write 1999/06/02
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「週感ジョジョンプ」増刊第8号

PAGE B [デッドマンズ・Q]前編内容概要


[デッドマンズ・Q(クエスチョンズ)]

「前編」

 午前12時、仕事を終える。
 地下鉄に五駅ほど乗り、駅に着く。
 そして駐輪してある自転車群のスキ間をぶつかる事のないように注意しながら家に向かう。
 書店には今日、さんざん行ったっけ(営業でだけど)。
 電車の中で読む適当な雑誌と、「ALL MAN」を買った。
 次は「電話」だ。
 駅を出て数百メートル歩き、マンションに着く。
 一戸建てはムリだけど、あったとしてもマンションがいいよな。

 ………それと、もうひとつ重要な事なんだがついでに夕食も手に入れたい。
 電話はネットで使う(もちろん)。
 携帯電話でモバイルに通信できるものもお金も持っていないからだ。ついでに言っちゃうと、給料も全く引き降ろしていない。

 わたしはときどき自分の生活について考える。
 自分の「価値観の中心」は数字ばっかりだ。

 カウンタ給料は他人より多い数字………。

 何に価値を見出せば心が落ち着くのだ?

 こんばんわ。
 同じですね、同じ。
 私もこーゆー雑誌を読む年齢になってきたという事でしょうか。
 とにかく、荒木飛呂彦がジャンプ以外の雑誌に描いて、個人的には嬉しいです。
 この言葉には賛否両論あるので、また別の機会………総括で行いたいと思いますが、内容に入っていきましょう。リアタイにも書いたんですけど、ホント、昨日は進まなかったです。ジョジョンプでも良くこういう事ありましたけど、第一回目からこれでは………。

●殺し屋のサラリー

 最初、ALL MANで掲載という事を聞いたら、「ああ、『ドルチ』もあったしなぁ、でも第五部のあのノリだったら浮くだろうな………」というような感じがあったのですが、全然大丈夫でしたね。あの節々のネームににじみ出るALL MANっぽさ………いや、そんなものは無いのですが、とにかく一つ一つ見ていきましょう。

 さて、貴方とって吉良とはどんな人物ですか?
 先日終わった第五部のボス、ディアボロ。コイツも悪い奴だった。心は弱かったところがあるけど。第二部のカーズ。悪い奴だった。卑劣な所があるのも良かった。そしてジョジョが生んだ最高のキャラクター、DIO。とにかく悪かった。自分のボキャブラリーの貧困さを実感するキャラクター。それぞれのキャラクターにもっと付け加えなくてはならない事がある訳ですが、最後に吉良吉影。
 悪くもないが一番悪いヤツ。
 こういう表現しか今のところ思いつきません。
 とにかく、様々な敬意があるにせよ、吉良が帰ってきた訳です。
 死んでもエリートで、しかしながら、生きている時と違ったのは、サラリーマンだったという事でしょうか?
 もちろん、もともとの吉良も、そしてなりすました川尻も、サラリーマンであった訳ですが………ジャンプ、ジョジョ第四部登場時の吉良はそう見えてそうではなかった訳です。
 明らかに、異常な人物だった。ことさらにそれを示唆するシーンが有って、悩み事も極端に異常なら不愉快の基準も極端に健康だった。仗助達主人公が、歴戦の有者という風貌で登場した承太郎の近くにいた時、それはちょっとだけ、スタンドの分だけ異常な人物に他ならず、その演出が回を追う毎に深くなっていたかと思います。
 追われる者、といより「待つ者」吉良の方は、全くテンションが下がらなかった。世界観をまとう側で、とにかく異常のベクトルが大きかった。

 本来、この漫画、[デッドマンズ・Q]は新作という事もあって、独立して読むのがいいのでしょうが、ジョジョファンとしてはやはり結び付け、比較し、対照し、検討せずにはいられません。
 デッドマンズの吉良は、生者の様に悩み、それが中年男性の様に生々しい訳で、実にALL MAN向けのネームがあちこちに有るといっていいでしょう。
 数字という「価値観の中心」の話、安住の場所、そして、サラリーマンとして求める仕事の生きがいと魂の平穏。もう自らの"真の給与"は女性を爆破して、その「手」に求める精神的平穏ではなく、自らが行動して、与えるものに他なりません。

 ただし、まだ吉良が平然としてあるのは、その強いエリートの心からでしょう。
 「鼻をなくしたゾウさん」………「鼻」という、「手」にも匹敵した自らに平穏を与える原動力ながら、ゾウという他人の対象であるとがぜん興味を覚える。「別に売れてそうにもない」と本に対して思いつつ、「やはりおもしろいみたいだが」と思ってみたりもする。
 「スピーカーの音量でワーグナーの音楽に陶酔できるような」………まぁ、言うまでもないでしょう。自分の仕事にある意味、執着を持ちながら、このこだわり。
 「あんな風になるのはわたしは絶対にごめんだ」………もう、おわかりですね。

 吉良は生者の時に自分に払えなかった給与を自分に支払っている訳です。今回は、その事で生者との葛藤や確執も何も無く、あまりにも健康的な日々であった訳ですが、次回以降はかなり異なった様相………それこそ、死者からの疑問というシーンが提示されていくのではないでしょうか?

 ほんとうは今回、もっと次回の予想について書くつもりだったのですが、事実上、エピローグのような体裁がある以上、全体の展開的には仕切り直しとなる訳です。しかし、今回は前回と大きく異なります。なんたってみんなが知っている「吉良」な訳ですから。
 設定的にはありがちな話ながら、ここまで見せ、そしてALL MAN読者向けの漫画に仕上ている職人ぶりはお見事。今後に期待しましょう。


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