瀬尾先生の第16弾

最初はひろしさんあてのでした。
遅くなりました。やっと完成いたしました。
ひろしさんにはのーちょくで色々と(笑)ご迷惑おかけいたしました。
お詫びなんだかいっそうのご迷惑なんだかわかりませんが、とりあえずお受け取り下さいませ。
しかし、構想はできててもいつ迄たってもかきはじめられなかった瀬尾・・(笑)時間ないからほとんどかきっぱなしだし・・・・とほほん。


「あれが古代種の神殿・・か?」
クラウドは鬱葱と茂る森の中にそびえ立つ、太古の建築物を見上げた。それはただ古びているだけでなく、人を寄せ付けない荘厳な雰囲気を纏っていた。
「・・・・はぁ・・なんやらすごいもんですな・・・」
ケットシーが感嘆というよりは、呆れ返ったという感じの声を上げた。隣に立っているエアリスが苦笑する。
「そうね。すごいけど・・・でも、優しい声がする。」
碧い眼が神殿を見上げる。その眼には、遙か昔に人が失ったはずの物が写っていた。
「ほな、とっとといきましょか。」
ケットシーが促したが、エアリスは一点を見つめたまま動かない。
「・・・エアリス?」
「エアリスはん?どないかしましたか?」
「あ・・・ごめんごめん。ぼーっとしてた。」
慌てて顔の前で手をふる。
「ところでね、ここで一泊、留まらない?」
「は?ここでキャンプでっか?」
ケットシーが首を傾げた。そんなに体力を消耗している訳ではない。このままいっても差し支えはない位はあった。
「ちゃっちゃといったほうがええと思いますねんけどぁ・・」
「そうだけど・・・なんか、すごくいいとこだし・・ね、装備整えたいし・・」
「そうだな。どんな敵が出てくるかもわからないし・・・」
「そーでっか・・・・まぁ、ええでっしゃろ。」
結局、エアリスに押し切られて森の中で一泊することになった。


「ほな・・わてロボットやから寝んでもかまわへんさかい、火の番してます。お二人さん、明日に備えてよう休んでや。」
ケットシーが番を引き受けた。それに甘えて、クラウドとエアリスはテントの中にひきあげた。
寝袋に入って横になると、開けた天窓から星空が見えた。
「・・・きれいだね・・・」
「あぁ・・・ミッドガルのスラムでは星も見えなかった・・」
こうやって星を見たのは、一体何年ぶりなんだろう。クラウドは思い出せなかった。
「ごめんね・・無理言って・・・」
エアリスがこちらを向いた。星灯りに、優しい微笑みが浮かび上がる。
「いや・・」
「ここね、すごく星の声聞こえるんだ。星ったって、お空の星じゃないんだけれど・・・でも・・やさしい声なの・・・」
エアリスが深く息を吸った。まるで星と会話をしているようなその様子に、クラウドはふと、エアリスがそのまま透明になり、消えてなくなってしまうような不安を覚えた。
「・・・・・エアリス・・」
「ん?」
「いや・・なんでもない・・・」
口に出したら笑われそうだった。そんなことは、あるはずもなかった。少なくともその時は、そう思っていた。
「へんなクラウドっ。」
薄い闇の中からくすくすと笑う声が聞こえた。笑い声が止み、しばらく沈黙が流れた後、唐突な質問がクラウドの耳に入った。
「ね、ザックスのこと、聞きたい?」
「・・・別に・・・」
「遠慮しないでよ。それに・・なんかね、今じゃないと話せないような気がするの・・聞いて欲しいな、クラウドさえよかったら。」
「・・・・・あぁ。」
本当は聞きたいような聞きたくないような微妙な気持ちだった。ザックス・・記憶の狭間にその名前がひっかかっているような気がする。
「んじゃ・・・」
エアリスはぽつりと話し始めた。

「私とザックスは・・そうね・・付き合ってたって程じゃなかったけど・・何度かお花買ってもらって親しくなって・・たまには一緒に御飯食べて・・気楽におしゃべりできる人だった・・顔は・・うーん、クラウドにちょっとだけ似てたかな・・・」
クラウドはいぶかしげにエアリスの顔を見た。エアリスは笑った。
「そうそう、そんな顔。それでね、二年くらい付き合ってて、ある日、プロポーズされたの。この仕事が終わったら、結婚しようって。びっくりしちゃった。そんなこと考えたこともなかったもの。変よね、男の人って。中身はいくつになっても子供なのに、すぐに結婚結婚って。彼が19才の時のこと。私なんてその頃17才よ。まだまだ子供じゃない。でもね・・・ザックスとならそうなってもいいかなって思ってたんだ・・」
まるでクラウドの反応を見るように、エアリスはそこで言葉を切った。外からはちりちりと虫の鳴く声がする。澄んだ空気が、クラウド達を包んだ。
「それでエアリスは・・・なんて答えたんだ?」
我ながら馬鹿げた質問だと思った。これではまるで嫉妬しているようだった。
「ん・・・まだ早いかなって思ったけど・・・次の仕事で帰ってくるまでに返事考えるって・・心、決めるって言ったの。彼、もうオッケーだと思って喜んででかけてったの・・・私、だから考えて考えて、すごく考えて待ってたの・・・でも、彼は帰ってこなかった・・・神羅に問い合わせたけど・・機密だからって・・ショックだったな・・」
「・・・・・・」
「そして、私の恋はそれでおしまい。すごく女の子好きな人だったから・・どっかで新しい彼女でも作って元気にしてるとは思うんだけどね。ありがとね。こんな話聞いてくれて。でも、クラウドには話しておきたかったの。おやすみ・・クラウド・・」
エアリスは目を閉じた。亜麻色の髪に光があたり、金色の輝きを持つ。それが薔薇色の頬を縁取った。
「あぁ、また明日・・・」
クラウドは、呟いた。明日が彼らの運命を決める日であるとは、その時の彼には知る由もなかったが・・・

(終)

 すいません。エッチもなんにもなしでただエアリス喋ってただけ(笑)
 でも、エアリスってそういう肉欲超えた所にいる人だと思いますから。


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