2大受中年のお話(3)


投稿者 あぐり 日時 1997 年 10 月 08 日 01:16:29:

 唐突ですが、受験生諸君!追い込みの季節ですね。
 ほらほら、こんな小説なんか読んでないで・・・しっかり勉強したまえ。
 春が来れば、いくらでもこんなもの・・・読めるじゃあないか。
 高校受験の諸君。内申をしっかり取るように、とりあえず中間テストにいのちをかけてくだせい。
 大学受験の諸君・・・は、もう模試にいのち!浪人生諸君という最大のライバルに負けるな!
 浪人のかたがた・・・は・・・とりあえずインターネットを休止しなせい・・・もう一浪しちゃうよ・・・(^^;)。
 (中学受験のしょくん・・・ま、まさかいねぇですねよ・・・もし何かの間違いで、いたら・・・「あ」にメールをおくんなせい。懇切丁寧にアドバイス、したげるから・・・「あ」の本業ですもの☆)
 みなさん、とにかくお父さんお母さんを泣かせぬよう、しっかりがんばってくだせい。
 以上、受験生の味方であるあぐりん助教授からのラブコールでした。
 でわ、本編に参ります。2人の受美中年の、若き日のすがた・・・です。お嫌いな方は、ここでお引返し下さい・・・なの。




「こんなものしかないが・・・とりあえず口にしたほうが、いい」
 ツォンの住んでいた、神羅の独身社員用のアパートに・・・シドはなぜか、世話になっていた。
 いかにもツォンの人柄を感じさせる、質素で、でもきちんと片づいた部屋だった。放っておくと足の踏み場もなくなるシドの部屋と好対照だ。(注・それでもふたりとも受けなの〜)
 部屋を彩るのは、あちこちに飾られた花・・・花、花、である。
 花瓶に挿された生花、鉢植えの花花が、部屋を埋め尽くすほどに飾っている。
 プレジデントにさいなまれつくした身体が悲鳴を上げて、ろくに歩くことすらできないシドを、ツォンは懸命に看病した。
 ツォンが運んできたのは、スープで炊いたお粥だった。ツォンの故郷の味だという。
 食欲どころでなかったシドも、やさしい風味と胃腸を苦しめないその軽い味に、それをすっかり平らげた。だが、力がよみがえると、ふたたび思い出すのはプレジデントへの恨みと憎悪であった。
「大尉・・・どうしても、許せない・・・のか?プレジデントを」
「・・・あったり前だろ!」
 シドは、目を血走らせて怒鳴った。
「あいつは、俺をだましたんだ・・・言うことさえ聞きゃあ、ロケットの予算を出すとか言って・・・あっさりと裏切りやがった」
「裏切っては・・・いないよ」
 ツォンは、目を伏せながら言った。
 今さらプレジデントをかばうつもりなどはなかったが、それでも、なるたけ公平を期したい性格のツォンである。
「プレジデントは、ちゃんと予算を元通りに直してくれたはずだ・・・」
「でも、一度は、削ろうとしやがったんだ!」
 シドはテーブルを叩いた。空の皿やスプーンが宙に踊った。
「・・・てめえ・・・ツォンとか言ったよな」
「・・・」
「なんでだ?どうしてそんな、あのジジイをかばう・・・?」
「・・・」
「・・・惚れてるのか?ヤツに」
 ツォンは激しくかぶりを振った。
「とんでもない!」
「・・・」
「・・・だが、私はあのかたに恩義がある。私をおもちゃにするのと引き換えに、あのかたは、私の妹を助けてくだすったのだ」
「いもうと・・・?」
 シドは顔をしかめる。その表情も、表現を越えて美しいとツォンは思った。
「妹・・・心臓の病気なのだ。難しい手術が必要だった。プレジデントが援助してくだすったおかげで、手術を受けさせてやれたのだ」
「・・・」
「本来の、タークスの仕事だけをしていたら、とてもそんな手術は受けさせてやれなかったろう・・・」
「・・・そうか」
 シドは、黙り込んでしまった。
 シドにも、三人ほど妹がいる。別に可愛いとも愛しいとも自覚したことはないが・・・その中の一人でも、ツォンの妹とおなじ境遇だったら・・・多分同じようにしていただろう。
「大尉、あんたにもきょうだいはいるのか?」
 ツォンが顔を上げた。
「いるさ、四人もな」
「四人!」
「・・・おかげで俺は、全然おやじにもおふくろにも構われずじまいで・・・まぁ、おかげでこうやって自分の足だけで立ってられる人間になったわけだから・・・」
「・・・うらやましいよ、あんたが・・・」
 十年もたった後・・・同じような黒い髪の、同じように美しい青年に、まったくおなじことを言われるさだめが待っていようとは・・・シドは思わない。
「それで・・・あんたの妹、どうなんだ?」
「え?」
「よくなったのか?」
 ツォンはほほえんだ。
「ああ・・・おかげさまでな」


 シドはそれから三日、ミッドガルに留め置かれた。もう一晩、プレジデントの相手をさせられ・・・二番目はパルマー、三番目はハイデッカーの相手を強要されたからだ。
 でも、シドはもう泣き言を言わなかった。
 ただ、ため息をついて耐えた。


 四日目、ロケット村へと帰るシドを、駅まで見送ったのは、ツォンであった。
「元気でな、大尉・・・あんたの成功を祈っているよ」
 握手を求めるツォンは、ほんとうに、性別をこえるきれいさだと、さすがのシドも思った。
 黙って自分を襲う運命に耐えようとする姿は、たしかにとても美しかった。あらん限りの力をふりしぼって抵抗しようとする自分とは、まったく正反対だが・・・(注・それでも二人とも受なんだよ〜)
「シドって呼んでくれ」
「・・・シド、あまり無理をするな」
「あんたこそ」
 二人は力強く握手した。
 汽車が、ゆっくりと動き出した。


 二人が再会するのは、十年の月日を待つことになる。
 その時には、二人の運命は、まったく違う方向を目指していたが・・・。
 二人とも、つかの間のその出会いを、命尽きる日まで、忘れることはなかった・・・。




 ・・・すいません。「あ」は・・・やはりユリは出来ませんでした。(T0T)
 ほんとは前回で終わりにしてもよかったんですがね・・・ま、それじゃあんまりなんで、受け受けな二人の間につかの間の友情を結ばせていただいたです。
 ここんとこ鬼畜が続いたんで、今回はこれで勘弁してくだせい。
 こんなのでも・・・よんでくだすった貴女には、感謝感激のチュッ☆


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