瀬尾先生の第23弾 |
「本当に・・・申し訳ございません・・・」
茶を更えながら、若い妻(おいおい)は言った。襟元から覗く白い首が妙になまめかしい。
亭主の趣味か、小さくまとめた髪型(作者思わず爆笑)と、地味な着物をきちんと着てはいるが、まだそう年はいっていないだろう。
伏せた睫がその表情をよりおさなくみせる。
「粗茶ですが・・・・・・・」
そっと茶を差し出す小さな手には、儚げな少女のような風情を漂わせていた。
「あ・・いや、本当にお構いなく・・・・」
ザックスは恐縮した。こんな、愛想のない亭主には似合わないほどの女房を一体どこで見付けてきたものか。あの作家、あぁ見えて意外にやり手なのかもと近頃思う。
「おい、いるか。」
いい雰囲気になりかけた頃、立て切ったふすまの向こうから不機嫌そうな声が聞こえてきた。おさな妻は慌てて立ち上がり、ザックスに会釈してからそっと消えていった。
しばらく、向こうからぼそぼそと低い話し声が聞こえていたが、それが何かを押し殺すような声に変わった。
ザックスが不審に思ってふすまの合わせ目からそっと覗くと、乱れた裾から、白い足袋を履いたままの細い足だけが見えていた。
何も見なかった事にして半時ばかり。ザックスがしらんふりをしてその日何枚目かのせんべいをかみ砕いていたところに妻は戻ってきた。
目元を微かに染め、ザックスを見て慌ててたもとで顔を隠す。
「すみません・・・少し、顔をなおしてまいります・・・・・」
それだけを言って、部屋を出て行った。
後姿の解れ髪が、軽く白い首にかかっていた。
・・・・・ごめんなさいっ。だから何って感じですっ。今見たらうりさんが既に続きかかれてたし・・・・・あー、間が悪い・・・・泣泣泣