しほ先生の第4弾

 こ、これはひょっとして、モンスター&セフィロス×クラウドの3P…しかもリミットレベルは4!? みなさん、要注意です!!
 まる一週間休んでたので、もしかしたらその間に、もうこのカップリングやっちゃった人がいるかもしれない。もしそうならゴメンナサイ(汗)。
「ヤンはよろこんでいる」…(笑)



 深夜の村はひっそりと静まり返り、生物の息遣いすら感じられない。まるで、この世に存在するのは今ここにいる自分だけのような、そんな気にすらさせる。
 クラウドは、闇の中ひとり歩いていた。
 仲間達はみな各々の部屋で、柔らかなベッドの上で休息を貪っているだろう。彼にも、その安眠を享受する資格はある。けれど彼は、自らの意志でそれを拒絶していた。
 彼の足は、村の奥の建物−−神羅屋敷へと向かっていた。昼間も、ひととおりの探索は済ませた。地下に眠る男を新たな仲間とし、そしてセフィロスと出逢い、憎むべき男の行く先を、この耳ではっきりと聞いた。もうこの村ですべきことは何もない筈だった。
 しかし、どうしても気になった。あの地下室で、一体何があったのだろう。何がセフィロスを変えてしまったのか。もう一度、確かめたかった。
 確かにクラウドは、何かを思い出しかけていた。それが何なのかを明確にするために、彼は一人、あの悪夢の屋敷へと歩みを進めていた。
 屋敷の中は、更に静けさを増していて、静寂が耳に痛いほどだった。すえた臭気が漂う。もうこの屋敷は完全に死んでいて、昼間あれほど悩まされたモンスターの気配さえ、今は全く感じられなかった。
 ぎしぎしと悲鳴を上げる階段を登りきり、渡り廊下を右へ折れる。地下室へ通じるドアを開け、長い螺旋階段をひたすら下り、ひやりとした空気の中、古びた木の扉の前に立った。
 −−セフィロス……−−
 その名を思い浮かべるだけで、クラウドの胸の奥に、甘やかな痛みが広がる。なぜこうもあの男に惹きつけられるのか。
 憎い。憎んでも憎んでも憎みきれないくらい。だが−−それだけか?
 微かに、なにかが軋む音がした。はっとしてクラウドは背にした剣に手をかけた。振り向いた視線の先は、地下室の扉。
 扉が開く。ゆっくりと、開かれた奥の闇が広がっていく。そして、その闇の向こうに−−
「…セフィロス…」
 闇の中に浮かび上がる見事な銀髪がなびく。白い肌にエメラルドの瞳が映える。整いすぎた美貌、全てを魅了する美しい悪魔。
 セフィロスは、微かに唇に笑みを乗せた。鋭く冷たい視線が、クラウドを捉えたまま離さない。
 反射的に、クラウドは剣を抜き、構えていた。
「そんな物騒なものは、お前には似合わないな」
 セフィロスの乾いた笑いが、耳に障る。クラウドは強く剣の柄を握りしめ、近づいてくるセフィロスを睨みつけた。
「…来るな…」
「ククク…何を恐れている? 何も怖がることはない。私のクラウド…」
 じりじりと歩みを進めるセフィロスに同調するように、クラウドは後ずさった。
 これは俺が知っているセフィロスじゃない。彼はこんな表情を見せなかった。目の光も、声も、話し方も、全てが昔とは違う。
 −−俺が知っているセフィロス? …セフィロスは、どんな風だった? セフィロスは…
「−−っ!」
 不意に、何かがクラウドの体を絡め取った。それはクラウドの四肢の自由を難なく奪い、剣を彼の手からもぎ取った。投げ出された剣が、岩に当たって甲高い金属音を立てた。
「なに…っ」
 クラウドは振り返り、己を捉えているものの正体を見取って愕然とした。
 一つの下半身に二つの上半身を持つ、異形のモンスター。双頭の化物は、その醜い顔にいやらしい笑いを浮かべながら、クラウドをねめつけるように見つめている。ぬらぬらと光る肌が、生理的な嫌悪感を呼び起こす。
 これは、昼間も出会った奴だ。確か、インとヤンという、別々の意志を持つ半身を自在に操るモンスターだった。クラウドは己の甘さを叱咤した。目の前のセフィロスに注意を集中しすぎて、背後まで気が回らなかったのは、明らかに自分の判断ミスだ。
「く…離せっ…!」
 もがくクラウドの細い体は、あっさりとインの左腕に押さえ込まれ、残ったヤンの右腕がゆっくりと動き出す。ゆるゆるとした動きで、しかし確実に、長い腕はクラウドの服を引き剥がしにかかった。化物の意図を瞬時に悟り、クラウドの頬に血が上る。
「や…やめろ! やっ…」
 抵抗は虚しく空回りし、徒労に終わる。全てをさらけ出すクラウドの白い裸身は、深い闇によく映えた。
 セフィロスの低く押し殺した嘲笑が、耳に忍び込んでくる。こんな姿を晒している事だけでも泣きたい位の羞恥を感じているのに、異形のものの手は、更にクラウドを追いつめようとしていた。
 ぬらりと濡れた指が、クラウドのきめ細やかな肌をなぞった。クラウドは小さく悲鳴を上げる。肌が粟立つ程の嫌悪を感じながらも、それとは別の感覚が、クラウドの中に芽生え始めていた。
「ひっ…」
 クラウドの喉が鳴る。鈍い臭気を放つ液にまみれた、褐色に光る指が、クラウドの体をじわじわと責め立てる。
 びくり、とクラウドの体が跳ねた。最奥の秘められた場所の入り口を、化物の屹立したものが探っていた。逃れようと必死でもがくクラウドを、インとヤンは容赦なく押さえつけ、その長い腕を絡め、彼の動きを封じた。
「う…ああぁっ…!!」
 衝撃に、クラウドは声を抑えることができなかった。慣らされていない柔らかな襞を破り、化物は血に濡れたクラウドの秘所を存分に犯していく。痛みに霞む目が、双頭に笑みを浮かべるモンスターを捉える。
「…っあぁ……んっ…」
 唇をかみしめ、声を殺そうとしても、こらえきれずに吐息が洩れた。下肢を支えられ、上半身が仰け反る。うすく開いた瞳に、冷たくクラウドを見下ろすセフィロスの姿が映った。
「セ…フィロ…ス……」
 涙が溢れた。
 こんな無様な姿を、この人の目に曝して。それでも感じているのは、痛みと、そして確かな快楽。セフィロスの目の前で、モンスターに犯され、快感に溺れている自分を、どうすることもできない。
 セフィロスが、ゆっくりとクラウドに近づいた。投げ出された彼の頭を支え、唇を重ねる。浅く、深く。何度も角度を変えて繰り返される口づけに、クラウドは目を閉じて応えた。絡まりあう舌が湿った淫猥な音を立てた。
 ふと、セフィロスが離れた。支えを失い、クラウドはセフィロスを求めて手を伸ばす。新たな涙がこめかみを、頬を伝い、幾筋もの跡を残した。
「セフィロス…助け…て…」
 しゃくりあげながら、クラウドは懇願した。
 セフィロスは満足げに笑うと、視線をクラウドから、彼を犯すモンスターへと移した。醜い、異形の化物。魔晄の産物であり、そして今はセフィロスの僕。
 セフィロスの剣が、空気を切り裂いた。ずるりと化物の体が崩れ落ちる。銀の光を放つ正宗は、モンスターの二つの体を一刀両断に切り捨てていた。長い腕から解放され、クラウドは荒い息を吐きながら、力の入らない体を横たえた。
 強く腕を捻り上げられ、理矢理体を起こされる。まだ熱く震えている肌に、セフィロスの冷たい手が触れた。体の奥にくすぶる炎を持て余し、クラウドはセフィロスにすがりついた。
「いい子だ、クラウド…」
 耳元で響く声さえ心地よい。クラウドの頬に残る涙の跡をなぞり、指が顎を滑る。その指の奇跡を唇が追い、クラウドの快感を呼び覚まし追い立てて行く。
「私を呼んだだろう?」
 耳朶を軽く噛み、軽く舌を差し入れながら、セフィロスは囁く。
「お前はそうやって、私の事だけを考えていれば良い。他の誰にも渡しはしない…お前は私のものなのだから」
 細い両足を抱え上げ、セフィロスがクラウドの中に侵入した。クラウドはのけぞり、腕をセフィロスの背に回して強く抱き寄せた。
「は、ぁっ…セフィ…っ……」
 クラウドは、今自分を抱く男を、先刻まで憎んでいたことすら忘れて、ただただ快楽に身を任せていた。頭の中が白く霞み、視界が弾ける。うねるような快感に耐えかねてセフィロスにしがみつき、クラウドは彼の名を呼び続けた。
「私だけを見て、私の言うことだけに従うのだよ。クラウド…」
 クラウドの体から全ての力が抜けた。上りつめ、意識を手放したクラウドを、セフィロスは強く抱きすくめ、その小さな体の奥底に、己の欲望の証を解き放った。
 セフィロスは、意識を失ったクラウドからゆっくりと離れ、その哀れなほど白く細い体を見下ろした。その唇に、氷のような冷たい笑みをうっすらと浮かべ、美しいエメラルドの瞳は乱れた淡い金の髪を捉えている。
「私を追ってこい……愛しいクラウド……」
 くっくっと喉の奥で低く笑い、セフィロスはクラウドに背を向けた。


 どれくらい眠っていたのだろう。時間の感覚さえ、この暗闇は忘れさせてしまうようだった。
 目を覚ましたクラウドは、痛みに悲鳴を上げる体をやっとの事で起こし、しばらくは茫然と空を見つめていた。突然、弄ばれ、打ち捨てられた事実を思い知らされ、クラウドの頬にかっと朱がさした。
 −−私を呼んだだろう?−−
 セフィロスの言葉が、耳に蘇る。確かにあの時、自分はセフィロスを呼んだ。どうして、セフィロスにすがってしまったのだろう。憎い筈の男に、何故。
 セフィロスの腕が、懐かしかった。セフィロスに抱かれ、快楽に乱れる事を、自然に受け入れていた。
 これは−−既視感。
 唇を強くかみしめ、クラウドは首を振った。違う、違う。セフィロスは憎むべき者。愛しいなどと……
 クラウドは、左腕に残る痣を、そっと右手で包み込んだ。セフィロスが残した、陵辱の跡。この跡は、いつかは消える。けれど、今夜のこの出来事は、決して忘れはしまい。
 −−望み通り、あんたを追いかけてやる。そして、あんたを……
 クラウドは軋む胸の痛みを押さえ、強い意志の瞳を、夜の闇の先に向けた。



 ま、またヤバイものを書いてしまいました(汗汗汗)。
 しかしセフィロス。自分でインとヤンをけしかけておいて、用済みと見るやあっさり一刀両断…鬼や、あんた。
 緒方さちさんへ捧ぐヘヴィなセフィクラの筈が、ナイス脇役をつけてやろーと思ったらこんな事になってしまいました。こんなんで良かったら、もらってやってね(笑)。


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