ナナキとエアリス最終話!!
『奇跡』


投稿者 チープサイド 日時 1997 年 9 月 30 日 16:46:45:

というわけで最終話です!
よく続いたもんだ…
まあ取り合えずここでナナキ×エアリスは終わりですが、リクエストあれば(ねぇだろ)また書くつもりです!!


”ナナキ、おまえはここまで苦しんでも、人間に恋をするのか?
もともとあの人間とおまえは種族が違う。なになぜ恋をした?
両親にもらったその体を、おまえは満足していないのか?
ナナキ、おまえは星の意に反したことを望んでいる。
おまえは人間の腕で彼女を抱きたい、人間の唇で彼女にキスをしたいと望んだ。
そこまで彼女が愛しいのなら、月夜の晩だけ人間の体を与えてやろう。
ナナキ、おまえが人間の体になるときは、ひどい苦痛を感じるだろう。
おまえの意に反し、体が勝手に彼女を傷つけようとするだろう。
それでもおまえたちが愛し合ってゆけるならば、おまえたちの愛は本物だ。
これでおまえは、大きな罪を背負うことになる。
それでもいいなら、おまえの望むとおりにしてやろう……。”

「う…?」
ナナキが目を開けると、心配そうに見守るエアリスの顔があった。
「ナナキ、大丈夫?」
「うん、まだちょっと、頭が痛いけど。」
ゆっくりとナナキは起き上がってみた。しばらく気絶していたようだ。まだちょっと頭痛がするが、たいしたことはない。
さっきと同じ夜の草原にいる。エアリスがひどく心配そうな顔をしていた。
「大丈夫?」
エアリスが顔をのぞき込んでくる。うん、大丈夫だよ、と返事をしてから、ナナキは問い返した。
「オイラ、どのくらい気絶してた?」
「ほんの、十分くらい。あれ、どうしたの?」
ナナキがじっと考え込んでいるのを見て、エアリスがたずねて来た。
「オイラ…だれかの声を聞いてたような……?うっ!」
またナナキの身体がおかしくなって行く。体中が変化して行くような、妙な感じ。気持ち悪いような、ふわふわとした浮遊感を感じるような、不思議な感じがする。
感覚が徐々に失われて行く。
(どうしちゃったんだよう、オイラの身体は!?)
そう、体中が変化を始めたような感じだ。
「エアリス、オイラを見ないで!」
必死に叫びながら、ナナキは身体がますますおかしくなって行くのを感じた。
エアリスが驚きの表情でナナキを見守っている。
「ナナキ…!ナナキ……!」

「オイラ…?」
ナナキはゆっくりと立ち上がった。そして、自分の手を見てみる。
(手?オイラに手がある?)
あわてて自分の体を見てみると、そこには16歳の青年の体があった。
「オイラ…もしかして!」
ナナキは、さっきまでの猛獣の体ではなく、人間の体になっていた。
「なんで…?人間のからだ…。」
エアリスがすぐそばに倒れている。ナナキが必死に揺さぶると、すぐに彼女は意識を取り戻した。
「…!」
エアリスが驚いて逃げ出そうとする。ナナキの体が変化し始めたとき、なぜか意識が飛んでしまい、目を開けたら知らない青年が自分を揺さぶっていたからだ。
「あ、あなただれ?ナナキは?!」
「オイラが…オイラがナナキなんだ……。」
悲しげに、彼が言った。エアリスは驚きの表情を隠せない。
「ほんとに…ほんとにナナキ…?どうして……?」
「オイラにも分からない…。エアリス……オイラのこと、嫌いになっちゃった……?」
「大丈夫。そんなことない。でも……、」
あまりに違い過ぎる。元のナナキは人間の姿をしていなかった。
悲しそうに、彼が見つめてくる。
その目を見たとたん、ドキンとした。
その瞳が、ナナキだった。優しさと、勇気をたたえた瞳。それを見ただけで、エアリスは落ち着けた。
よく見ると、ナナキの面影がたくさんある。腕の戦士の入れ墨、赤い髪と髪飾り、耳飾り、腕輪。
「ナナキ…、ごめん。驚いたり、疑ったりして。」
エアリスが立ち上がって誤る。
「いいんだよ、エアリス。オイラ、変わり過ぎちゃったから。それに、この姿は月夜の晩だけ。それ以外のときは、今までのままだよ。」
「そうなの…。でもその姿のナナキも、格好いいよ。」
エアリスが笑いかけてくれた。
「私、言ったでしょ?たとえ姿はなんだろうと、あなたのこと、愛してるって。」
「エアリス…ありがとう…。」
ナナキは自分の中のうれしさを、言い表すことができないくらいにうれしかった。
「この姿でもう一回言うよ…。オイラ、エアリスの事を愛してる…。」
「ナナキ…、私も、あなたを愛してるよ…。」

ナナキはまた、体が言うことを聞かなくなっているのを感じた。
とまらない…、腕が、体が、止まらない……。
でも今度は、決して不快ではなかった。なぜなら彼が、ずっと望んでいたことだから。
ナナキはエアリスをその両腕で包み込むと、しっかりと抱き締めた。
彼女が優しく抱き返してくる。
この体のときでしか、感じられない抱き合うという喜びを感じながら。
もう、このまま二度と、相手を離したくない、相手と離れたくない。二人はそう、同時に思った。


はい、最初に出てきたメッセージは、セトでも星でも誰でもいいです。
ここまで読んでくれてアリガトオ!!!


[小説リユニオン「改」トップへ]