瀬尾先生の第48弾

妙に静かだな・・
手元の端末で午後の予定を確認しながらツォンは怪訝に思った。彼の愛するお坊ちゃまはいつもいつも過剰なほどに構っていてやらないとすぐにすねるくせに、今日は一人で不思議なほど静かに何かをしているらしい。
ゲームでもしているものか・・?
そっとルーファウスの後ろから手元を覗き込むと、見たことのないロボットで遊んでいる。
「なんですか、それ・・?」
「パルマーにもらったんだ。ほら、面白い。」
手元のコントローラーをちょちょいと押すと、ぱるまーそっくりの小さなロボットは人間ばなれした動きをする。
ぷにぷにぽよぽようひょひょひょ。
確かに面白くないわけではないが、どちらかといえば不気味である。その動き方にツォンは背筋に寒気を覚えた。
「パルマー・・ですか・・汗」
「うん。作ったんだって。」
確かに市販されているよーなもんでしないでしょう・・が・・
はっきりいって、パルマーは行き場を間違えた男であるとツォンは思う。確かに機械関係では素晴らしい才能を発揮するが、何に使うのかわからない発明もそれに負けず劣らず多かった。
 どちらかといえば宇宙開発部門よりも娯楽部門玩具課にいったほうがいいんじゃないか・・
そんな建前は心配、本音は嫉妬というツォンの心中を余所に、ルーファウスは嬉しそうにロボットで遊んでいる。その姿を見て、ふと、ある質問が脳裏に浮かんだ。
「ルーファウス様・・一つ、質問に答えていただけますか?」
「何?」
「四天王の中で・・誰が一番好きですか?」
「パルマー。」
あっさりと答えたルーファウスに、ツォンは目眩を覚えた。不安が現実になりつつあるようだ。まさか、パルマーといい雰囲気になっているとは思いたくないが、人間嫌いのルーファウスが好意を抱く人間などそうたくさんはいない。ということは、それまで発展してしまう可能性も十二分ということである。もっともルーファウス自身にとってパルマーはおもちゃの熊とおんなじ部類に入っているらしいのだが。
パルマー・・あなどれない・・
ぐっと拳を握り締めたツォンの心配を余所に、そういえば四天王の四人目(影の薄いリーブさん・笑)ってだれだっけとのんびり考えているおぼっちゃまであった。


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