのほか、彼の部下である三人の衛士たちがいる。
(アウブ様のお導きだ。この娘、どうも雰囲気がおかしい《アウブ・夜の間の知覚+10》)
「名乗らぬか! ならば捕らえよ!」
 だっと部下たちが駆け出したが、女は逃げもしない。
「何事か?」
「曲者はどこだ!」
 他の衛士たちが集まってくる足音がする。年若い宮女は抗いもせず、おとなしく縛についた。部下たちが彼女を控え室に連行する。
「手柄だったな。メルクタナ」
「いや。まだあの女が何者か、わからん」
 王宮内を伝令が走り、主だった衛士たちが集められる。一度退出したクテロップもすぐに参内するとのことである。

◆ふたたび衛士控え室
「名は?」
 椅子に座らされた白子の娘が詰問される。
「トウマ。トウマ・デビ・サキヤ」
 娘の口が開き、ぽつりと言った。
「身分は?」
 扉がガタンと音を立てて開き、血相を変えたクテロップが部屋に入ってきた。
「この女か?」
「はっ。メルクタナが取り押さえましてございます」
 クテロップが娘の白い顔を見る。
「持ち物は改めたか?」
「はっ。特に怪しいものは」
「うむ」
「宮女のようだな。すぐに身元を洗え」
「はっ」
 娘はとりあえず挙動不審ということで一室に軟禁され、衛士たちはそれぞれの持ち場に戻ることとなった。
「凶器が無い、というのがな。解せん」
「だが、侍女であれば王宮内で迷うこともあるまいにの。なぁ、ケセラ」
「あ? あ、そうだな」
 女の名乗った名前が気になる。トウマ・デビ・サキヤ。サキヤという姓が、一族の中になかったであろうか。だとすれば、あの女は一体何のために陛下に近づいたのか・・・・。
※1 ヴォジクは他のウラナング四国の都にそれぞれ国営の商館を構えており、その商館はそれぞれの国を象徴する色の名前を冠して呼ばれています。このヴラスウルはジュッタロッタにある『赤の商館』では、ヴォジクの商人たちが本国のみならず他の四国と商いをしています。

リアクションのページに戻る

目次に戻る