瀬尾先生の第31弾

多分ー・・これがリミットレベル5というものではないのかなと・・気の弱い方はご利用をおやめください。

断筆宣言したはずなんですがー・・笑・・どうも深い闇の中で贖罪するどころか悪夢を見ている気分です。ぱのらまさんの渡米お祝に捧げます。
しかしリクエストのタイトルは・・「とことんエッチでとことん痛そう」って・・汗・・瀬尾は・・まぁ読むのは嫌いではないけれど・・・やっぱ嫌いかな・・・痛いのは・・・汗汗汗(今更何言ってんだか)
でも仕方がないので痛そうな描写をしてみましたが・・解剖生理学の教科書みたいでいまいち味わいがないなぁ・・・(泣)
おまけにあんまりえっちではない・・・(苦笑)
と、いうことで、あんまり上手くないんですけど・・・これがせのおの限界ですのでもらってあげてください。ぐすん。

追伸・なお、これのお返しに「血塗れくらちゃん」の続きを頂けるそうです・・・(笑)ふっ、海老で鯛・・・(にんまり)



「ここは・・・ライフストリーム・・・・・?」
温かな緑色の空気が彼を包んでいるのが分かった。自分の四方には果てない地平線が広がる。ひどく殺伐とした、閉じられた空間。クラウドは意識が拡散しそうな感覚に捕われた。
「・・・ラ・・ド・・・」
「?」
浮遊しそうな体の中で、不意に何かの音が聞こえたような気がした。じっと耳をすます。
再び、音が、声が聞こえた。
「クラ・・・ウ・・ド・・・・」
誰かが呼んでいる。愛する誰かが。クラウドは引き寄せられるようにその方向に歩いていった。

足の下でさくさくと地面が崩れる音がする。どれくらい歩いたものか・・クラウドの周囲の景色は全く変化しない。ただどこまでも、緑色の低い空と重い空気が続いている。それは永遠という世界。

「クラウド・・・」
再び声が、した。それがきっかけだったのか、一瞬のうちに景色が変化した。深い欝蒼とした森の匂い。
クラウドの動揺を聞き取って、ざわざわと木々がうごめき始める。古の森。この景色には見覚えがある。
だがそれがどこにあったのかは、彼には思い出せなかった。
「・・待っていた・・・」
近くからまた呼び掛けが聞こえた。クラウドがそちらの方を向くと、大樹の影から一人の男が音もなく姿を現わした。銀色の髪が風を受けて、透き通った肌を流れる。
「セフィロス・・・」
「クラウド・・・」
言葉はそれだけでよかった。クラウドは信頼と安心に満ちた表情で愛するものの元へ、引き寄せられるように動いた。セフィロスの顔にも微笑が浮かんでいる。その透き通った眼に魅入られるように、クラウドは一歩一歩、進んでいった。


セフィロスに触れるほどの距離になった刹那、風を切るような音が聞こえた。クラウドの胸から腹にかけて鮮痛が走り、斜めに開いた間隙から薄桃色の内臓が流れ出す。
「・・・・?!」
何がおこったのか、クラウドは理解できなかった。それを両腕で庇いながら、怯えた眼でセフィロスを見上げる。その顔には未だに微笑が刻まれていた。
「クラウド・・待っていた・・」
優しい声が、穏やかな表情がクラウドを一層困惑させる。セフィロスはクラウドの頭上に立ち、正宗を構えた。銀色の光が閃いた。
「愛して・・いるよ・・・」
自身の体を庇ったままのクラウドの腕が両肩から落ちた。一瞬の後に熱い痛みが走る。しかしそれに悲鳴をあげる間もなく再び光がきらめき、今度は体が太股からずれるのを感じた。
「あ・・・・・?」
支えるものを失ったクラウドの体は厚く苔むした地面に転がった。不思議と血は出ていないが、気の狂いそうな痛みが体内を駆け巡る。きれいに寸断された断面は硬骨と神経が美しい文様を描いていた。
「セ・・・フィ・・・?」
助けを求めるようにあげた首は、それでも愛しげに彼を見下ろす支配者をとらえた。掠れた声が哀願する。
「な・・・・ぜ・・・?」
「・・可哀想に・・・私のクラウド・・じきに楽にしてあげるよ・・・」
地面が一瞬にして盛り上がり、無数の蔦のようなものが生えてきた。それが手足を失ったクラウドの無惨な体を絡め取り、大木に縛り付ける。黒い樹皮に青白い膚が浮かびあがった。
「可愛い・・クラウド・・・お前をその汚らわしい肉体から・・・」
セフィロスに向かうように固定されたクラウドの体を蔦が這いはじめる。クラウドの体は暗緑色の蔦で覆い尽くされ、その動きは次第に早くなり、セフィロスの眼前でクラウド自身が首をもたげ始めた。セフィロスの眉が顰められる。彼は静かに呟いた。
「醜い肉欲・・・醜いものは・・破壊しなければならない・・・・」
「いやぁぁあああっ!!」
セフィロスの言葉に反応するように蔦がクラウドの体内に捻じり込まれ始めた。更に胸の傷に、肩の傷に、足の傷に。細い体を裂くかのように、その本数は増やされていく。暗い森に悲鳴だけが木精した。

「いや・・・いやぁ・・・・助けて・・・」
セフィロスに向かって、既に繋がってはいないはずの腕をクラウドは必死に伸ばした。声が枯れる頃にやっと体がよじれ、微かに触手から開放される。その様子をそれまで無表情に見ていたセフィロスが、音もなくクラウドに近付いてきた。クラウドの顔に安堵の表情が浮かぶ。
「セフィ・・・」
助けてくれると思った。涙混じりの声が庇護を求める。その哀願に答えるように、セフィロスの唇がクラウドの顔に触れた。クラウドは泣き崩れた顔で微笑んだ。
薄い唇が目尻から流れる涙を吸い上げ、細い鼻陵を撫であげる。そうして求めるように差し出されたクラウドの舌の上に覆い被さった。

不意に、がりりと硬いものを噛み切るような音がした。クラウドの背が弓形に反る。

「あ・・あぁ・・・?」
離されたクラウドの口から赤い血が迸った。微かに震える薄い唇の中には空虚な闇が広がっていた。
「お前には・・こんなものはもう必要がない・・・」
セフィロスはつい、と自分の口中から、先程噛み切ったクラウドの舌の端を歯で挟んで見せた。セフィロスの口から鮮血が滴り落ちる。恐怖に目を逸らしたクラウドをあざ笑う哂うように、彼はこくりとそれを飲み込んだ。紅く染まった長い舌が、満足そうに唇を舐める。
「私達の間に言葉は不要だ・・そうだろう、私のクラウド・・?」
引き戻されたクラウドの顔は凍り付いていた。彼の心はあまりにも大きな絶望の波に耐え切れなかった。
悲鳴を上げることも出来ずに、ただ見開いた眼球だけが忙しなく動く。何を見つめるでもない。何に眼をとめるでもない。それだけが命のあることを証明しているかのように、ただ動くことを止めなかった。
「無様・・だな・・」
クラウドを見つめるセフィロスの眼は、冷たい嫌悪に輝いていた。

「さぁ・・・クラウド・・茶番はそろそろ止めにして、いこう・・そんな体は捨てて・・私と共に・・」
セフィロスは既に赤い線だけを残して閉じかけていたクラウドの胸の傷に指を触れた。爪がすざまじい力でめりこみ、苦もなくそれを開く。
「私の可愛い・・人形よ・・・」
滑らかな皮膚から突き出た白い肋骨の奥から、ひくひくと弱い鼓動を放つ心臓をひきずり出した。紅い血管がクラウドの胸とセフィロスの手を繋いだまま、彼はそれをそっと胸に抱いた。彼にとって、もはや体は必要ではなかった。
「奇麗だよ・・クラウド・・お前の心は私のものだ・・・永遠に・・・・」
もはや動かぬクラウドと紅い肉塊とを結ぶ名残りの糸を乱暴に引きちぎると、セフィロスは木に繋ぎ止められたままのクラウドの体に背を向けて歩き始めた。
一体その方向に何があるのか・・それは彼すらも知らなかった。ただ、銀色の影が果てなき彼方に向かって消えていった。

その後には薄く眼と口とを開けたまま、もはや動くことのない抜け殻が残されていた。その顔はセフィロスの去った方向を向いていた。彼の為の涙は、淡い霧となって消えていった。


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