瀬尾先生の第5弾

ツォン・ルーファウスに転んでしまいました・・・・・(汗)
しばらく転びっぱなしかも・・・・・(汗)
この二人、精神的にはルーファウスの方が攻だと思います。「抱いて」と言われれば、ツォンさんはいつどこからでも飛んでくるでしょう(笑)逆に、ツォンさんは、「(本気で)やだ」と言われれば絶対手が出せないと・・・・(苦笑)
ということで、鬼のセフィロス版と、キュートなエアリス版(ひろしさんより)はしばらくお待ち下さい。
しかし、朝一番の仕事がこれって・・・・・当分おてんとう様に顔向けできません。


「・は・・ぁっ・・」
 ある豪紗なホテルの一室。照明を落とした部屋で、二つの人影が蠢く。もつれあい、絡みあい、時折あえかな呻きと衣擦れの音がする。
 上で夢中になって腰をふっているのは、中年の、脂ぎった獣のような男。そして、その下に組敷かれているのは、20歳を少し越したくらいの、いまだ少年の面影の残る青年だった。
 ぎらついた汗をかき、荒い息で必死の形相の中年男とはうらはらに、青年は時々辛そうに顔をしかめながらも、どこか冷めた表情で虚空を見ていた。やがて、中年男の動きが止まり、静寂が訪れた。

「もう・・気が済んだだろう・・」
 若い声がして、白い陰がベッドから抜け出した。無駄な筋肉の一切ないすらりとした体が月光に映える。
「・・・なるほど・・若い体というものはいいものですな。ルーファウス新社長、殿?」
 殊更に社長という言葉を強調しながら、ハイデッカーがベッドの上から賞賛した。が、それを意図的に無視したまま、ルーファウスは闇の中で手早く衣服を身に付けた。
「帰る。」
 それだけを言い残し、ドアのほうに向かう。その後ろ姿に追い撃ちをかけるようにハイデッカーの言葉が響いた。
「・・・・ふぅん。まぁ、それもいいでしょうが・・。お約束、お忘れなく・・」
 そうして、ハイデッカーはがはがはといやらしく嗤った。


「・・・・・・・」
 堅く唇を噛みながら、ルーファウスは新羅ビル内の自室に戻り、衣服全てを叩き付けるように脱ぎ捨てるとシャワーに入った。熱い湯が、肌理の細かい肌の上を転がるように落ちていく。全てを洗い流してしまいたかった。が、体には先程の情交の後がしっかりと残っている。湯は目一杯熱いはずなのに、体、そして心は冷たく冷え切っていた。
 こんな時、一番居てほしい人間がいる。だが、そいつにだけはこんな姿は見せたくない。冷たい体を自分で抱きしめ、ふとそんなことを考えた。

 しかし、ルーファウスが浴室からバスローブを羽織って出てくると、その、よりによって一番居てほしくないはずの人間が待っていた。
「ツォン・・・なぜ・・?」
「ルーファウス様・・・・」
「ここは僕の部屋だ。でていってくれ。」
 無断で入る許可は誰にも出していないはずだった。勿論、ツォンには緊急用としてキーが渡されている。しかし、彼がそれを実際に使用したことはかつてなかった。
「ツォン・・・」
 再度ルーファウスが警告したが、ツォンは首を振り、ルーファウスの前に立った。東洋系にしては高いツォンの身長は、ルーファウスがちょうど見上げる程である。その優しげだが威圧的な視線に絡め取られ、ルーファウスは身動きできなくなった。
「こんな遅く迄どこにいらっしゃったのですか・・・ルーファウス様?」
 シォンが静かに詰問した。
「・・・僕がどこにいても、君には関係ないだろう。」
 無意識のうちに視線を反らしていた。が、ツォンの容赦のない言葉がルーファウスを貫いた。
「・・ハイデッカーの・・ところですね?」
 あくまでも冷静に、ツォンは聞いた。が、その裏に静かな怒りが込められている。
「違うっ!」
「では、この痣はどこのどなたと・・でしょうか。なんなら、確認させて頂いてもよろしいのですが・・」
「!!」
 ツォンの手がローブの襟元にかかった。ルーファウスの顔色が変わる。思わず、襟をかきあわせようとしたが、ツォンが優美にその手を押えた。
「・・冗談です。私はあなたが傷付くのを見たくはないのです・・解かってください・・」
 大きな手が、ルーファウスの黄金色の髪を撫でた。その温かな感触に、濃青色の瞳から思わず涙が溢れる。ルーファウスは声もなく泣いた。
「なぜ・・あなたがそんなにハイデッカーを庇うのか私にも解かりません・・あれは・・確かに有望な人材ですが、はたしてあなたがその身を与えるほどのメリットがあるのか・・」
 震える背中をゆっくりと撫でてやりながら、ツォンは呟いた。
 しばらくして、ルーファウスは落ち着いたのか、大きく息をつき、顔をふった。
「もういい・・」
 そういってツォンを押し退けたようとしたが、その動きが途中で制止した。
「・・・?」
「今夜は・・一人で寝たくない。」
 ルーファウスは下を向いたままぽそりと呟いた。その様子にツォンが苦笑する。
「やれやれ・・・いつまでも子供なんですね・・・」
 そういいつつも、ルーファウス本来の我儘さが戻ってきたことにツォンはほっとしたらしい。
「うるさいっ。」
「よろしいんですか?明日は確か会議が三つと・・・」
「つべこべいうな。寝るのか寝ないのかっ。」
 怒り、しかし目は笑いながらツォンのきちんと締めたネクタイに指をかける。ツォンも呆れたような表情をしながらも、そっとルーファウスのローブを肩から滑り落とした。
 「ん・・・っ・・」
 ツォンの舌がルーファウスの上を掠めていく。白い肌の所々に、ハイデッカーの付けた赤い痣が散っているのが艶めかしい。
「あ・・・・あぁ・・・」
「駄目ですよ・・動いちゃ・・」
 敏感な場所に触れる度に身じろぐルーファウスを、ツォンがそっと押さえ込む。
「ん・・・・」
 潤んだ瞳でツォンの顔を見上げる。流れる黒い髪が顔の回りに落ちてくるのを、指先で軽く弄ぶ。
「奇麗・・・だな。さらさらしてる・・肌も・・・東洋系は得なんだな・・」
 一見、全く関係のないことを呟くルーファウス。そんな彼に、ツォンは目を細め、優しく接吻した。
「・・私は・・全てあなたのものですよ。ルーファウス様・・」
 くすぐったそうに笑う。その唇が、徐々に下腹部に降りてゆく。
「しかしまぁ・・よくもこんなひどいことを・・」
 そこにはハイデッカーの無理な愛撫によって赤く熱を持ったルーファウス自身が密かにいた。その付け根にも、そっと舌を這わせる。そのざらりとした感触に、ルーファウスは悲鳴を上げた。
「や・・いや・・!!!」
「・・どうしてですか。気持ちいいでしょう・・・?」
 ツォンの舌はそのまま奥へ入っていった。それにあわせて足を抱え上げられる。
「ここは・・傷付けられてはいないのですか?」
 その言葉を聞いて、ルーファウスは思わず比較的自由な方の足でツォンの肩を蹴り飛ばし、後じさった。
「・・君には・・付き合いきれないっ。前言撤回だ、僕は一人で寝るっ!」
 顔が羞恥心で真赤になっている。即座にベッドを滑り降りようとしたが、その足をつかまれ、引き戻された。
「なにを・・・・す・・」
 そのままうつ伏せにされ、両腕を背中でひとまとめに押えられた。
 うろたえるルーファウス。その背後からツォンのささやく声が聞こえた。
「あなたはよくても・・私はそれでは済まないのですよ・・」
「何?・・・あ・・・」
 ツォンの体によってベッドに押し付けられた下腹部に、そっともう一方の手が添えられた。それがやがて、多数のうごめく虫のようにルーファウスを愛撫し始める。
「あっ・・あ・・・・」
 枕にきつく顔を埋め、ルーファウスは喘いだ。暗い快楽だけの世界にときおり、耳を甘噛みする感覚が混じる。
「や・・め・・・」
「付き合いきれなくても・・パートナーをほうり出して途中で退場するのはルール違反ですね・・・」
「あああああっ!」
 優しい声。残酷な行為とはうらはらに。ルーファウスの抵抗はたやすく流され、指の動きは止まらない。
「そろそろ・・・いいですか。」
 ルーファウスの意識は完全に混濁し、手首の戒めが解かれても全身にうっすらと汗を浮かべたまま、くたりとしている。
「愛していますよ・・・ルーファウス様・・・誰よりも・・」
 そっと耳元でささやいて、ツォンは体を重ねた。
「ひっ!!」
 突然の衝撃に、ルーファウスの白い首がのけ反った。ルーファウス自身の放った蜜を潤滑油にして、ツォンが体内に分け入ってくる。ハイデッガーに慣らされていたせいか、痛みはあまり感じないが、圧迫感と快感が波のようにルーファウスの意識を押し流そうとする。
「ツォン・・・ツォ・・ン・・」
 朦朧とした意識の中で、愛するものの名を呼ぶ。こうやって愛される度に、これは夢ではないのか、いつか消えてしまうものではないのかと、ルーファウスは恐れる。

 ほんの一瞬の夢だったのか、それとも永遠にも匹敵する時間が流れたのか、どれくらいの時がたったのかもわからない頃、二人は体を離した。

「大丈夫ですか?」
 ツォンは呆然と横たわるルーファウスを心配そうに覗きこんだ。外はすでに明らみはじめている。ルーファウスはくすりと笑った。
「・・誰のせいだと思っている・・ちっとも大丈夫じゃない・・・・ところで・・今・・・何時だ?」
 時計を見る。
「・・6時前ですね・・今日は病欠だとでもいっておきましょうか?」
「馬鹿。そんなことを言ったらハイデッガーを喜ばすだけだ・・・」
「なるほど・・・」
 ツォンは苦笑した。ルーファウスの中では昨夜のことは既に笑い話として消化されているらしい。その若さゆえのしなやかさが嬉しかった。
「では・・・ゴールドソーサーあたりに遊びにいったではいかがでしょう・・?」
「そうだな。じゃあ、コスタ・デル・ソルにサーフィンにいったとでもいっておいてくれ。久し振りにやりたくなった。」
「・・本当にいくおつもりですか?」
「馬鹿っ。こんなキスマークだらけ状態でいけるかっ。」
 ぼすんという音をたてて、枕が飛んできた。確かに、ひどい有様だ。
「・・・まったく・・・・・」
 言葉と溜め息とは裏腹に、ルーファウスは朝日を浴びて気持ちよさそうにのびをした。


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