ちょっとシドエアなやつ


投稿者 チープサイド 日時 1997 年 10 月 07 日 16:13:54:

題の通りです。
完全にはシドエアになってない…背景にはクラエアあるし。


 人影のない薄暗い街路を、一人の娘が歩いている。そろそろ冬が来るころだ。カームの街を吹き抜ける風は冷たく、ひゅーひゅーとうなっている。
家々の窓から、明かりと楽しそうな話し声がもれて来る。
早くかえって暖まろう、そう思って道を急ぐ。カームからは少しはなれたところに、彼女の母の家はあった。ミッドガルのスラムには、しばらく住めそうにないらしい。
「母さんたち、もう家は片付けてくれたかなあ……。」
メテオでめちゃくちゃのミッドガルからここまで、今日引っ越して来たばかりだ。荷物の片付けに追われて、すっかり夕飯の買い物を忘れてしまっていた。
俺が行くよ、とクラウドが言ってくれたが、大きな荷物の片付けに彼の力はどうしても必要だ。エアリスは、いいよ、私が行く、と家を出て来たのだ。
「よお、花売りの姉ちゃんじゃねえか。」
路地を曲がると、不意に声をかけられた。
「あっ、シド!久しぶり!どうしてここに?」
「ミッドガルのがらくたで、使えるもん運び出してくれって、リーブにな。今はちょっとタバコを買いにな。」
そういう彼の手には、新しいタバコが握られていた。
「おう、ねえちゃん、荷物よこしな。もってってやる。」
「え、大丈夫。そんなに重くないし。」
「人の厚意は素直に受けとるもんだぜ、ねえちゃん!」
シドが、エアリスから荷物を取り上げながら言う。
「ありがと、シド。」
びゅうっと、また冷たい風が吹く。その風の冷たさに、思わずエアリスは体を縮める。
「おっ、大丈夫か?風邪引くと行けねえから、これ着てな。」
自分の来ていたジャンパーを、そっとエアリスの肩にかける。シドの温もりが、ジャンパーにまだ残っていて、暖かかった。
「袖に腕、通しときな。そっちの方が暖ったまる。」
「いいの?シド、寒くない?」
「オレは大丈夫。まだ下には着てるからな。」
こういうシドの優しさに、エアリスは何度も触れていた。
「ぶかぶかだけど、とってもあったかいよ。ありがと、シド。」
「なーに、いいって事よ。」
二人は並んで街路を歩く。空には星がキラキラ瞬いていた。
「ね、シド、いつか飛空挺、乗せてね。」
にっこりとエアリスがほほ笑む。
「おう、まかせとけい!ねえちゃんの頼みとあれば、オレ様は思いっきり腕を振るうぜ!実はシエラにも言ってないんだがな、もう設計図を書き始めてんだ。」
「わあっ、うれしいな〜!絶対、乗せてね!期待してるからね!」
「ああ、オレ様からねえちゃんたちに、とびっきりの新婚旅行をプレゼントしてやるぜい!」
「えっ、新婚旅行……?」
「なーに、隠さないでもいいって事よ!クラウドと結婚するんだろ?婚約指輪、してるじゃねえか。」
「あっ、分かっちゃった?」
少し顔を赤らめながら、エアリスが言った。照れ笑いをしている。
「うん、日取りはまだ決まって無いけどね。シドたちはいつ?」
「えっ…、」
今度はシドの驚く番だった。図星という顔だ。だれかともう婚約したのだろう。
「クラウドたちから聞いてるよ。シドとシエラさん、すっごく仲良くなったって。シドの家に行くと、二人がもう夫婦みたいな感じがするって、ティファが言ってた。」
「ん、ま、まあそういうとこだ。そんときは、みんなで来てくれや。」
照れ臭そうに頭をかきながら、シドが言う。

「あ、荷物、もってくれてありがと。ここが、ちょっとの間の家なの。」
一軒の家の前で、エアリスが立ち止まる。
「そうか。じゃ、風邪引くなよ。じゃな。」
「うん。ジャンパーありがとね。」
「おう、じゃあな。」
シドが元来た方に歩きだす。
「うん、ありがとね〜。」
大きく手を振るエアリスに、シドは軽く手を上げて答えた。


うーん、これをシドエアと呼ぶのかどうか…
ここまで読んでくれてありがとお!!!


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