最後の日なのにまだ載せるPART2。
海野まんぼうさんのリクエストに応えてみました。召喚獣×クラウド! ちょっと(
かなり?)ヴィン×クラ入ってますが、流しちゃって下さい(笑)。
ヴィンセントは欲求不満だった。
ライフストリームから復活してからというもの、セフィロスを倒すべく忙しく動き回
るクラウドに、全く相手にしてもらえないからだった。
以前の、少し影があり何を考えているのかよく解らないクラウドも好きだったが、今
の明るい青少年クラウドも好きだ。ヴィンセントとて人の子、これから命をかけた戦い
に出るという時に、心残りのないように好きな者を抱きたいと想うのは当然であった。
が、当のクラウドは、打倒セフィロスに燃えていて、そんなヴィンセントの思惑など全
く意に介さない様子だった。
クラウドは精力的に行動していた。ヒュージマテリアを回収し、シスター・レイを破
壊し、ゴールドソーサーに出向いてバトルに参加し、ちゃっちゃと自分の究極リミット
技を会得した。ハイウィンドを駆使して「てきのわざ」を覚えるために世界の端から端
まで飛び回り、究極武器を探し回り、メンバーの中に究極リミット技が使えない者がい
ると知ると、そのメンバーを最前線において戦闘に繰り出した。隠しマテリアを取得す
るために、チョコボの育成にまで手を出した。
とにかく、忙しいのである。夜ともなり、ヴィンセントがクラウドの部屋へ忍んでい
っても、クラウドは連日の疲労から思いっきり深い眠りに落ちており、ヴィンセントは
手を出せないまますごすごと引き下がるという日々が続いた。そんなこんなで、ヴィン
セントの欲望は頂点に達していた。
そんな折り−−
「ついに手に入れたぞ、究極の召喚マテリアだ!」
クラウドは狂喜乱舞していた。苦労して海チョコボを育て、はるばる海を渡って辺境
の島へとやって来た彼は、最強といわれる隠しマテリアを手に入れたのである。
「おうクラウド、早速試してみようぜ」
珍しいものとみるとすぐ使いたがるシドが提案する。が、今回はクラウドも同感だっ
た。野次馬根性ではないが、こればかりは、どんなものか見てみたい。
「マテリア穴の空きがあるのは…ヴィンセントか」
本当は自分で試してみたいが、あいにくと武器も防具も全てマテリアでふさがってい
た。シドも同様である。ここでマテリアを付け替えるのも面倒だし、という訳で、新し
いマテリアはヴィンセントの手に渡った。
この何気ない行為が、後に自分の首を絞めることになるのに、クラウドはこの時気づ
いていなかった。
所変わって、グラスランドエリア。海チョコボをファームに返した後、移動するのも
面倒くさいので、その辺りをうろつき回っていた一行は、ザコモンスターの群れに遭遇
し、うれしい笑いを隠せずにいた。
本当なら、一撃で全てのモンスターを倒せるのだが(「ぜんたいぎり」装備済み)、
あえて戦わずに、先刻手に入れたばかりのマテリアを試してみる事にした。だが、油断
する間にザコの一撃がクラウドを襲った。
「あ…っ」
色っぽい声でのけぞるクラウド、しかしダメージは大したことはない。が、戦闘中だ
というのに、ついついヴィンセントはクラウドのその声にどきりとし、ぼーっと見とれ
てしまった。
「おいおいヴィンちゃんよぅ! なーにやってんでぃ!」
シドのだみ声にはたと我に帰り、あわてて召喚呪文を唱えるヴィンセント。
「アルティメットエンド!」
次の瞬間、辺りは闇と化し、いったいどこから来たものか、鎧兜のごつい騎士が次か
ら次へと行列をなして現れた。そして−−
「おおお〜っ!!」
クラウドとシドの歓声があがった。
1人約6500Pのダメージ×13人分。1人分の攻撃だけで既にモンスターはノッ
クアウトなのに、これでもかと斬りつけてゆくナイト達。加えて13人目が斬るまで攻
撃が終わらないとは、この地域のザコにはほとんどイジメである。
クラウドとシドは、思わず拍手までしていた。こ、これはスゴイ。MP250も惜し
くはない。これさえあればボス戦も楽勝、待っていろセフィロス! と決意を新たにし
たクラウドであった。
ところが、である。いつもなら用が済んだらすたこらさっさとどこかへ消えて行く召
喚獣であったが、何故かこのナイト達は、一斉にくるりとクラウドに向き直ったのだ。
「…?」
嫌な予感がクラウドの頭をよぎる。いやしかし、まさか……
鎧に包まれたごつい腕が、クラウドの細腕をしっかと掴んだ。
「わーーーっ! やめろーーーっ!!」
予感的中であった。ナイト達は、どうやら順番を決めているらしい、クラウドを捉え
たまま、ジャンケンを始めた。暴れるクラウド、しかしナイト達は頑丈だった。
「おい…あいつら何やってんだ…?」
「………」
信じられない展開に、シドは頭の周りに「?」マークを飛び回らせている。そしてヴ
ィンセントはといえば、−−召喚獣は召喚者の意図に忠実な筈…だとすれば、あいつらは私の思考を読みとって、私の代わりにクラウドを…!?−−
などと事の原因を混乱した頭で探っていた。
が、原因がわかったところで、クラウドの危機には違いない。ヴィンセントは行為を
止めるべく、果敢に13人の騎士ににじり寄った。しかし、騎士達の兜の下の不気味な
目に睨まれ、ついひるんでしまった。
こんな連中にかなう筈がない。そして何より、ここで彼らの機嫌を損ねて、以後あの
マテリアが使えなくなるのも困る。そう打算したのは、ようやく状況を理解したシドだ
った。
「ま、俺らは席を外そうや」
呆然とするヴィンセントの肩をぽんぽんと叩き、シドは彼を伴って歩き出した。クラ
ウドと反対の方向へ。
「ちょっと待てぇーーー! シドーー! ヴィンセントーー! は、薄情者おぉーーー
っ!!」
クラウドの叫びが遠くに聞こえる。それをなるべく聞き流し、シドはふーっと息を吐
いた。
「1人30分として、13人分か……いや、1人1回とは限んねぇもんな。そうすっと
、30×13×2で……こりゃ、今日はもう打ち止めだなぁ」
シドに導かれるまま足を進めていたヴィンセントは、複雑な思いだった。
もとはと言えば、原因は自分の煩悩である。まぁ、それを極限まで我慢させてしまっ
たクラウドにも原因はあると言えばあるのだが…いくらなんでもそれを肩代わりする事
はないのでは……
ヴィンセントは、絶望の淵でぽつりと呟いた。
「私は…私自身はちっとも気持ち良くない……」
自分が呼び出した召喚獣に、とんびに油揚げをさらわれた気分のヴィンセントであっ
た。
なんでしょうね、これ。ミョーに冷静沈着なシドが気になります。
でも私、こんなものばかり書いてますけど、決してヴィン×クラな人じゃないんです
よー。本命は王道&ザックス×クラだったりする(笑)。
まんぼうさ〜ん、こんなもんでどうっすか?
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