セフィクラのラストです


投稿者 ゆきみ 日時 1997 年 10 月 10 日 16:14:37:

 こんにちは。……スゲー遅くなりました。うう。
 取りあえずこれでラストです(忘れ去られてたか……?)作者、前回でや●い書くのは懲りました。修行して出直します、ほんとに。
 しかし……2週間ぶり……(汗)既に前の……残ってないし……うう。




 暗闇の中で、クラウドは目を覚ました。
「……?」
 身を起こそうとして、身体が酷く疲れているのに気づく。そう言えば、ここは自分の部屋ではない……上等すぎる窓から見える景色が、いつもと全く違うのだ。
「ゆめ……みてた……」
 ぼんやりと呟く。自分が自分でなくなったかのような、夢。……あまり、クラウド自身覚えてはいないのだけれど。
 覚えているのは黒衣の天使……銀と黒の、美しすぎる男。
「セフィロス……」
 一言、口にするたびに甘い気持ちになる言葉。夢の中で何度も呼んだ。喉が涸れるほど叫んで……その間に何度も。
 どんな夢だったのか、もうほとんど覚えていないけれど……
「起きたのか」
 突然かかった声に、クラウドはひゃっと声を上げた。
「え……なに?」
 振り向くと同時に、ぱっと部屋が明るくなる。その先にいたのは、夢の中で会ったはずの人、だった。
「セフィ……ロ、ス?」
「具合はどうだ」
 呆然としたままのクラウドに歩み寄り、さらさらとした金髪に触れる。その感触が心地よくて、クラウドはうっとりと瞳を閉じた。
「……………………夢みてたんだ……ほんとになるなんて……びっくりした」
 目を開き、頬にかかる銀髪に手をやるクラウドに、セフィロスは小さく苦笑した。
「もともと夢ではなかった……とは、思わないのか?」
「さあ……わかんない。あんまり、覚えてないから……でも、何だかすごく……疲れてる……」
 体を動かすのもおっくうらしい。眠くて眠くてたまらない……そんな様子だ。きっと……次の朝には、この日起きたこと全て……忘れているのだろう。昼間のこと。セフィロスに会ったことすらも。……明日の朝にはミッドガルへ戻らなければならない自分が、セフィロスには歯痒かった。
「ねえ、セフィロス……明日も、あえる?」
 幼いクラウドの声が、この上なく愛おしい。たった一日だけの逢瀬……子供ならではの残酷さで、次にあったときには……自分のことなど忘れているのだろう。次にいつ……会えるかすらもわからないが。
「いや……オレは明日の朝……ミッドガルへ戻る」
「ミッドガル……神羅の人の、いるところ?」
 見開かれたクラウドの瞳。魔洸の冴え冴えとした蒼とは無縁の、澄んだ空色の瞳にセフィロスの姿が映っている。
「そっか…………セフィロスは、神羅の人なんだものね……ねえ、今度は、いつ会える?」
 睡魔と懸命に戦っているのだろうか。時々前後にクラウドの身体が揺れる。
「もう……いつ会えるかすら、わからないな……」
「……どうして?」
「次にいつ休暇を取れるかもわからない。次に来たときはお前はこの町からいなくなっているかもしれない」
 ニブルヘイムの若者は、田舎暮らしを嫌って次々と町へと繰り出すと言う。クラウドも……例外とはならないだろう。セフィロスはそう確信していた。
「仕方のないことだ。オレはソルジャー……この事実は曲げられない」
「……つまんない」
 がっかりと肩を落としたクラウドに、セフィロスは何も言ってやれない。子供だましの慰めを言う気には、どうしてもなれなかったのだ。
 しばらくの沈黙。それを破ったのは、思いきり顔を上げたクラウドだった。どうやら、それまで眠い頭で必死に考えていたらしい。
「ねえ、じゃあ僕が神羅に行ったらいいんだよね?」
「……お前が?」
「うん。僕も神羅に入る。神羅に入って、ソルジャーになる!」
 最高の思いつき。クラウドの顔にはっきりと書かれてある。
「そしたら、セフィロスとずっと一緒にいれるよね?ソルジャーって、相棒とか必要なんでしょう?僕がセフィロスと一緒に戦ったげる!僕が、セフィロス……守ってあげるよ!」
 しばらく呆然とクラウドを見ていたセフィロスは、小さく苦笑を浮かべた。
 このオレを守る、とは。
 この英雄セフィロスを。
 こんな事を言う人間に会うのは初めてだった。賛美し、恐れ、助けられることを……守られることを当然のように考える人間しかいないのだと思っていた。
「大きくなったら、僕、絶対ミッドガルに行くよ!そしてソルジャーになるんだ!」
 頬を紅潮させてクラウドが言う。だが……
 この子はソルジャーにはなれないだろう。
 見ればわかる。この子の心は弱い。優しすぎる……弱すぎる。ソルジャーとして前線に出すには、この子の心は脆すぎるだろう。
 それに。この澄んだ空の瞳を……魔洸の冷たい蒼に変えるのは、つらい。
「……そんなことを、考えるんじゃない」
「やだ。僕、決めたからね!絶対ソルジャーになる!」
 セフィロスの制止も聞こうとしない。まっすぐな、まっすぐな子供……この子はこれからどうなるのだろう。無垢で無邪気な……それでいて脆い心の子供は。
 酷く痛めつけられて、二度と元に戻れないようなこと……そんなことが、ないと言い切れるだろうか?
(それなら……)
 興奮気味のクラウドをそっと抱きしめて、セフィロスは小さく呪文を唱えた。一瞬の後に訪れる沈黙……催眠魔法スリプル。セフィロスの腕の中で、クラウドは既に小さく寝息をたてていた。
「クラウド……ミッドガルへ、来るがいい。オレのもとへ……」
 誰も聞いていないのを承知で囁く。
「お前はオレが守ろう。お前を傷つける全てから……」
 だから。
 オレの元へ、来い。
 それは呪縛か。セフィロスにもわからない。明日の朝になれば、クラウドはきっと、この日のことを忘れているだろう。全てを夢と片づけて、また、ニブルヘイムでの生活を続けるに違いない。
 だが、セフィロスは確信していた。クラウドがミッドガルに……自分の元に来ることを。
 だから、それまでは。
「クラウド……」
 寝息を漏らす唇にそっと口づけ、セフィロスは……クラウドを抱いたまま、神羅屋敷を後にした。




 で、まあクラウドのお家に送り届けた、と言うことで。
 いやー、暗くなっても帰ってこないクラウドに、おかーさんはさぞかしびっくりしたでしょうねえ。連れてきたのがセフィじゃねー(自分で言うな)。

 と、言うわけでいかがでしたでしょうか。もう前の、残ってないので何が何だかわかんないお方もきーっといらっしゃるでしょうが……ほほほ(苦笑)
 前回のジャンプ(汗)がなかったら……きっと2回で終わってたんですね(笑)まあ……こんなこともあるや、ということで……だめですか?


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