駅舎の中は少し暑いので外で待っていると、0時に入口の扉が一旦閉ざされた。駅で宿泊しようとする人達への対策らしい。午前1時になって再び扉が開き、しばらくすると改札が始まった。青春18きっぷとは一旦お別れして、ここからは北海道フリーきっぷの出番となる。
長いホームを乗車口の案内板を探して歩いていると、向こうから急行《はまなす》がやってきた。JRの急行と客車列車(お客が乗る車両にはモーターやエンジンを積まず、先頭の機関車の動力だけで走る)に乗るのは初めてだ。
車内は既に明かりが落とされていて、ほとんどの人が眠っている。座席も《ムーンライトえちご》よりずっと豪華(?)で、前の座席の下には足を乗せる台が付いている。席を探すと、隣りも空いているようだ。こりゃラッキー、とばかりに両方のイスを目一杯倒して贅沢に使わせてもらう。
コツン、という軽い衝撃とともに列車は動きだした。空調の音が多少気になるけれど、床下にうるさいモーターなどが無いので車内は確かに静か。今日は良く眠れそうだ…
例によって車内放送で目が覚めた。窓の外を見ると、空は曇っているが雨は降っていないらしい。
今日は23時の特急《おおぞら13号》に乗るまで自由時間。
とりあえず軽く朝食を済ませ、大きな荷物をコインロッカーに放り込んで、3年前に札幌を訪れた時には行かなかった北海道大学の構内を散歩しに行くことにした。
中に入ると、まだ朝の7時前だというのに観光客の姿がちらほらと(自分もだけど)。さすが『日本一広い』と言われるだけあって、徒歩での移動はかなり大変。歩くのは嫌いではないけれど、これじゃ少なくとも自転車が無いとお話にならない。
有名なポプラ並木。
鎖が写らないように撮っていますが、
れっきとした『研究施設』の中だそうで立入禁止です
その後、札幌駅から出ている定期観光バスを使ってみようと思ったが、チケットを買う場所が分からなかったので(苦笑)、市営交通の1日乗車券を買って適当に回ることにする。
まずは羊ヶ丘展望台へ。ここは3年前にも来たことがあるのでちょっとだけ滞在。
"Boys,be ambitious!"の言葉で有名なクラーク博士の像
北海道大学の構内にもある(胸像)が、
後からできたこちらの方が有名らしい
再び札幌の中心部に戻って、大通公園でとうきび(とうもろこし)を食べて一休み。3年前に来た時は6月下旬で冷凍モノだったが、今日はちゃんと(?)今年穫れた生のものを茹でたり焼いたりしていた。今回はとうきびをおみやげにしようと思っているので値段を調べてみたら、1本250円。安いところで10本2000円くらいとのこと。う〜ん、ちょっと高い気がするなぁ…帰りに函館の朝市に寄るから、そこまで待ってみようかな。
大通公園を歩いていると、テレビ塔の下で貸し自転車を発見。機動力が3倍(当社比)になった(笑)。
時計台(前回は工事中で見えなかった)と旧北海道庁
豊平川からテレビ塔方向。
何か違和感があると思ったら、東京だと南にある海が
札幌では北にあるので、川も北に向かって流れていたからだった
あまり遠くまでは行けそうにないので、北海道大学がどれくらい大きいか見てみよう、と敷地を1周しに出発してみたはいいが、これが思っていた以上にとてつもなく広い。家の近所の砧公園どころか、皇居より広いことは間違いない。
自転車を返した後、すぐ近くのバスセンターで金曜の夜出発の函館行き夜行バスを予約。前日に移動してどこかで寝る場合は寝過ごす危険性があるし、急行《はまなす》では到着が午前2時過ぎと不便このうえない。快速《ミッドナイト》の指定券が取れれば追加料金は0だし寝過ごす危険性も無いが、キャンセルが望めそうに無いので早いうちに手を打つことにした。不本意ではあるけれど、帰れなくなるよりはマシだ。
北海道大学を1周している間にコインランドリーを見つけたので、コインロッカーから一旦荷物を取り出して洗濯しに行く。着替えを増やして大荷物になるより、このほうが効率がいいもんね。
夕食は、北海道出身の”スナフキン山下”氏お薦めの【だるま】でジンギスカン。
ようやく、今夜の寝床でもある特急《おおぞら13号》の発車時間が近づいてきた。
コインロッカーから荷物を取り出して、ホームに上がる。車内はほとんど窓側にしか人がいない。これなら今日もゆっくり眠れるかな、と思っていたら、隣りの席の人がやって来た。う〜ん、残念…今日は運が無い。
同じ23時の発車で網走を目指す特急《オホーツク9号》からほんの少し遅れて、《おおぞら13号》は釧路に向けて出発した。
「お晩でございます」…あれっ?普通なら、「毎度ご乗車ありがとうございます」から始まる車内放送だけど、たまにはこういうのもいいね。