透先生の第4弾

「でね、はいこれが現場の写真。それからこっちがね、遺体の鑑定の結果でー、えーっとこっちが…何だったかの資料だよ」
「…どこから入手したんだそんなもの。」
「ま、細かいことは気にしない!」
 机の上には既に分厚く膨らんだ茶封筒やスクラップファイルが山積みになっているが、ユフィは何の頓着もなくどさどさと書類に書類を重ねていく。それらの資料の下にはヴィンセントの書きかけの原稿(と言っても白紙同然ではあるが)が埋まっているはずだが、今のこの状況では発掘は難しそうだった。
「被疑者は作家のセフィロスの奥さんなんだけどさ、なーんか変なんだよねー」
 封筒のひとつから資料を取り出して見せた。クリップで1枚の写真が止められているそれは被疑者の資料らしかった。
「遺体の発見時にすぐそばにいて、殺害時刻にも一緒にいたことは分かってる。でもって凶器に使われたのが旦那の所蔵していた日本刀なんだから、順当に考えればそうなんだけどねー」
「…何で純文作家が日本刀を所蔵してるんだ?」
「アンタだって銃を持ってるじゃないか」
「あれは資料だ」
「じゃ、セフィロスせんせもそうなんじゃない?それよかさ、何かぴんと来ないんだよねーそう思わない?」
「何が」
「こういう感じの若妻(笑)だったらさーこんなでっかい日本刀なんかじゃなくって懐剣を懐に忍ばせてってほうが様になってると思わない?」
「…お前の美意識はともかく。確かに妙なことはいくつかあるな。」
 下手に抜き出そうとすれば崩れてしまうであろう資料の山を、仕方なく上から順に眺めていた。どうも資料そのものが整理されてないためにはっきりしたことは見えてこないが、ヴィンセントはそう呟いていた。
「でしょ?」
「が、調べるのは警察の仕事だし、記事にするのはお前の仕事だ。私は関係ない。」
「気にならないの?このままだと奥さん犯人にされちゃうよ?警察なんて当てにならないよ?どうも裏に色々絡んでるみたいだしー」
「ではお前が、真相を究明するんだな。」
 お前が、にわざわざアクセントをつけて言い捨てた。だが、その程度でひるむような相手ではなかった。
「この白紙っぽい原稿、担当さんに見せたらどうなるかなー」
 資料の下に埋まっている筈の原稿用紙数枚を、ユフィはひらひらと振って見せた。
「今日もここ来る前に寄ってみたけど、明日にも首くくりそうな顔してたよー」
「…。」
「どうせまたネタにつまってるんでしょ?だったら、つきあってくれても良いんじゃないかな?ん?」
「……。」
 どうやら、選択肢は残されていないようだった。



さて。真犯人及び殺人トリック大募集!(笑)
考えずにここまで書いてます(…あのなあ……)
今の所「犯人・セフィロス 手口・幽体離脱」が有力候補です。
(せのお先生ごめんなさい…笑)


[ 感想を書こう!!] [小説リユニオントップへ]