うり先生の第3弾

出るレースというレース、クラウドは東方不敗の黒い尾羽を拝まされた。
エストが廻してくれるチョコボはかなりいいと言うのだが、どうしてもスタミナ、スピードもあの黒いヤツには劣る。それににわか仕立てレーサーのクラウドでは、どうしても試合運びの腕でジョーには敵わない。
下ではみんなが待っているというのに、いつになったら…。
派手な帽子の陰で、にやりと勝ち誇ったような笑みを浮かべるジョーが近づいてくるのを見ながらクラウドは唇を噛んだ。
「やあ。」
「…。」
装束も黒いが、その中味の髪も瞳も闇のように黒い。
「何か事情があるんだってな。」
薄い唇が耳障りな掠れ声を吐き出す。
「…あんたには関係ない。」
身体が触れそうなほどに接近されて、思わず後ずさる。が、おかまいなしにジョーの手がクラウドの肩を掴んだ。
「そうか? 勝てないと困るんだろ…?」
言外に言っているのだ。ジョーがレースに出る限り、クラウドは勝てないと。
「馬鹿に…!」
するな、と続けようとしてぎくりとクラウドは言葉をのんだ。まるで値踏みでもするように細められたジョーの視線がクラウドを舐め回した。
「1レースだけでいいんだろう…? 勝てば、仲間が助かるんだろう…?」
「…!」
黒い革の手袋をした手が、クラウドの頬を弄るように動く。
「ワカルだろ…」
ジョーが出ないレースだって、一日のうちには何度もある。だが、クラウドが今日エントリーしたレース、全てに可愛気のないあの黒いチョコボの姿があった。それが意図的なものだったのだとやっと気付いた。
わかっても、相手の術中にあると知っても、逃れる手段はなかった。

「な…んだよ、それ…」
いや、でもやはり、どうにかして逃れるべきだったのだ。ベッドの反対側へ隠れようとするが、ヘッドボードに手錠でつながれた左手が残る。
ジョーの手には、野生のチョコボの調教に使われる、電磁鞭が握られていた。
「黙れ…」
口元に笑み。ヒュンと鋭い音をたててそれは振り下ろされた。



遅刻反省文、ジョークラ! ははははは…はぁ。こんなモンしか思い付きません(u.u;)
翌日はやっぱり、怪我でレースには出れないんだろーな。ぐふ。


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