りな先生の第2弾

投稿者 りな 日時 1997 年 7 月 24 日 02:40:27:

こんにちは、りなです☆
前にアップさせていただいたお話に、レスをつけていただけて、ものすごくものすごく嬉しかったです〜!
浅木さん、まっきーさん、社さん、mintさん、ありがとうございました☆
褒めていただけるとうれしいので、調子にのって続きなど書いてしまいました。ので、みなさま、お暇な時にでも、読んでみてやってくださいね!
にしても、ヴィンユフィ結構好かれててうれしいよう・・。



「触れられても遠い場所」

 やっぱりウジウジしてるのは性に合わないし。
 とかなんとか思っていたからとっとと訊こうと思うのに、機会はあるのに口に出せない。どうしようかなと思っていたら、今度のミッションは彼と組めることに(クラウドもいるわけだが)なったらしく、マテリアをいくつか、彼と廊下で会ったときに手渡された。バリアのマテリアとぜんたいかを組み合わせてとか、そういう感じで選びながら手渡してくれた。
 クラウドはシドのように、誰がどのマテリアをつけているかわかんない状態には陥らない。ミッションごとに、事細かに前もって全部はずさせたマテリアを配布する。意外と細かい男だなと思ったものだ。
 バリアのマテリアを渡されるときに、ふと思って訊ねた。
「クラウドがそう言ったの?」
「いいや、今回はどうとも指示はなかった、ただ、私は己の行動を選択できなくなる場合があるから、お前が持っているのがいいだろうと思う」
 あ、そっか、と何とはなしに言ってマテリアを受け取り極光の腕輪にはめていると、視線を感じた。顔をあげると、穏やかな顔でヴィンセントがその様子を見ていた。ちょっと驚いて、何?と首を傾げる。
 静かな笑みを浮かべて、黙って首を横に振ると彼は、ぽん、と手で髪を軽く叩いて歩いていった。
 ・・何。
 あんなふうに自分に対して笑ったことなんかなかった。何なの一体?と思ったはしから、ぱらぱらと受け取ったマテリアが手を離れていく。ぎょっとして座り込み、慌てて散らばるマテリアを拾い集めるが、手が萎えたようになっていて、巧く掴めない。どうしたんだろう。胸がぎゅってなって、苦しさに萎えた手で押さえた。そんな手にも、ひどく急ぐ鼓動が伝わる。ドキドキしてる、どうしたんだろう。
 何で見てたんだろう・・あたしヘンな顔してたのかな。
 耐えきれなくて、身体を追って膝に顔を埋めた。
「あああーーーー、もうーーーー、あたし、ヘンーーっ」
 ドキドキしてイライラ、叫んだはいいが廊下のど真ん中、遠くでバレットがぎょっとして身を退いた。

 なんでこの旅ときたら乗り物づくしなんだろう。飛空挺の次は潜水艦だ。ヒュージマテリアを奪われた上に訳のわからない腕のお化けみたいな敵と戦って、命辛々、犬まで犬質にして駆け込んだら誰一人運転ができないときた。吐きそうになりながら、捕虜たちをジャマジャマと足で追いやってしゃがみ込むと、傍らにすとんとヴィンセントが腰を下ろした。
 ちらっと見上げると、何かしていた方が気が紛れると操縦席に座ったクラウドを見ているナナメの横顔。少しだけ影が差している。そのときちょっとだけ酔いがやわらいだ。足に堅いものが触れる。彼の腕だった。はっと思いついて、その金属でできた左腕を取る。さすがに驚いて、ヴィンセントは腕を引いた。
「何を・・」
「え、あのさ」
 金色の腕を取って、そっと頬と、それから額と、順にあてて、それから頬を寄せる。
「こうしてると、ひんやりしてて気持ちいいんだろうなーって思っただけ・・」
 実際、ひんやりして、吐き気がうずまき熱っぽい顔に心地よい。強張っていた肩の力をふうっと抜いて、ヴィンセントが長いためいきをつく。
「おまえは、なんというか、おおらかというか、マイペースというか・・」
「う、揺らさないで」
 力を抜き、すこし身を崩して背をずるりと壁にもたれさせた彼につられて、ユフィがずるずると崩れる。
「吐きそう・・」
「今はやめてくれ」
 都合、彼の膝に吐くことになる。それはユフィにとっても避けたい事態だった。
「大丈夫・・」
 彼の腕にすがって膝に崩れおちているような妙な体勢から身を立て直すため、力の入らない膝に必死で根性込めて立ち上がろうとしたとき、不意にぐらっと潜水艦が揺れた。入れた根性がどーんと抜ける。可愛くきゃっとも言えずに必死で手を泳がせると、ぐいと強い力に腕をとられて、吐き気をこらえながら無理強いなその力に従うと、さっと視界が暗くなった。
「被弾したか?」
 何か布のようなものがかかったのだ。布越しの声。殆ど仰向けのようなちょっと苦しい体制で、ユフィは腕に抱かれていることだけは自覚できていた。誰の腕って、誰がいた、誰が!誰・・・そう思った途端に、また、胸がきゅっと痛くなる。かあっと顔が熱くなったのが判った。
「ああ、大丈夫か?すまない」
 クラウドの声がした。・・しばらくの沈黙。
「・・なにやってるんだ?」
「ああ、こいつがフラフラして転がっていきそうになったから」
 こいつとは自分のことだろう・・。
 もう、恥ずかしくて顔が出せない。これはきっとあの赤いマントだろう。このまましばらく隠れていたいが、それは膝の上でしばらく転がっているということである。そんなこと、心臓が保たない・・今だって、布の中でおぼれそうなほどに呼吸困難、胸の痛みもあいまって息が苦しい。
「あ、あ、あの、大丈夫・・ごめんねっ」
 するっとマントから抜け出て、ちょっと離れて膝を抱えて座る。モニターを見ていればいいのに、クラウドがまだこちらを見ているのが視界に入る。そんなことして、また、爆弾食らった。


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