ナナキとエアリス4!!
『夜空』


投稿者 チープサイド 日時 1997 年 9 月 30 日 16:42:40:

とうとう第4弾です!!!
あー、だいぶナナキ×エアリスらしくなってきた…


「きれいな月だね……。こうして星空を眺めるの、久しぶり。」
エアリスが満天の星空を見上げる。
「うん…。オイラ、こんなにきれいな月、久しぶりだよ。」
ナナキがエアリスの横に、伏せながら言った。
 部屋で二人が寝ようと明かりを消したら、月明かりが窓から差し込んで来た。それで、思わず外に出てみたくなったのだ。
星の光に、若草が紺色に光っている。何とも幻想的な眺めだ。
「ねえナナキ、私とあなたに子供ができたら、どんな子になるかな?」
「えっ、子供って、急にどうしたの?」
エアリスがちょっと振り返りながら聞いて来て、ナナキが驚いた顔をする。
「ん、ナナキがどう思っているかなって、思ったの。」
ちょっと子供、ちょっと大人の笑顔で、エアリスが言った。そんなエアリスの笑顔を見ると、ナナキは思わず猫のようにゴロゴロと喉をならして甘えたくなってしまう。
「子供なんて、できないんじゃないかな?やっぱりオイラたち、種族が違うし。」
「だめ。種族が違うなんて、言っちゃ。」
エアリスが怒った顔をする。いつもそれを言うと、エアリスは怒るのだ。
「私、姿形なんて気にしない。そんな物、心とは関係ないもん。」
「でもオイラ、時々思うよ。もしオイラが人間だったら、って。人間みたいに腕があれば、エアリスを抱き締めることができる。この間エアリスが夢にうなされていたとき、オイラ、エアリスを抱き締めて慰めたかったけど、できなかった。」
「ナナキ----。」
「それにさ、オイラ、エアリスにキスしてみたい。いつもエアリスの方からしてくれるけど、やっぱりオイラからもキスしたいんだ。」
言い終わると、ナナキは何かを考えているようだった。その横顔を、じっとエアリスが見つめる。
「ナナキ----、」
エアリスがほほ笑む。月にてらされたその顔は、まるで妖精のようにも見える。
「ナナキがそう言ってくれて、私、うれしいよ……。そこまで私のこと、想ってくれてる。それがとっても、うれしい・・・。」
そっとエアリスが、ナナキをなでる。どきりとして、ナナキが振り向く。
「あのときね、ナナキが私のこと、愛してるって言ってくれて、すごくうれしかった。そのときね、私もナナキが好きだってことが、分かった。」
「ほんとにオイラの事が、好きだったの?エアリス。」
ナナキが、ちょっと期待を込めた、そしてちょっと不安そうに聞いた。
「うん、そうだよ。ウソなんか、ついてない。」
その言葉通りのことを、エアリスの顔が、瞳が語っていた。ナナキはうれしくなって、エアリスに飛びつこうとした。ナナキは今、とても幸せだった。

 そう、エアリスに飛びつこうとしたときだった。
ナナキの身体に激痛が走った。頭が痛い。ガンガンしている。
「う、あ、頭が…うう……、」
ナナキはそこら中を転げ回った。何かに押さえ付けられているような感じがして、手足が自由に動かなくなって行くのを感じた。でも、手足はバタバタともがいている。全く自由が利かない。
体中が痛い。息が詰まる。こらえ難いほど、激しい頭痛だ。
「どうしたのナナキ!?大丈夫?!しっかりして!」
エアリスが必死に呼んでいる。仰向けに転がったナナキの身体を、必死に押さえようとしている。
「エアリス!オイラに近づかないで!身体が言うことを聞かない!このままだと君を……うわああ………!!」
かっと見開いたナナキの目に、恐ろしい光景がうつった。
バタバタともがいていた自分の前足が、爪を立ててエアリスの身体を引っ掻こうとしている。
必死にナナキの名を呼ぶエアリスに、前足がひゅっと振られ・・・、
「あっ…!」
エアリスが肩を押さえる。服の肩の部分が裂けている。幸いなことに、血は出ていないようだ。
素早くかわせたからよかったものの、そうでなかったらひどい傷を受けていただろう。
「エア…リス!早く逃げ…!でないとまた…!」
必死にナナキが叫ぶ。口から泡が噴き出す。そしてまた、前足がエアリスに攻撃を仕掛けようとする。
だがエアリスは、逃げようとはしない。必死になって、ナナキを助けようとしている。
「ナナキ!お願い、しっかりして!」
エアリスの悲痛な叫び声を聞きながら、ナナキの意識はだれかに押し潰されたように消えて行った…。


というわけで、次回最終回です。
呼んでくれてアリガトオ!!!


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