しのぶ先生の第4弾
”花の三兄弟・第三号♪”

昼休み、部屋を代わるように言いに来たルーファウスに荷物を移すのを手伝ってもらって移動し終えたクラウドは、手伝った為に汗をかいてシャワーを浴びると言い出したルーファウスを置いてかなり前に始まっている午後の授業に行くわけにもいかず、困っていた。
とっくにシャワーの音は途切れているのに、いつまでたってもバスルームから出てこないルーファウスに業を煮やしたクラウドは意を決してバスルーム扉の横に寄りかかり、中に声をかける。
「先輩。先輩…ルーファウス先輩!」
「ルーファウスでいいと言っただろう」
「え?いや、だって先輩は先輩って呼ばないと。」
「君がそう呼ぶ限り、僕も返事をしないよ。」
「分かりました。じゃあ、ルーファウス。俺、授業に出ないと…」
これがザックスなら置いてけぼりを食らわせるか、さっさとしろとドアを蹴破って中から引き摺り出すところなのだが、他人ではそんな事は出来ない。
いちいちルームメイトに気を遣わなくてはいけないのにうんざりしつつ、クラウドは言葉を選びつつ話す。
気を遣うと言う事がどれほど大変で、ザックスと暮らすのがどれだけ自分にとってよかったか身にしみて分かったクラウドだった。
「そうか?でも君もシャワーを浴びたほうがいいんじゃないのかい?」
そう思ってるなら、さっさと出てこんかー!と、思わず蹴りを入れたくなる衝動を懸命に押さえて、誰が見てるわけでもないが無理に作り笑いを浮かべてクラウドは続ける。
「ええ、浴びたかったんですけど、時間が無いから。せん…ルーファウスも早く行ったほうが良くないんじゃないですか?」
一言、早くしろと言いたいのに、これだけの言葉を言わなくてはいけないなんて、一つ上の兄とは違って長兄と同じようにあまりしゃべる事が好きじゃないクラウドにはかなりの苦痛だった。
「ああ、それなら言ってくれれば良かったのに。僕は今髪をセットしてるだけだから、シャワーは使えるよ。気にせずに使ってくれ。」
クラウドの頬は思わずひくついた。
---そういう問題じゃないんだーーー!
声を大にしてそう叫べたらどんなに楽だろう。
ルーファウスの察しが悪いのか、自分の言い方が悪いのかは分からないが、とりあえずザックスとのコミュニケーションはそれでOKだったのにと、早くもホームシックにかかりそうな気配の有るクラウドだった。
自分がシャワーを使い出したら幾らなんでも出て行くだろうと、実力行使に出て、思い切ってバスルームのドアを開ける。
洗面台の前でバスローブを羽織っただけで無心に髪をいじっているルーファウスを横目で見つつ、知らん振りを装って、通常はシャワーだけなのだが追い出す為にわざわざバスタブに湯をはる。
それでもぜんぜん動く気配が無いので、仕方なくクラウドは靴を脱ぐと同時に制服のシャツのボタンを上から外していき肩からシャツを落とした。
それからかちゃかちゃとベルトを外しにかかり、ふと視線を感じてルーファウスの方を見ると、彼は手を止めて鏡越しにじっとクラウドを見ていた。
クラウドはなんとなく気まずいような、恥ずかしいような感覚を覚えて手を止める。
「君はいつもそうなのか?」
「は?」
ルーファウスが振り向いてクラウドの足元を指して言うのに、クラウドは疑問符をいっぱいにしたような顔で自分の足元を見た。自分は何かおかしい事をしたのだろうかと不安になる。
自分の足元を見ても何がおかしいのか見当がつかず、クラウドは迷い猫のような目でルーファウスを見上げた。
その様子に思わず微笑をしつつルーファウスはクラウドに近づき、足元からシャツを拾い上げる。それからおもむろにクラウドの手を取ってそのシャツ持たせると、そのままそのシャツををバスルーム横のフックにかけさせた。
「普通は脱いだものはここに掛けるものだよ。」
「あ…」
クラウドは頬がかーっと赤くなるのを感じた。
家にいた頃はクラウドがザックスの真似…と言うわけではないのだけど、ザックスとクラウドが風呂に入るたびに脱ぎ散らかすのを、かたずける役目のセフィロスは行儀が悪いと言っていた。
この所セフィロスのいない生活が続いていたから失念していたのだ。
「すみません…」
蚊の泣くような声でクラウドが俯いて謝るのに、さらにルーファウスは追い討ちをかける。
「あと着替えも、バスローブもタオルも持ってこないでシャワーを浴びては、その後濡れたまま裸で部屋まで行くつもりなのか?」
クラウドは更に萎縮した。
そうだ、他人と過ごすなら、家やザックスと一緒に暮らすのと違って色々自分でしなくてはいけないのだ。
毎回ザックスにタオルを持って来させているクラウドだった。
「あ、その…今持ってきます。」
クラウドが逃げるように部屋にタオル類を取りに行くのに、ルーファウスは笑みを深くした。しかしそれは今まで見せていた様なやさしい笑みではなく、どこか残酷そうな笑みだった。
ルーファウスがいつもそうなのかと尋ねたもう一つの意味…。
いつも君はそんなふうに無防備に他人の前に肌を晒すのか。
もしそうであれば、クラウドはそう言った関係の事を全く知らないと言う事になる。
知らないからこそ無防備なのだ、と。
あれだけの極上品である。絶対にお手付き物だろうと思っていたのに、棚からぼたもちであった。調教のし甲斐が有ると言うものだ。
「あ、どうも済みませんでした。気付かなくって…」
相当急いだのだろう。多少息を乱して戻ってきたクラウドはルーファウスにぺコンと勢いよく頭を下げた。
ルーファウスはお得意の変わり身の速さで先程の笑みをさっと消して、また鏡に向き直り、何気ない風を装ってクラウドに鏡越しに笑いかけた。
ルーファウスが怒っているわけではなくただ注意してくれただけなんだと、ほっとしたクラウドは今度こそズボンを脱いで、フックにかけた。
「ところでクラウド」
「はい?」
幾らなんでも他人の前ではトランクスは脱げないから、カーテンの向こうに行ってから脱ぐつもりで、トランクスをはいたままバスタブに入ろうとしていたクラウドはルーファウスの呼びかけにびくりとする。
もしかしたら、ちゃんと脱いでから入らないと行儀が悪いのだろうか。
自分の常識にまったく自信のなくなったクラウドだった。
「君はあんまりこの寮や寮生活について知らないようだね。」
「はあ、ザックスと一緒だったもんで、家と同じようにしてたんで。」
「それはいけないな。同室のよしみだ、僕が教えてあげよう」
「ありがとうございます。実はぜんぜん知らないんですよ寮則って…」
「丁度いい機会だ。今一つ教えてあげよう。どうやら君は知らないようだから…」
「なんですか?」
なんだか重要な事を知らなかった様で、不安になりながらもクラウドは濡れたような目をルーファウスに向けた。

「い…やあ。」
両手をそれぞれルーファウスのバスローブの帯とクラウドのタオルでカーテンレールとシャワーの蛇口に結び付けられ、ばんざいをする形で壁に押し付けられたクラウドは、タブにたまった湯の熱と体に与えられている刺激に体を桜色に染めていた。
ルーファウスの巧みな手技でクラウドのそれに与える微妙な刺激は、自慰程度しか知らないクラウドにはあまりにも強すぎた。
クラウドはまるでのぼせたかのように(実際のぼせてるのかもしれないが)目の前が真っ暗で何も見えなくなっていたが、とりあえずその辛い刺激から逃れようとしきりに身を捩っていた。しかし、それでクラウドは足を滑らせる。
体勢を崩したクラウドをルーファウスは腰をつかんで立て直させ、そのまま彼の秘部にこっそり小指を忍ばせて、一気に追い上げた。
それほどの時間もかからず幼い性ははじけた。そして秘部がぎゅっと締まり、クラウドは初めて指の存在に気付く。
「な、何を?」
「クラウド、これは相互オナニーなんだよ。」
ルーファウスは、クラウドの疑問をわざと逸らした。
あまりの単語に思わず赤面するクラウドに顔を近づける。
「3日に一度が当たり前の年頃なのに、こんな個室じゃない所じゃあできないだろう?だから、一人でやってて他人に見られるのは恥ずかしいのなら、お互い一緒にやればいいと言う事で、こういうシステムになったんだよ。」
「で、でも、今まで…」
「そりゃあ、ザックスと君は兄弟だ。幾らなんでも出来ないさ。だから部屋を代わる必要があったのさ。
ザックスは今まで君に気付かれない様にしてたか、夜かなんかに誰かとしてたか、ともかく我慢してたんだよ。」
クラウドはその言葉にショックを受ける。たしかにザックスは毎朝外に出て、何かしらやっていた。
もしかして、誰かいたのか、自分でしてたのか、どっちかだったんだろうか。
クラウドはザックスに悪い事をしたなと言う思いと、部屋を追い出されたのかと言う疑問と、ザックスに捨てられたような孤独感を味わっていた。
ルーファウスは、熱とショックでクラウドの思考が上手く働いていないのを見て取り続ける。
「さて、今度は僕の番だ。君は初めてだから手じゃ無理だろう。だから、口かここでやって欲しいんだが…」
ルーファウスはほんの少しだけ忍ばせたクラウドの中の指を動かして、妖艶な笑みを浮かべて尋ねた。


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