瀬尾先生の第36弾

その少年、いや、既に青年の域に達したその人間を最初に見たのはいつだったか。プレジデントの横に立つその姿には人を引き付けるものがあった。

しなやかな気品と、そして自分の力を持て余しているようなもどかしさ。
濃い色の眼には、強い意思とどこか虚無的な光が宿り、人を引き付けながらも決して人に心を見せない矛盾したオーラ。
自分の手の内にあるものとはまた違った美しさをもっている。
この青年を抱いてみたい。自分の腕の中で全ての仮面を剥ぎ取ってみたい。
彼は暗い欲望に一人笑った。


「今更冗談だった、なんていうのか。」
冷ややかな光を持つ眼が真正面からセフィロスを見る。予想していたよりもなお高いプライドの持ち主らしい。だがそれはその容姿によく似合い、見るものに小気味よい満足感すらおぼえさせた。
「本当に自分の息子を差し出すとはな・・・・」
感嘆ともつかぬ言葉を発しながら、セフィロスはルーファウスを眺めた。成程、整った顔である。この顔が歪むところを見るのは一興かもしれない。
「どうせ、しばらく飼われててやるから息子を一晩貸せとでも言ったんだろう。」
「半ばは冗談のつもりだったのだが・・・」
「そういう人間なんだよ。親父は。僕のことなんて都合のよい手駒にしか考えていない。」
「で・・お前の意思はどうなんだ。」
「意思とは?」
「私に抱かれたいか、と聞いている。」
「嫌だ。できることなら。」
ルーファウスは一言で言い放った。今、ガウンの背に流れている、触れるものを切り裂くような髪の色が嫌いだった。神を思わせる、整いすぎた美貌が嫌いだった。そしてなによりも、この男の冷たく輝く眼が嫌いだった。
「そうか・・・」
セフィロスは隣室に繋がるドアを開けた。その先に薄い闇が続いている。
「しかし契約は契約だ・・・・・こい・・」
ルーファウスは眉を顰ながらもその指し示すほうに向かった。運命は享受されるものだった。

「なんだ、先客じゃない。」
白いシーツの中から少年が気怠げに半身を起こした。全裸であるようだが羞恥心はないのか、それとも既に削ぎ落とされてしまったのか、滑らかな、血の色が透けてみえるほどの白い肌を隠しもせず、ただぼんやりと生気のない眼でルーファウスを見つめている。
「ふぅん・・・金髪碧眼が好みなのか。なるほどね。」
ルーファウスはちらりとセフィロスの方を見た。思いきり嫌味を言ってやったつもりだったが平然としている。
・・こいつ、心の中まで凍っているのか・・・
心に刺がはえる。
少年の歳はルーファウスよりも三つ以上は下らしく、まだ妖精のように中性的な域を出ない、ひどく細い体をしている。その体が男に組み敷かれる様子を思い、ルーファウスはやりきれない痛ましさを覚えた
「でも、お楽しみのところを邪魔する気はないよ。僕は帰る。」
「待て。帰っていいとは言っていない。」
くるりとドアのほうを向いたが腕を掴まれた。きつい色の眼がセフィロスを睨む。思わず嘲るような言葉が口から流れでていた。
「じゃあ何、僕とこの子をヤらせて自分は傍観者を気取るつもり?いい趣味だね。」
「口だけは達者だな・・」
セフィロスの冷たい腕がルーファウスの体を捕えた。ひくりと動く若い肢体をそっと撫でさする。
「その強がりがいつまで持つものか・・・・」
低い声で笑いながら、ルーファウスをベッドに投げ込んだ。自身もガウンを脱ぎ捨て、その上に多い被さって手足を拘束する。
「何を・・・」
ツォン以外の人間に怯えを見せたくはなかった。しかしどんなに拒んでも、体の奥底から恐怖がにじみ出てくる。すぐ前に神々しい程に残忍な微笑が迫る。
「忘れたのか・・お前は今夜、私に差し出された供物だ・・私が何をしようと自由なのだよ・・」
「・・けだものっ!」
「くっくっくっ・・・いい響きだ・・・」
暴れようとするルーファウスをたやすく押え込み、触れるだけの軽いキスをする。ルーファウスはきつく目を閉じ、顔を背けた。

「・・・さて・・・クラウド・・おいで・・・」
これに先程までおどおどとしていた少年が反応した。無表情なまま側により、手を付いてそっとルーファウスの体に舌を這わせ始めた。その部分から無数の虫の蠢くような怪しい感触が広がり始める。
「ひ・・っっ・・・」
クラウドによって次々と露になっていく肌を庇うこともできずに、時折押し殺した喘ぎを上げるルーファウス。その体を押さえ付けるものが、残酷に笑った。
「どうだね・・私のクラウドは・・素敵だろう・・私が直々に仕込んだものだからな・・」
アイスブルーの瞳の中の光彩が、猫の目のようにすっと細くなる。いや、彼は猫ではない。その余裕に満ちた威厳は、百獣の王として獲物を支配し、弄ぶものに相応しかった。
闇夜の哀れな犠はその運命を体で知らされることになった。



すみません、ここから先、三人でどうしようかなーって・・・笑
アイディア募集中(笑・って、とんでもないのがきたらどうしよう・笑)


[ 感想を書こう!!] [小説リユニオントップへ]