2大受け中年のお話(2)


投稿者 あぐり 日時 1997 年 10 月 07 日 01:14:24:

 ツォンが受けて何が悪い!す、すみません・・・つい。
 すっかり開き直ってしまった「あ」。調子に乗って続けます。ツォン受・・・。
 ほんとにほんとにダメな方は、ここで引き返して下さい・・・。イヤなかたにまで、強要なんかしませんから・・・。
 中年が受ける「あ」の世界・・・きっと、イヤな人は死ぬほどいやなんだろうなあ・・・。
 でもやっちゃうの。ごめんなせい・・・。石とトマトはぶつけないで・・・。




「プレジ・・・デント」
 ツォンは、こぶしを固めた。
「何故なのです・・・?何故そこまでに大尉を追いつめ、いたぶる必要が?」
 プレジデントは驚いたような顔をした。それは、ツォンが初めて彼に見せた抵抗であった。
「追いつめ・・・いたぶる?私がか?」
「私になら、何をなさっても構いません」
 ツォンは、切れ長のきれいな目を上げて、ひたとプレジデントを見た。
「私は、あなたのしもべ・・・私の血の最後の一滴まで、すべてはあなたのものです。でも、彼は違いましょう」
 ツォンはプレジデントのガウンの裾を握りしめて、訴えた。
「お願いです、私はどんなことをされてもいい・・・でも、彼だけは・・・!」
「・・・ツォン、そこまでお前が彼をかばう、そのわけは何なのだ?」
 プレジデントの目が白く燃えた。ツォンははっとしながら・・・
「・・・わけなど、何も・・・。ただ、とても見ていられないのです。なぜそうまでして、彼の輝く魂をけがしはずかしめようとするのか・・・」
「・・・輝いているからだよ、ツォン。彼のこの目を見たか」
 プレジデントは、憑かれたようにシドの顎に指をかけて持ち上げた。シドが目を閉じようとするのを、
「つぶるな、目を!・・・そのままでいろ」
「・・・」
 シドは目を開けた。嫌悪感で全身がザワザワする・・・。だが彼は、じっと耐えていた。一時の嫌悪か、彼の夢を不朽のものとするだろうロケットか・・・・の瀬戸際である。
「この燃える瞳・・・これまでの生涯・・・いいか、これまでだぞ・・・正直、ここまでに輝く瞳を持った男を見たことがない。これほどまでにいたぶり甲斐のある男も・・・だ」
「プレジデント・・・もう、どうか」
「ツォン、命令だ・・・私は疲れた。私が元気を回復するまでの間・・・大尉を脱がせて、楽しませておいてやるがいい」
「・・・!」
「私がその気になった時、いつでも抱けるようにな・・・」
 プレジデントはシドをベッドに突き飛ばして、よろよろとそこから離れた。
 ツォンは、シドを見た。
 神羅が誇る、「飛空艇のシド」・・・若くてハンサムで不屈の魂を持ったヒーロー。それが打ちひしがれて、ベッドに力なく突っ伏している・・・。
「大尉・・・きみは・・・きみは構わぬのか?」
 ツォンがおそるおそる尋ねると、シドはうなだれたまま唇を噛み締めた。
「そうしねえと・・・ロケットの予算はもらえねえんだろ・・・?」
「・・・」
「・・・ちくしょう・・・どうにでも、好きにしやがれ・・・!けどな・・・」
 シドはきっと目を上げて、ちからをこめてツォンを睨みつけた。
「いつまででもこんなことが許されると思ったら、大間違いだぞ・・・!いつか、いつか・・・俺がほんとに宇宙に行ったら・・・その時は」
「・・・もう、いい、大尉」
「・・・おんなじ人間じゃねえか・・・あすこにいるヒヒジジイと、この俺と・・・どこがどう違うってんだよ?!・・・ちくしょう!」
 ツォンは、完全に言葉を失った。
 なんという誇り高さ・・・だろう。
 同じ事を強要されながら、プレジデントに対する恩義を無理やり自分に課して、されていることょ正当化しようとする自分と・・・あくまで抵抗しようとするシドと。
 それがわかっていながら、ツォンは、あえて、心を鬼にした。
 ツォンのしなやかな指が、シドのシャツの襟にかかった。シドはビクッとしながら目を閉じる・・・。


 ツォンの手で全裸にされたシドは・・・ツォンも息をのむほど美しかった。
 黄金色のきめ細かな肌、すっきりと引き締まった体つきは、あくまで「男」の香りを漂わせて、ぞくぞくするほどセクシーであった。だがそれは同時に、壊して、めちゃめちゃにしてみたい・・・・というゆがんだ欲望をよびさます、あやうい美しさをたたえていた。
 ハンサムな(そう、それは「美貌」と言うよりは、「ハンサム」という、前向きで輝かしい形容詞がぴったりであった)シドの顔が嫌悪にひきゆがむのも、今は凄絶な美しさを感じさせる。何と言う罪深い美だろうか。
 ツォンは、シドの股間に自分の顔を近づけた・・・。
「・・・んっ、ううっ!」
 シドがビクンと身をのけぞらせる。海千山千のプレジデントすら満足させるツォンの舌技は、今まで経験したこがないほどの絶妙さでシドを攻め立てた。
「く・・・くはぁっ」
 シドはシーツをぎゅっと皺ばむほど握りしめ、唇をかみしめて声をこらえた。
「あぅっ・・・」
 悲痛な表情で必死に快楽に耐えるシド・・・彼を悲痛な表情で攻め立てながら、なおいたましさを隠しきれぬ美しいツォン。
 プレジデントはシャンパンを空けながら、にやりと美しいふたりを凝視している・・・。


「ああああ・・・あーッ!」
 プレジデントに貫かれて、快楽のきわみまで追いつめられるシドを、ツォンは、正視できなかった。
 どうして正視できるだろう。ついさっきまで、彼をそこまで追いつめる手伝いをしてしまったのは、自分なのだ・・・。
「ああッ・・・あっ、あっ」
 快楽にゆすり上げられながら、シドは必死で指をのばす・・・何を求めているのだろう。ツォンは、その手を握りしめてやりたく思う。でも、プレジデントの冷たい視線がそれを阻むのであった。
「・・・いいか、大尉・・・」
「はぁッ!・・・も、もう・・・」
「・・・お前はただの人間だ」
 プレジデントがシドの耳にささやく。
「ヒーロー?スター?・・・一皮剥けばみなこんなものだ・・・快楽と欲望の前には、すべてがひれ伏す・・・大尉、いや、シド・ハイウィンド・・・お前も例外ではない」
「く・・・!」
「いい表情だ・・・もっと泣くがいい」
 シドは、もう抵抗すらできなかった・・・あまりに気持ちよすぎて。すべての理性、すべての忍耐・・・それらが溶けてほどけて流れていく・・・。
「・・・どこへ行く、ツォン」
 シドをゆすり上げながら、プレジデントの冷たい視線が、ツォンを射抜いた・・・。
「つぎは、お前の番だ・・・そしてまた次はシド。二人して、飽きるまで・・・わたしのオモチャとなるがいい・・・!」


 ツォンが・・・大恩ある人物であるはずのプレジデントに殺意を抱いたのは・・・このときが初めてだった。


「・・・だいじょうぶか、大尉・・・」
 ・・・シドが意識を取り戻したのは、翌朝・・・ずいぶん日が高くなってからのことだ。
 シドは身体を動かそうとしたが、できなかった。身体のあちこちがきしみ、悲鳴を上げていた。
「う・・・て、てめえ」
 こんなときにでも自分を視線で殺そうとするかのような強い瞳をする。それがよけいに邪悪な者の心を駆り立ててしまうことを、知っているのだろうか・・・。
 ツォンも同じくらいいたぶられたはずだが、彼のほうが慣れていた。シドを介抱する余裕くらいはある。
「動いては・・・いけない」
「ツォン・・・とか言ったな・・・てめえ」
「・・・私を怨むのは筋違いだ、大尉・・・」
 ツォンはシドの頭をひざに乗せながら、そっと言い聞かせた。
「私もお前と同じ立場なのだから・・・」
「俺は・・・俺は、てめえとは違う!」
「どう違う?・・・プレジデントは、ロケット計画へ、従来通りの予算を回すように手配して行った」
「・・・」
「おまえも私と同じ・・・自分の魅力で、からだで、ほしいものを買った人間だ」
「違う・・・違う・・・違うッ!」
「・・・」
「俺は・・・俺一人なら・・・こんなこと・・・絶対、死んだって許さねえ!」
「・・・」
「俺ががまんしてるのは・・・畜生!ちくしょう!・・・」
 愚かな・・・だが、この上なく美しい人間。
 ツォンは、目を閉じた。
 この意地っ張りな若者が、抱きしめてやりたいほどにいじらしい。自分にはとうていできないことをしようとしている男なのだ。
「いつか・・・いつか、あのジジイを・・・殺してやるッ!」
 シドの目から、涙がほとばしり落ちた。
 ツォンは、息をのみながらそれに見とれずにいられなかった・・・。




 オチ・・・ないですね。
 ・・・・(忍び泣き)
 こんなのでも・・・読んでくれた貴女には、感謝・・・です。心から・・・。


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