軽いノックの後、部屋の主人の許しを得て厚いドアが開いた。
「お茶ですが」
湯気の立つロイヤルミルクティーのカップとトラピストのクッキーをトレイ(間違ってもお盆と言ってはいけない)を持って、タークスのリーダーが入ってきた。
「……ああ。そこに置いといて」
もういい加減にうんざりしたといった面差しでルーファウスは書類から顔を上げる。
と、何か楽しいことを企んでいるような顔になり、
「……ツォン。しりとりでもやらないか?」
唐突にそう言った。
片手でトレイ(間違ってもお盆と以下略)を持ちながらもう片方の手で書類の山を片し、カップを置くスペースを作っていたツォンは、今度は何をしようとしてるんだかと思いながら、とりあえず承諾した。唐突に何かを言い出したら、それは何か企んでいる時だと思われてしまう。日頃の行いだろう、やはし。
「ルーファウス様、お先にどうぞ」
「かめ」
「……めだか」
「かめ」
「めだか」
「かめ」
「めだか」
「かめ」
以下略。2分経過後。
「………つぉん……やる気、あるのか………」
「ありますが」
「だったらもう少し、ボキャブラリーの広さを見せてくれてもいいだろう!?」
「お言葉ですが、そっくりそのままご自分に聞いてみた方がよろしいかと」
そもそもしりとりというのは同じ言葉を二回使ってはいけない。初めにやったのはルーファウスだ。
言葉に詰まったルーファウスは、ふてくされたような顔をして少し冷めてきたカップに口を付けた。
書類は山と残っている。
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