セフィロスバンド


投稿者 血吸ねこ 日時 1997 年 10 月 12 日 21:12:07:

(^◇^; この間「乱入」させていただいてから、ちょっと妄想が・・・(汗)
・・・剃刀入りの手紙ならぬ「ウィルス入りのメール」はご勘弁を・・・!
題して「セフィロスバンドのある日の風景」・・・かな?(笑)


 ここはライブハウス「プラネット」。今夜は3カ月に1度の、ジャズバンドのライブらしい・・・

 現在、午後2時。演奏は夜だが、セッティングなんかの都合上、この時間に集合しないと間に合わないのだが・・・
「・・・遅い・・・」
 長い黒髪をなびかせ、コントラバスを抱えた端正な容貌の男が時計をのぞき込む。
 ベース、ヴィンセント。なぜかその瞳は、紅い。
「・・・いつものことだ。」
 さらりとした、これまた長い銀髪を持ち、しかも凄みのある美貌の男が答える。
 ピアノ、セフィロス。このバンド−−−「ゴールデンチョコボ」のリーダーでもある。
 ・・・この2人の美男がそろって立っているところは、なかなか美しい眺めであった。
「あら、もう来てたの!」
 店のドアが開き、ここの女主人シエラが顔を出す。
「先に入ってれば?どうせみんな、きっかりには来ないんだし。」
 クスクス笑い、2人を請じ入れる。と、そこにワゴン車が到着。
「遅くなりました。」
 これまた割と長めの黒髪で、目元のきりっとしたハンサムな男が降りてくる。
 ドラムス、ツォン。(遅れたと言っても、まだ3分ほどしか過ぎてないのだが・・・(笑))
「ああ。・・・手伝おう。」
 セフィロス、ヴィンセント、ツォンの3人で時折トリオを組むこともある。ドラムセットやアンプ、マイク等を車から降ろし、店内に運び込む。それが済むと、ツォンは車を移動しに行った。
「あ〜っ、遅刻遅刻!」
「大丈夫、どうせまだみんな来てないわよ」
「でもまたツォンさんのお手伝い、出来ない・・・」
「まぁったくぅ・・・!」
 にぎやかに笑いさざめきながら登場した女の子4人組。
 ボーカル、ティファ。腰の下まで来る長い黒髪と大きな胸がトレードマーク(?)。
 フルート、エアリス。ほどけば膝の下まで届きそうな栗色の髪を三つ編みにしている。
 テナーサックス、イリーナ。七三に分けた短めの金髪が彼女をきりりと見せている。
 同じくテナーサックス、ユフィ。ちょっとぼさぼさの黒髪をショートカットにしている。
 前者2人は黒を基調にしたワンピースで、後者2人はダークグリーンのパンツスーツ姿だ。その後ろからさりげなくツォンが入ってきた。
 一気に店内が賑やかになる。店内ではシエラの指揮で、椅子やテーブルが並べ替えられていく。
「いやぁ、道が混んでいて・・・」
 ちょっと渋い声の、きっちりと手入れされた顎髭をした男が入ってくる。
 バリトンサックス、リーブ。・・・どことなく中間管理職を思わせる容貌だ。
 楽器のケースを店の隅に置くと、急いで並べ替えを手伝う。並べ替えが終わったところで、各自の楽器を用意する。ドラムセットを組み、位置を決めるとその周りに演奏者の椅子や譜面台が並べられる。更にコントラバスをアンプにつなぎ、ドラムやピアノの周りにマイクを立て、スピーカーを置く。
 (注:こうやってマイクで音を拾ったりしないと、管楽器の音に負けてしまうのですよ。)
 あらかた用意が済んだ頃には、時計は3時をまわっていた。

「だ〜〜〜っ、遅れちまったぜ!」
「・・・ったく、誰のせいだと・・・」
「まぁまぁ・・・」
 ドアが乱暴に開き、3人の男が入ってくる。
 ボーカル、バレット。かなりの巨漢で、面立ちがちょっと恐い。
 アルトサックス、ルーファウス。甘いマスクで、いつも女の子に囲まれているようだ。
 同じくアルトサックス、クラウド。「チョコボ頭」とよく言われる、つんつんはねた髪型だ。
 すでに来ていたメンバーから冷ややかな視線を浴びせられるが、気にせずに楽器を用意する。
「・・・んだとぉ!ミュートを忘れた、だぁ???」
「す、すまないんだな、と・・・」
 トランペット、シド。この店の女主人に気があるの何のと噂される、ヘビースモーカー。
 同じくトランペット、レノ。真紅の髪をした、不良青年といったところか。
「・・・けっ、しょうがねぇ・・・おい、そこの店で”ぺ”の『ワンタン』2つ買ってこい!」 
   (注:これ、よく使われるんですよ。(^◇^;  他にも、『あ○いきつね』とか・・・)
「1つじゃダメかな、と・・・」
「っきゃろぅ!!!そろってねーと見た目がわりぃんだよ!」
 シドが小銭入れを渡し、レノが慌てて外に駆け出していく。それを見送って、シエラにお湯を沸かしてくれるように頼む。ちょっと頬が紅くなってるのは気のせいだろうか?
 シドとレノが仲良く(?)『ワンタン』を啜っているところでドアが勢いよく開いた。
「お待たせしました!真打ち登場で〜す!」
「・・・何が真打ちだ・・・」
 トロンボーン、ザックス。あまり手入れしてなさそうな長い黒髪のお調子者。
 同じくトロンボーン、ルード。スキンヘッドにサングラスなもので、ちょっと恐がられている。
 ちなみに、男性陣は黒のタキシードに蝶ネクタイだ。
「・・・遅いぞ。」
「まーまー、そんなに怒るとハンサムが台無しじゃん!」
 氷のようなセフィロスの声に、さすがに(やばい!)と思ったのだろうが、いつもの調子で明るく言う。そんなザックスの返事に小さく溜息を付き、セフィロスはリハーサルを開始する。
 時計はもう、4時に近かった。

 リハーサルが終わったのは6時近くだ。
「やあ、元気かね。」
 黒のテンガロンハットをかぶり、ボストンバッグを提げたやせぎすの男が現れた。
 ピアノの調律師、ジョー。いつも黒チョコボに乗り、たまにチョコボレースにも出ているらしい。
 この店でピアノを使うときにはいつも呼ばれる、腕のいい職人気質の調律師だ。シエラに軽く挨拶し、ボストンバッグから音叉を取り出し、調律に取りかかる。
「ジョーさん、今日も頼みますよ。」
 店の奥から、小柄な老人が出てくる。
 店のオーナー、ブーゲンハーゲン。趣味でこの店を開いて、もうン十年になる。彼にも軽く会釈をすると、ジョーはもう仕事に集中していた。
 メンバーは軽い食事をとりながら(酒を飲んでるのもいたが)、曲順の確認、ソロの順番等、細かいところを打ち合わせる。
 そのころには他の従業員(バイトも含む)が出てきて、調理場の方やテーブルの準備を始める。
「・・・やっぱ、オープニングはセフィロス・トリオで・・・」 byクラウド
「・・・本気か?」 byセフィロス
「・・・いいですけど・・・」 byツォン
「静かに始めるか、それとも始めっから飛ばすか・・・」 byヴィンセント
「あたし、静かに始めるのがいいと思うな。 」byティファ
「シエラさ〜ん、ビールもう一杯!・・・・・・(ごんっ)・・・いってぇ!」 byザックス
「・・・それ以上は後にしろ。」 byルード
「全くザックスったら・・・(くすくす)」 byエアリス
「・・・でも今、すごい音がしたよ。」 byユフィ
「オープニングがトリオなら、2部の頭は?」 byルーファウス
「じゃあ、歌で始めるか・・・」 byリーブ
「歌・・・って、どれにすんだ?」 byバレット
「『慕情』はどう?」 byイリーナ
「そいつぁいい!」 byシド
「じゃ、これで決まり、と」 byレノ
 おおかたの打ち合わせが済んだ頃、調律も終わった。すでに7時を過ぎている。
「じゃあ、お客さん、入れるわよ。」
 シエラが声をかけ、メンバーが立ち上がる。気が付くと、ヴィンセントの髪はリボンでまとめられていた。どうやらいつものごとく、ユフィに結んでもらったらしい。従業員のエストが、すばやく彼らのいたところを片づけ、ジョーにはコーヒーを出す。いつも1部ステージを聴いて帰るのだ。
「・・・彼らも、あいかわらずだな。」
「ええ。そこがいいのよ。」
 あっという間に客席が埋まっていく。それをにこやかにブーゲンハーゲンが見守る。

 7時30分、ライブスタート。
 セフィロスの長い指が、ピアノの鍵盤を滑るように動き、静かな音色を紡ぎ出していく。曲は『いつか王子様が』。そこへ、静かにヴィンセントのベースが重なり、ツォンがブラシでスネアを撫でる。
 1曲目が終わり、バンドリーダーのセフィロスが挨拶をしているうちに他のメンバーが席に着く。ライブは、これから盛り上がるところだ。
 調理場の方も忙しい。客は必ずしも、おとなしく演奏を聴いているわけではない。やはり、グラスを傾けたり、何かつまんだりしながら聴く方が多いのだ。まあ、ライブハウスだから当たり前といえば当たり前だが。
 こういうときはブーゲンハーゲンやシエラでさえ、シェイカーを振ったりする。いつも彼らの演奏をゆっくりと聴いたことはない。だから、いきなりカウンターにシドが座った時には驚いた。
「シド!」
「な〜に驚いてんだ?今1部が終わったとこだぜ?」
 煙草に火を付けるのを、優しく見つめる。そして、そっとビールの入ったグラスを前に置く。
「頼んでね〜ぜ?」
「いいの。私のおごりよ。」
 にっこり微笑まれ、ちょっと照れながらグラスに手を伸ばす。
 そんな2人を少々羨ましげにティファが遠くから見つめる。メンバーそれぞれにファンがいるため、休憩時間はたいてい、ファンに囲まれたりする。そっと溜息を付いて見やった先には、女の子達に囲まれたクラウドがいた。
 すでにセフィロス、ルーファウスの周りには多くのファンが詰めかけている。以外とツォンの周りに女の子が少ないのは、側でイリーナがさりげなく目を光らせているためらしい。
「あ、かあさん!」
 弾んだ声でエアリスが声をかける。彼女の母、エルミナだ。その声に、バレットが落ち着かない様子になる。ライブがあるときなど、エルミナが彼の娘マリンの面倒をみてくれたりするので、知り合いではある。どうやら、バレットはエルミナのことを憎からず思っているようだ。

 メンバーそれぞれの様子を見回し、隅にいたリーブがセフィロスにそっと頷く。
「始めるぞ。」
 セフィロスが立ち上がるのを合図に、メンバーがステージに戻る。
 9時、2部スタート。
 バレットのハスキーな渋い声に、ティファの甘い声が重なる。それぞれ、想いを相手に伝えようとするかに、歌い上げる。
 時には賑やかに演奏し、時には静かに歌を聴かせながらステージが進む。このころには少し調理場も余裕が出てくる。カウンターの中で、グラスをふきながらシエラは耳を傾ける。
 ふと気が付けば、いつものエンディングテーマ、『オーヴァー・ザ・レインボウ』が流れている。
「・・・ありがとうございました!」
 静かに曲が終わり、万雷の拍手の中、メンバーが引き上げる。ブーゲンハーゲンが客席の明かりを付け、ステージの方の照明を落とす。これから、帰る客の会計ラッシュだ。
「ふ〜〜〜っ、終わった終わった!」
 バレットが蝶ネクタイをはずし、胸元のボタンをはずす。見れば、シドやレノ、ザックスも同様にしている。男性陣の何人かが煙草を取り出し、火を付ける。エストがビールやジュースを持ってくると、たちまちのうちに空になる。一息付いたところで片づけ始める。
 電源を抜き、コードを束ね、マイクスタンドを畳む。イリーナがツォンを手伝い、ドラムセットを崩していく。ヴィンセントはコントラバスをケースに収めると、リボンをはずした。それをちょっと恨めしげにユフィが睨む。ザックスはエアリスに何かと話しかけながら譜面台を畳んでいる。後の手の空いたメンバーは、ステージにしていた所を他の客の邪魔にならぬよう、元の客席に戻していく。
 楽器等の運び出しはもう少し後だ。とりあえずは反省会を兼ねた打ち上げだ。・・・とはいっても、あまり反省などしてないようだが・・・(笑)
 それでも、ちょっとした意見をやりとりすると、そのまま解散になる。バレットはマリンが(?)気になるのでいつもすぐにいなくなる。イリーナは当たり前のようにツォンについて行くし、ユフィはコントラバスを抱えたヴィンセントの後を追って店を出た。ザックスはセフィロスの隣で賑やかに酒を飲んでいる。いつもだとエアリスを送っていくのだが、今日は彼女はエルミナと帰ってしまった。
「クラウド、送ってってね。」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
 クラウドがティファに引きずられるようにして店を出るのを、エストが微笑んで見送る。レノとルードは他のお気に入りの店に行ったようだ。ルーファウスは別のテーブルでファンの女の子達に囲まれている。リーブとシドは、カウンターで静かに酒を飲んでいる。
「お疲れさん。」
 にこにこと笑いながら、ブーゲンハーゲンが2人の前に来る。
「2部のノリ、いつもより良かったんじゃないかい?」
「そうかぁ?いつもどーりだと思ったが・・・」
「・・・シエラさんにもらったビールのおかげか?」
「そ、そんなこたぁねえ!」
 シドが真っ赤になって否定する。ブーゲンハーゲンとリーブは笑いをかみ殺した。
「・・・じゃ、お先。」
 グラスを空け、リーブが席を立つ。シドは煙草に火を付け、もう一杯酒を頼んだ。これから閉店まで、時折シエラを相手にしながら飲む。いつものことだ。

 夜中近くなって、店の看板の明かりが消える。ぼちぼち、周りの店も明かりを落とし始める。
 あれからルーファウスは何人かの女の子とドライブに出かけたらしい。いい気持ちで酔っぱらってしまったザックスに、セフィロスが肩を貸して店を出る。
「じゃあオーナー、お先に。」
 店から出て来たシエラの目に、店の前で煙草をふかしているシドが映る。
「・・・送ってくぜ。」
「ありがと!」
 並んで、無言のまま歩き出す。そっとシドの腕にシエラが手をかける。シドの顔が真っ赤になるが、ふりほどこうとはしない。

 月は静かに夜の街を照らしていた。



きゃ〜〜〜、ごめんなさいごめんなさい!
「セフィロスバンド」といいながら全然セフィロスメインじゃないし・・・!(ToT)

この続きは・・・多分ないでしょう・・・


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