瀬尾先生の第53弾

せっかく書いたレポートが何故かどうしても保存できず消えていきます(涙)
今・・二時半・・もう嫌・・
現実逃避しよう。うん(笑)
しかし・・こういう展開にするかなぁ・・自分・・また一つ他人様の恨みを買うようなことをしでかしてしまいました・・(汗)勝手に名前つけちゃうし・・文章寝てるし・・・・



世界一

「いいか、私はこの会社を世界一にするんだ。決してちんけな電力会社なんかじゃ終わらせん。親父には出来なかった事を、私がやるんだ。」

それが若きジェイムズ・神羅の口癖だった。
リーブは思う。彼がまだ熱い情熱で満ち溢れていた時のことを。そうして、彼がただまっすぐに進んでいた時のことを。

「くそぅっ・・決まりかけていたくせに、なんで今ごろになってクレームをつけるんだ!!」
時間は既に深夜近く、まだ明るいオフィスで山のような書類を前にいらいらと髪を掻き毟る青年の姿があった。
「ったく・・人がこれから帰るという時に限って・・時差を考えろ・・おいアルバート、電話をかけろ。」
「はぁ・・しかしこんな夜中に・・」
側に立っていた黒い髪の、ひょろりと貧相な長身の青年が首をかしげる。彼こそがアルバート・リーブ。後のミッドガルの都市設計を行なうことになる人物であるが、まだその面影はない。
「しかしじゃないっ!あっちはまだ夕方だ、なに躊躇している!とっととかけろっ!!」
「うわっ!!駄目ですよっ!明日にしてくださいっ!!」
ひったくるようにして受話器を取ろうとしたジェイムズからそれを守りながら、リーブは精一杯抵抗した。
「あちらはよくてもあなたはまた徹夜でしょうっ!だめですっ!」
「いいからかせっ!いいか、私はこのちっぽけな会社を世界一にするんだ。それには寝ている暇なんかないんだ!」
「そんなことばかりいってると辞めさせていただきますよ!」
「駄目だっ!」
「じゃあ私にずーっとあなたが無理を続けるのを見ていろっていうんですかっ!」
「子供のような理屈をつけるんじゃないっ!私は君を手放すつもりも、この会社をこのままで終わらせる気もないんだからなっ!」
きっぱりと傲慢に言い切ったジェイムズを、リーブは恨めしそうな目で見た。
「・・だったら何も私でなくてもよさそうなもんでしょうに・・」
「いや。君じゃなきゃ駄目なんだ。」
「・・どうしてですか・・」
「私は駆け引き的なことは得意だが、細かいことの調節は苦手だからな。その点君は交渉には向いていないものの、色々と適切な助言をしてくれる。それくらいはわかっているつもりだ。」
ジェイムズは思いがけずあっさりと、しかし言った本人以外は誰でも赤面してしまうような台詞をはいた。リーブは一気に毒気を抜かれてしまった。
「・・それは・・誉められて・・いるんでしょうか。」
「最上級の賛辞のつもりだが。」
「だったらもう少し助言を聞いていただければ嬉しいのですが・・」
「また今度な。」
気のない言葉で答えながら、再び書類に目を落としている。さっきの言葉はなんだったのだろう。
ジェイムズは日頃から、言いたい事だけを的確に言ってしまえばけろりと忘れてしまう。
その言葉はリーブの心の中にだけ、ひっそりととどまる事になる。

「ところで・・・・いつまでそこにいる気だ。」
ぼうっと立っているリーブをジェイムズがちらりと見上げた。うっとうしそうにひらひらと手を払う。
「・・何かお手伝い出来る事はないですか?」
「今はない。君がいても交渉はすすまん。とっとと帰れ。」
「しかし・・」
「くどいぞアルバート。」
けんもほろろなジェイムズに、リーブはため息を吐いた。そんな様子に一瞥もくれず、ジェイムズは受話器にむかって喋り始めた。すぐに口調がきつくなり、ビジネスの世界に没頭していく。
何を言っても・・無駄か・・
あぁは言われたものの、リーブは時々自分が不安になる。ジェイムズには確かに王者たる素質がある。
しかし果たして自分はどうなのだろう。自分は些細なことを調整するくらいの能力しか持ちあわせてはいない。彼がこのまま世界にはばたけば、自分は切り捨てられるのだろうか。
・・だとすれば、足手まといにならないうちに身を引こう。
暗い気持ちを抱え、そのまま部屋を出てとぼとぼと歩き出したところで、ふと休憩室のユニマットの明かりが目に入ってきた。
せめて帰る前にコーヒーでも持っていってやろうか・・
リーブの足が止まった。

湯気の立つコーヒーのカップを二つもって帰ると、ジェイムズは机に突っ伏したまま眠っていた。言うべき事はいったのか、それともなんとか仕事がまとまったのか、満足そうな寝顔を浮かべ、熟睡していた。
彫りの深い顔に陰が落ちている。その性質を現すような濃い眉。古代彫刻のように整った鼻梁。意志の強さを物語る厚く引き締まった唇。
その内に潜むものは強固な運命に祝福された、真っ直ぐに高い空を見つめ続ける鳳凰の性。
この男はどこまで飛んでいくのだろう。
それはリーブ自身には決して備わることのない性質だった。だからこそ、彼はこの横暴な支配者に惹かれたのかもしれない。そしてまた、ジェイムズも。

「しょうのない・・」
とりあえず椅子にかかっていた上着をかけてやる。その折に、ジェイムズがぼそりと呟いた。
「・・君と一緒に・・会社を世界一にして・・やるんだ・・君と一緒に・・アル・・」
リーブは一瞬どきりとしたが、すぐに寝言だと気が付いた。苦笑しながら腕の下に敷いたままの書類とペンを抜き取る。
「はいはい、世界一世界一・・」
くすりと笑って、照明を落とした。柔らかい闇が二人を包み込む。朝になったらまた忙しい日々が始まる。それまでのつかの間の休息だった。



あなたがわたしにくれたもの、緑色した消滅まてりあ(字余り)・・ということで・・消えます(苦笑)


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