あぐり師匠へ捧げる公約小説「バトルブリッジの手の者達×シド」超鬼畜&ハード!


投稿者 いかそーめん 日時 1997 年 10 月 10 日 14:19:16:

 長らくお待たせいたしました……(ホントに長ぇよ(^^;))あぐり師匠へ捧げる公約小説、「バトルブリッジの手の者達×シド(裏ビデオバージョン)」でございます。
 もう皆忘れてるかしら……(^^;)一応説明しておきますと、これはあぐり師匠の作中に書かれていたワンエピソードをお借りして、いかそーめんバージョンで書かせて頂いた物なんですね。
 当然の事ながらいかそーめんライクな作風になってますので、あぐり師匠の描く美しくも格好いい「美中年シド」をお望みの方は、どうか寛大な心でお見逃し下さいませ(^^;)

 しかし鬼畜は終わりとか抜かしてたくせに、自分の続きも書かずに何やってんだろね、私も……(^^;)
 ちなみに当然の如くただヤってるだけですので、「オチがねーぞ!」なんて苦情は言っちゃいやん☆という事で御了所下さい。

 では本文をどうぞ……




「うっ……!」
 突然冷たい何かを頭からぶっ掛けられ、シドは意識を取り戻した。
 ぼやけた視界一杯に、ざらついた灰色のコンクリートが広がる。
 前髪から雫が伝い落ち、下のコンクリートへと水たまりを作る。それを見て、シドはようやく自分がバケツで水をぶっ掛けられたのだという事に気がついた。
「お目覚めかい? 大佐殿」
 不意に、視界の中に薄汚れたズタ靴が入った。それを辿るように、ゆっくりと顔を上げる。
 見覚えのある男達が、シドを取り囲んでいた。
「てめぇら……どういうつもりだ」
 薬を嗅がされ、意識を失った事を思い出し、シドは身を固くした。床に寝転がったまま、油断なく周囲を伺う。
 ここはどこかの廃屋のようだった。がらんとした室内には何もなく、所々破れた窓ガラスからは、裏町の喧騒が流れ込んで来ている。その独特の活気に、シドはここがミッドガルの最下層――スラム街である事を悟った。
 シドの両手は前で拘束されていた。悟られぬようにゆっくりと指先を動かす。薬の影響が残り、鈍く重い感覚が体内にわだかまっているが、動けない訳ではない。
「おっと、逃げようなんて馬鹿な考えは止めときな。ここじゃ隣で人が殺されたって誰も気にする奴はいねぇ」
 シドの動きを敏感に察し、男の一人が声を上げる。雰囲気からして、この手の荒事には手慣れているようだ。
 シドはその青い瞳で男達を見返した。怒りの滲んだ、低く押し殺した声で問う。
「……誰に頼まれた」
「聞かなくても……わかってんだろ?」
「バトルブリッジの野郎か」
「おっと、俺達からは何も言えないんでね。ただ一つ言える事は、あんたはある人にえらい恨みを買っちまったって事だけだ」
 その言葉と共に、リーダー格らしい男がシドの元にしゃがみこむ。男はシドの顎に手を掛け、上を向かせると、楽しむような目つきで言った。
「あんた随分酷い事したんじゃねぇのか? その人は言ってたぜ。二度と立ち直れないようにあんたを嬲り、痛めつけ……犯せってな」
「……っ!!」
 シドの頬が怒りで紅潮して行く。その様を見つめ、男は酷薄な笑みを浮かべた。
「安心しな、たっぷり可愛がってやるぜ。……俺達全員でな」
「ふざけるんじゃねぇ! 俺様の体はなぁ、てめぇらにくれてやるほど安かねぇんだよ!」
 叫びざま、シドは鋭い蹴りを男に放った。十分にその攻撃を予測していたのか、男がすかさず受け流す。だが鍛え上げられたシドの蹴りは、予測をはるかに上回る威力で男を襲った。
「ぐっ……!?」
 男が吹き飛ばされる。その一瞬の隙に、シドは蹴りの反動を利用して身を起こしていた。
「てめぇ、おとなしくしやがれ!」
 脇で控えていた男の仲間がシドを取り押さえに掛かる。だがシドは機敏にその攻撃を避け、逆に鋭く重い蹴りをみぞおちにめり込ませた。身を折ったそいつの後頭部に、握り合わせた拳を叩き込む。一人が沈むと同時に、シドは流れるような動作で次の敵に対峙していた。
 その体は未だ鈍く痺れ、思う通りに反応しなかったが、幾多もの死線を潜り抜け、あのセフィロスを打ち倒したシドである。いくらプロとはいえ、暗黒街の人間如きとは戦いのレベルが違った。
 シドは一気に男達の一角を切り崩すと、扉まで強引に突っ切ろうとした。いかに戦いに慣れてるとはいえ、長引けば自分の不利になる事は目に見えている。男達とバトルブリッジが繋ってる証拠を掴めないのは癪だが、そこまで欲張っている余裕は今の彼には無かった。
 今は無理でも、後でヴィンセントに調べてもらえばいい。いざとなったら直接本人の元へ殴り込んで、奴自身に白状させてしまえば――
 そこまで考えた時、不意に、シドを捉える重力が変質した。
「なっ――!?」
 急激に増した重力に、全身がきしんだ悲鳴を上げた。上から覆い被さる重圧が骨をきしませ、シドを地に叩きつける。周囲の空気が、目に見えぬ重しとなってその体に襲いかかった。
 まるで体内に鉛を押し込められたように、シドの体は重く地に引き寄せられていた。起き上がろうにも、指先一つ動かせない。
「ちっ――てこずらせやがる」
 苦々しく吐き捨てながら、最初にシドに蹴り飛ばされたリーダー格の男が姿を現した。時空弾(グラビラの効果、体力2分の1)を放たれたことに気付き、シドが怒りの声を滲ませる。
「糞野郎が……! つるまなきゃ何も出来ねぇ上に、そんなもん使わなきゃ俺一人押し倒せねぇのか!」
「減らず口を……自分の状況が解ってねぇようだな」
 男はその薄汚れた靴底でシドの頭を踏みにじった。シドの奥歯が、ギリッと音を立てる。
「可愛がる前に……先にてめぇの立場ってのを教えてやるぜ」
 刹那、シドのみぞおちに男の鋭い蹴りが叩き込まれた。
「――っ!!」
 激痛が走り、一瞬息が詰まる。だが気を抜く間もなく、今度は顎が蹴り上げられた。脳味噌が衝撃に掻き回され、鼻の奥がツンと熱くなる。
 二度、三度と激しく体を蹴りつけられ、シドはその度に地を転がった。時空弾の効果は既に消えていたが、代わりに蓄積されたダメージがシドの体を束縛する。
「ぐ……!!」
 シドは身を丸め、その攻撃に耐えた。体のあちこちが悲鳴を上げ、苦痛をその身に刻み付ける。
 男はようやく攻撃の手を止めると、地に転がるシドの元にしゃがみ込み、その色の抜けた金髪を掴み上げた。無理矢理首を捻じ曲げ、上を向かせる。血の滲んだその口元から、短い呻き声が上がった。
「あんまり聞き分けのねぇ事すんなよ……せっかくのいい体が台無しになっちまうじゃねぇか」
 シドは燃えたぎる瞳で男を睨み返した。答える代わりに、血の混じった唾を男の顔に吐き掛ける。刹那、男の顔からすっと表情が消えた。そして、冷たい笑みがゆっくりと昇って行く。
「ふん……聞きしに優る強情さだな。そうでなくちゃ面白くねぇ……。おい、こいつの手を押さえろ」
 男の指示に従い、仲間の一人がシドの手を捻り上げる。苦痛に歪ませたシドの顔を、男は酷薄な笑みと共に見下ろした。
「たっぷり可愛がってやるぜ……今日の事が忘れられなくなるぐらいにな」
 男はシドの顎を捉えると、強引にその口に親指を押し込んだ。無理矢理口をこじ開け、噛み付くように唇にしゃぶりつく。
「うっ……ううっ!」
 男の舌が、閉ざす事の出来ぬシドの口内へと潜り込んでくる。噛付こうにも、差し込まれた親指が顎を捉え、それを許してはくれなかった。男の指がわざと嬲るように口の中の切れた傷痕をなぞり、その舌先がシドの舌を絡め取る。走り抜ける鈍い痛みと、息の出来ぬ苦しさで、シドは苦痛に顔を歪めた。
 その時、不意に強い光に瞳を灼かれ、シドは思わず目を瞑った。
 照明のようなまぶしい光がシドを照らしていた。仲間の一人が何かを手にし、シドへと向けている。その正体を見極めた瞬間、シドの体がビクリと強ばった。
 シドは強引に頭を振って男の唇を降り払うと、激しい声で叫んだ。
「て……てめぇら、何考えてやがるっ!」
「おっと、どうした? 何慌ててんだ」
 男が嘲りを含んだ声音でわざとらしく言い放つ。
「ああ、あれか? 言い忘れてたっけな。あんたをこうして欲しいって依頼した奴に頼まれたのさ。あんたの艶姿をしっかり記録しとけってな……」
 その言葉に、シドの顔が青冷めて行く。その顔を収めるように、ビデオカメラを手にした者がシドの元へ近寄った。咄嗟に顔を背け、鋭い声で叫ぶ。
「止めろ! てめぇら、こんなことしてタダで済むと思ってんのか!!」
「はっ、あんたに何が出来るって?」
 男の嘲りを含んだ冷たい声がシドの耳に突き刺さった。
「男に嬲られてるあんたの姿見たら、他の奴等はどう思うかね。特にヴィンセント・ヴァレンタイン……あんたの彼氏はさ」
 刹那、シドは凍り付いたように動きを止めた。男は満足そうにシドを見下ろすと、その首筋にゆっくりと手を這わせた。
「解ったら、馬鹿な考え起こそうなんてしない事だ。たっぷりと楽しませてやるからよ……」
 その言葉と同時に、男はシドのシャツを一気に引き開けた。ボタンが引き千切れて宙を舞い、しなやかな筋肉に鎧われた肉体が姿を現す。
「糞っ、てめぇら……っ!」
「ふふん、いいねぇその面。もっと叫べよ」
「くっ……!!」
 刹那、シドは怒りで顔を赤く染め、押し黙った。男が煽るように言葉を重ねる。
「どうした? もっと聞かせてくれよ。でなきゃ後でこのビデオを見る人がつまらねぇじゃねぇか」
 そう言うと同時に、男はシドの股間にいきなり手を伸ばした。
「うっ――!!」
 ビクンと身をすくめ、シドは羞恥に頬を染めた。男の指が、執拗なまでに直接的な愛撫を加える。その度に反応し、前屈みになって行きそうになる体を、シドは屈辱の思いと共に引き止めようとした。
「へぇ、いい感度してんじゃねぇか。これなら楽しめそうだぜ……」
 言うなり、男はいきなりシドの胸の突起物に吸いつき、歯を立てた。強烈な快楽にシドの背がビクリと反る。残された方をもう一方の手でなじられ、シドは三度快楽に身を震わせた。
 あまりにも直接的な、快楽のみを追い求める愛撫だった。敏感な、感じ易い部分を重点的に責められ、否が応にも体の芯が疼いて行く。
「なんだもう感じてんのか? あんたも相当好き者だな」
 嘲りを含んだ忍び笑いが男の喉から洩れる。シドは怒りに燃える青い瞳で男を睨み返した。
「誰がてめぇなんかに……!!」
「強情張んなよ……」
 刹那、男の手がするりとズボンの中へ滑り込んだ。直接自身を嬲られ、シドの身がビクンと震える。
「くくっ、ここは正直じゃねぇか。もっと欲しいって鳴いてるぜ」
 的確に急所を捉える男の巧みな指使いに、シドのそれはみるみる反応を示した。シドの顔が屈辱に歪む。その心とは裏腹に、体だけが快楽を求め始める。
 男は、上気し始めたシドの滑らかな肌に舌を這わせながら、ゆっくりとその顔を下げていった。そして、嬲られ、熱く脈打ち始めたシドのそれへと舌を這わせる。
「んっ……!! んぅっ!」
 ビクリと身を引いたシドの口から押し殺した声が洩れる。男は殊更音を立ててそれを嬲り、口に咥え込んだ。ざらついた舌がシドのそれを舐め上げ、吸い付き、しゃぶり尽くす。休む隙もなく与えられ続ける強い刺激に、シドの体は急激に高みへと押し上げられた。
 あまりにも性急な愛撫に、心が置き去りにされて行く。体の一点は愛撫を求め、熱く疼いていたが、体の芯は冷たい氷を押し込まれたかのように冷え切っていた。思い通りにならない体へ苛立つ心と、それでもなお快楽を追い求めようとする肉体が、まるで別の生き物のように切り離される。性急な愛撫にその身を高ぶらせながら、頭の隅に残る理性は驚くほど冷静に己の姿を見つめていた。
 いっそ快楽に我を忘れてしまえれば、何も考えなくても済んだかも知れない。だがシドの冷静な部分は、自分を嬲る男とその愛撫に身を震わせる自分、そして更にそれを映し撮っているビデオカメラの存在を、嫌というほど認識させていた。悔しさと、激しい怒りの念が湧き上がる。それは卑怯な手段を使うバトルブリッジへの怒りであり、同時に、見も知らぬ男達の愛撫に反応してしまう、自分の体への怒りでもあった。
「ふっ……! くっ、畜生……!」
 微かに洩れた声に、男は酷薄な笑みと共に顔を上げた。
「なんだ、もうイキそうなのか?」
「……っ!」
 シドの顔が怒りと屈辱で歪む。男はニヤニヤと笑いながら、殊更嬲るようにシドのそれに舌を絡ませた。
「くっ!! うぅっ……!!」
「イッちまえよ……あんたのイク瞬間、しっかり撮ってやるぜ……」
「……!!」
 刹那、シドは鋭く息を呑んで身を強ばらせた。男の言葉に呼応するように、ビデオカメラを構えた男が、わざわざシドを覗き込むようにして身を近付ける。
「や……止めろ!! 見るなっ!!」
 激しい羞恥に晒され、シドは逃れようと身をよじらせた。だがしっかりと押さえ込まれた腕はびくともしない。男は含み笑いを浮かべたまま言葉を発した。
「いいね、もっと抵抗しろよ。その方が嬲りがいがあるってもんだ」
「……っ!!」
 シドは固く奥歯を噛み絞め、黙り込んだ。その様に、男が喉の奥で笑い声を上げる。
「ホント、嬲り甲斐があるなあんたは……」
 不意に、男はシドのそれに歯を立てた。強烈な快楽が走り抜ける。
「んんっ!! ……っく……!!」
 ビクリと反応した体に休みを与えないように、続けざまに激しい愛撫を加える。次々と注ぎ込まれる強烈な快楽に、シドの体は否応無しに過敏に高められて行った。その身が細かく震え始め、体内の疼きが出口を求めて一斉にざわめき出す。
 不意に正面にビデオカメラが回り込み、シドの姿を捉えた。シドの顔が、カッと羞恥に染まる。顔を背け、シドは鋭い声で叫んだ。
「止めろ! 見るんじゃねぇ!! ――見るなぁっ!!」
 異常なまでの高ぶりが身を包んだ。快楽の渦が一点に集中する。刹那、自身をきつく吸い上げられ、シドは激しい痙攣と共に絶頂を迎えた。
「んんんっ! ううっ、っくぅ……!!」
 しびれるような開放感と共に、熱い飛沫を解き放つ。シドはその身を短く痙攣させ、快楽の余韻に打ち震えた。その顔が、激しい恥辱に染まっていく。その様を満足そうに眺め、男は顔を上げた。
「いい顔だ……そそらせてくれる。売りに出しゃあいい値が付くぜ、このテープ」
 下卑た笑いが周囲に広がる。シドは怒りと屈辱の滲んだ瞳で男を見返した。
「この……下衆野郎が……っ!」
 その眼差しを受け、男は薄い笑いと共にシドの顔を覗き込んだ。
「そうカッカすんなよ、まだまだこれからじゃねぇか」
 顎を捉え、強引に己の方へ向けさせる。そのまま、男は再びシドの唇に貪るように吸い付いた。
「うっ……ううっ!!」
 ついさっき自分が解き放ったものが舌先に広がり、シドは嫌悪に顔を歪めた。振り払おうとするシドの頭を、男ががっちりと押え込む。男はシドのそれを流し込むように、舌を絡ませ、唾液を注ぎ込んだ。シドの喉がそれを溜飲するまで、執拗なまでに口内を嬲り尽くす。激しい嫌悪と屈辱のうめき声がシドの喉から漏れた。弄ぶように、男の舌が蠢く。
 男はようやく舌を引き抜くと、嘲りの浮かんだ酷薄な笑みでシドを見下ろした。
「どうだ、自分の味は? お気に召したかい」
「畜生……! この変態野郎が……!!」
「はっ、減らず口は相変わらずだな。本番はこれからだぜ……たっぷりと犯してやる……」
 男はシドの首筋に吸い付くと、そのままそのきめ細かな肌へと舌を這わせ始めた。


「はぁっ……!!」
 背後から貫かれ、シドは鋭く息を呑み込んだ。執拗な愛撫を受け、シドの全身は触れるだけでも反応するほど敏感に高められていた。赤く上気した肌はじっとりと汗ばみ、吸い付くようなしっとりとした肌触りを与えている。
 その首筋に噛付きながら、男はなじるように深くシドの内部を突き上げた。
「んんっ……ふっ……!!」
 押し殺した声がその唇から洩れる。男は腰を大きく律動させながら、嬲るような声を上げた。
「声……出せよ。感じてんだろ?」
「……!」
 シドは歯を食いしばり、何も答えなかった。その耳に、男の嘲るような囁きが滑り込む。
「くくっ、いいねぇその面……けどな、ここいらで泣き声の一つも上げてもらわなきゃ、見てる人が退屈しちまうじゃねぇか」
「んぅっ!! くっ……!!」
 言葉と同時に深く内部をえぐられ、その背がガクンとのけぞる。シドは唇を噛み絞め、身を貫く快楽に耐えた。
「声出せよ……我慢すんなって言ってんだろ?」
 男の掌がシドの厚い胸板をまさぐるように這い回る。その指が、男に蹴られ、青黒く変色した部分に到達した。嬲るように、わざと指を押し込む。くぐもった苦痛の声が上がり、男は満足げに顔を歪めた。
 刹那、男はシドのその滑らかな肌へ、深く爪をえぐり込ませた。
「ぐっ……!!」
 そのまま、一気に掻き毟る。シドの胸に、パッと赤い線が浮かび上がった。やがて、じわりと湧き出した赤い液体が、自らの重みに耐えかねてその胸を伝い落ちて行く。
 男は爪先に滲んだシドの血をぺろりと嘗めとり、酷薄な笑みを浮かべた。
「ほら……素直になんねぇから痛い目見るんだぜ」
「……!!」
 シドは何も言わなかった。ただ奥歯を噛み絞め、その苦痛を堪えた。
 刹那、男のもう一方の手がシドの脇腹を掻き毟った。その身がビクンと反応し、えぐられた傷痕から鮮血が伝い落ちる。
 だが、シドは声を上げなかった。その青い瞳が、怒りと侮蔑の色を込めて男を貫く。男は傷口から手を離すと、にやにやと笑みを浮かべながら囁きかけた。
「つくづく強情だな、あんた……。こっちの方はお好みじゃねぇか?」
 男はシドの腰を引き寄せると、その身を一気に抱え起こした。
「んぅっ……!!」
 結合が深まり、男のそれが内部で擦れ合う。突き抜けた電流のような快楽に、シドは大きく背をのけぞらせ、その身を震わせた。
「やっぱあんたはこっちで責められる方が好きみてぇだな」
「あぅっ……くっ!!」
 嘲るような声と共に、男の手がシドの熱く脈打つそれを捉えた。濃厚な愛撫に、強烈な快楽がシドの身を襲う。前と後ろを同時に責められ、シドの体はガクガクと震え始めた。
「なんだ、またイキそうなのか?」
「……っ!!」
 シドの頬がカッと羞恥に染まる。シドは声を押し殺したまま、大きく頭を振った。
「嘘つくんじゃねぇよ。ここはさっきっからイキてぇってひくついてんじゃねぇかよ……」
 刹那、最奥まで突き上げられて、シドは押し殺した嬌声を洩らした。噛み締めた唇から、荒い息が零れ出す。男はシドの耳たぶを甘噛みしながら、熱い囁きをその耳に吹き込んだ。
「イキてぇんだろ? イッちまえよ。全部きっちり撮ってやるぜ。その物欲しそうな面も、男を咥え込んでよがり狂ってる様もな」
「ふざ……けるなっ!!」
 かろうじて上げた怒りの声を楽しそうに聞き、男は飄げた声音で言い放った。
「なんだ、まだ物足りねぇのか? しょうがねぇ、おい、手伝ってやんな」
 男の言葉と共に、控えていた仲間の一人が前へ進み出た。そのままシドの上へ覆い被さる。
「……っ!? 止めろ……っ!!」
 シドが抵抗の声を上げる。だが意にも介さず、その男はシドの首筋に吸い付いた。そのまま舌をゆっくりと這わせ、胸へと伝い降ろして行く。傷口を舐めあげられ、シドはビクンと身を引いた。チリチリとした痛みが胸に走る。だが、ねっとりと蠢く舌先の感触が、やがてむず痒さに似た奇妙な疼きを与え始める。傷口を舐めすする、淫猥な音が場に響いた。傷口から、じりじりとくすぶるような快楽が注ぎ込まれる。
「そんな焦らしてねぇで……たっぷり可愛がってやれよ」
 意味ありげに放たれた男の言葉に従うように、その舌が下へと這い降りて行く。そのたどり着く先を悟り、シドは身を強ばらせた。
「や……止めろっ!! 止めっ……はぁっ、ぁああっ!!」
 自身を熱い舌でねっとりと嬲られ、シドは激しく身を震わせた。ざらついた舌先がそれを絡み取り、口内へと咥え込む。舌が蠢くたび、電流のような快楽が脊髄を走り抜けた。と、同時に、シドを犯す男の律動が激しさを増す。
「あぅっ、っく、やっ……め……!! あああっ! あぁっ、はぁっ……!」
 脳髄をかき回すような快楽が襲い掛かる。内部を犯され、そして同時に己の最も敏感な部分を責め立てられて、シドは気の狂いそうな快感に全身を灼かれた。
「はぁっ! あっ、あああああっ!」
 その口から、押さえ切れない嬌声が零れ出る。快楽に身をよじらせながら、シドは震える手で己を責め立てる男の頭を退けようとした。力のこもらぬ指で、男の顔に爪を立てる。
 刹那、背後から深く突き上げられ、シドはガクンと背をのけぞらせた。
「かっ……は!! あはぁっ! あ、あ、もう……!!」
 もはや限界だった。全身を突き抜ける快感が脳を溶かし、理性を溶かし、誇りさえも溶かして行く。
 不意にシドは顔を引き起こされた。焦点のぼやけた視界の中に、己を写す、無機質な機械の瞳が映り込む。刹那、微かに残った理性が悲鳴を上げた。見られたくない、ただその思いだけが沸き上がり、顔を背けようとする。だが、快楽に溺れた体は逃げる力さえ失っていた。しっかりと固定された顔が、カメラの無機質なレンズに映り込む。
「はぁっ、あっ、やっめ……見るな……! んぅっ! ……見るっ……なぁっ!!」
 激しい恥辱は、却って強烈な快感となってその身を襲った。全身が絶頂を求め、ガクガクと大きく震え出す。
「それっ、イッちまいな!」
 男は殊更大きく腰を動かすと、最奥まで己を突き上げた。
「ふぁっ、ああっ! あああああああっ!!」
 同時に自身をきつく吸い上げられて、シドは今までに無い激しい絶頂を迎えた。熱い飛沫を内に受け、そして自身も迸らせて、その身を大きく痙攣させる。
 快楽の余韻が電流のように全身に溢れた。爪先から指先まで、ビリビリと痺れるほどの快感が駆け抜ける。
「あ……あああ……」
 シドは全身の力を失い、ガクリとその身を後ろに預けた。時折その体が短く痙攣する。全身にわだかまる快楽の余韻は、今までに無い、濃厚な疼きをその身に与えていた。
 男はシドから身を離すと、その体を地に放り出した。シドは抵抗する力も失い、投げ出された姿勢のまま、ただ荒い息を繰り返した。
 男は服装を直しながら周囲を取り巻く男達の元へ向かった。ビデオカメラを受け取り、力無く横たわるシドの裸身を、舐めるようにカメラに収めて行く。
 美しい姿だった。全身を伝う汗が胸の上下と共に流れ落ち、赤く上気する肌を艶めかしく輝かせていた。陵辱された跡はむしろ扇情的な色気を湛え、見る者の嗜虐心を一層掻き立てる。空ろに開かれた瞳は快楽の余韻に浸り、情欲に濡れた青い瞳を覗かせていた。乱れた金髪が汗で額に張り付き、より壮絶な艶めかしさを醸し出している。
「ホント……いい値になるぜ、このテープは……」
 喉の奥で笑いながら、男が独り語ちる。ようやく己を取り戻し始めたシドは、思い通りに力の入らない己の体に歯噛みしながら、無理矢理その身を起そうとした。
「ち……くしょう、てめぇら……っ!」
 行き場の無い怒りと屈辱の念がシドの胸を焼き焦がす。男は軽く口笛を吹くと、満足げに声を上げた。
「まだ噛み付く元気があんのかい。結構結構、さっさとくたばられちまったんじゃ、俺達の楽しみが減っちまうからなぁ」
 その言葉と共に、下卑た笑いが周囲に広がって行く。シドはざわりと肌が粟立つのを感じた。嫌な予感が胸中を襲う。それを見透かしたように、男は酷薄な笑みと共に静かに宣言した。
「可愛がってやんな。……てめぇら全員でな」
 命令と共に、控えていた男達は一斉にシドの裸体へ群がった。
「やっ……止めろっ!! てめぇら!! や……っ」
 シドの声はすぐにかき消された。突き出された手が助けを求めるように空を掴む。だがそれもすぐに引き摺り降ろされ、男達の中へ呑み込まれていった。時折上がる、くぐもった呻き声のみが、シドの存在がある事を知らしめる。
「が……っあ!!」
 いきなり最奥まで貫かれ、シドは大きく背をのけぞらせた。愛撫とも呼べぬ、ただ己の欲望を満たすだけの動きが、シドを激しく責め立てる。歯を食いしばり、苦痛に耐えようとする口を、誰かが無理矢理こじ開けた。欲望に脈打つ己のおぞましき物を、その口に含ませようとする。
 肌の上を無数の手と舌が這い、最も敏感な部分に、ただ快楽を強いるだけの愛撫が刻み込まれて行く。全身を嬲られ、犯され尽くし、シドのプライドはずたずたに引き裂かれていった。激しい怒りと、屈辱と、目の眩むような悔しさが吹き荒れる。
 気が狂いそうだった。このまま嬲られ続けるぐらいなら、いっそ今この場で喉を掻き切り、死んでしまいたかった。だがそれすらも、今のシドには許されていなかった。苦痛と快楽が交互にシドを襲い、その心を血で染め上げて行く。
 犯され、嬲られ、ずたぼろになった心は、唯ひとりの名を呼び、助けを求めていた。
 決して声に出される事はないその名は、誰よりも深く、通じあっている者の名だった。
 今の自分を決して見せたくない、だが、今だからこそ――この身を抱きしめ、支えて欲しかった。
 全身を貫く苦痛と快楽に翻弄されながら、シドは唯ひとりの最愛の名を、その心に叫び続けた。

 ――ヴィンセント――!!


 夜が明ける頃、この悪夢のような宴はようやく幕を閉じた。
 何度抱かれたか、何人の男に犯されたのか……それすらも、もはや分からない。
 全身を嬲られ、陵辱され尽くされたシドは、半ば意識を失い、力無く地に転がっていた。
 その身には痛々しい傷痕が無数に刻まれ、赤黒い鬱血を全身に散らばせていた。その姿は既に欲情する度合いを過ぎ、無残なまでの痛ましさを伝えていた。
 最後までシドを撮り続けたリーダー格の男は、カメラからテープを抜き取りながら嘲りの声を上げた。
「ずいぶん楽しんだみたいだな……ええ? おかげでなかなかいいのが撮れたぜ、大佐殿」
 シドの瞳に、感情の動きはない。男は軽く肩をすくめ、言葉を続けた。
「まあ、言わねぇでもわかるたぁ思うが、これ以上余計な手出しはしない事だ。でなきゃこのテープが世に出まわる事になるぜ。……もっとも、そっちに転職した方が売れるかもしれねぇけどな」
 下卑た笑い声が周囲に広がる。男は剥ぎ取られたまま放置されていたシドの衣服を手に取ると、シドの裸体の上にぶちまけた。
「俺からの最後の忠告だ……いつまでも寝てっと他の奴に食われるぜ。ここはそういう場所だからなぁ」
 そのまま、げらげらと笑いながら廃屋を出て行く。男達が去った途端、廃屋は奇妙なほどの静けさに取り込まれた。立ち込めていた熱気も、わだかまっていた狂気も、嘘のように消え去る。
 暫くは、耳の痛くなるような静寂が広がっていた。地に横たわったシドは、死んだように身じろぎせぬまま、空ろな眼差しを宙にさ迷わせていた。
 空虚な思いが胸中を満たしていた。怒りも屈辱も、もはや意味を成さぬほど、シドの心は麻痺していた。いっそこのまま死んでしまえば、どれほど楽だろうか――
 ――が、幾許か時が過ぎた頃、その指先がぴくりと動いた。ざらついたコンクリートを掻き、その身を引き起こそうとする。
 彼には、まだ行くべき場所があった。帰らなければならない場所があった。たとえどれだけ傷つき、この身が汚れようとも、今この場で独り、死ぬわけには行かない。
 シドはずだぼろになった体に衣服をまとい、気力だけで立ち上がった。そしてよろよろと歩き始める。彼を待ってくれる者がいる場所へ……その力強い腕の中へと、戻るために。
 廃屋の扉を開け、繁華街へと出て行く。プレートに覆われた空は、時を計る事は出来ない。
 だが、間違いなく、ミッドガルはその日の朝を迎えていた――



 ってな訳であぐり師匠の小説へ to be contenude!!
 はあ、長かった……イメージぶち壊してたらすみません(^^;)
 ひとまずこれだけはアップしておかないと面目立ちませんものね。
(年明け待ってたら腐るの通り越して風化しちゃうわよ……)

 ご意見、ご感想など頂けると嬉しいです。では皆様よろしくっ!


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