ヴィンクラ100%!(4)


投稿者 あぐり 日時 1997 年 9 月 28 日 19:51:51:

 負けました(←何が、とは聞かないでくだせい)。でもまだ「あ」は信じます。日本代表のあかるい未来を・・・。
 てなわけで。・・・(でも代表よりも情けなかったのは、サッカーチャットの人たち・・・ここだから言うけどさ。興奮して韓国のわるくち、言いまくり・・・品格と言うものがない。もうあそこには行かないことにしよう。今後は裏専門で・・・って、ちげーえ!)
 でも、ちゃんとした人もいたからね。それだけは言っておきます。
 日本のサポーターも、すてたもんじゃないです。うん。(と言いながら「お気に入り」からサッカーコーナーを削除☆)




 アイシクルエリアの夜は、思ったよりもずっと早くやって来た。と同時に、風が強まり、吹雪が到来した。
 外では、女の叫び声のような風のうなりが聞こえる。
 クラウドは、ヴィンセントに見守られながら、すやすやと眠っていた。
「カワイイ寝顔だねえ・・・と」
 レノがからかうように言った。ヴィンセントは振り返って、
「手を出すなよ」
「・・・」
 レノは肩をすくめた。このボスに逆らったらどういうキツいおしおきが待っているかは、身をもって知っている。
「まあ、私の見ている前で手を出すような愚かなことはするまいが・・・」
 ルードは、見とれていた。すやすやと眠る、天使のような美しい少年と、それを優しく見守る、この世ならざる美をもつガーネットの瞳の青年・・・。どこから見ても、絵を見るように美しい。
 はっきり言って、あんな老け顔の(カワイイ顔ではあるが)おとっつぁんに寄り添っているより、ずっとキマっている・・・ような気もする。
 とか言いながら、あのツーショットに漂うおとなのムードにも、ひそかに見とれてしまうルードなのであるが。
「・・・落ち着いたようだ。我々も食事をすませて、早めに休むとしよう」
 やがてヴィンセントは顔を上げて、部下たちに言った。二人は残念なような、何となく緊張がとけてほっとしたような顔になった。


 夜半・・・
 ヴィンセントは、真っ暗な小屋の中で、火の番をしていた。
 と・・・。
 クラウドが、むくりと身をおこした。
「・・・?」
 ヴィンセントが見守っていると、クラウドはベッドから降り、ふらふらと・・・歩き出したではないか。
 そのまま、小屋の外へ出ようと扉に手をかけたので、ヴィンセントは、あわてて背後から抱き留めた。
「どうした、どこへ行く気だ、クラウド?」
「セフィが、呼んでる・・・」
「なに?」
 寝ぼけたのか、とヴィンセントは思った。
「そんなもの、聞こえはしない」
「呼んでるよ・・・ほら!」
 ヴィンセントは耳をすませた。
 ・・・クラウド・・・クラウド・・・
 風と雪のうなりの中に、ヴィンセントは、たしかにクラウドを呼ぶ誰かの声が聞こえたような気がして、あわててかぶりを振った。
「幻聴だ・・・」
「違う、セフィの声だよ!」
 クラウドは身をよじった。ヴィンセントは力まかせにそれを抑え込んだ。
「放して・・・行くんだ!おれ、セフィのとこへ・・・」
「クラウド、いけない!あれはセフィロスじゃない」
「セフィ・・・一人で、寂しがってる・・・俺、行ってあげなくちゃ・・・」


 ミッドガルでは・・・。
 ジョンが、シドのからだから、身を起こしたところだった。
 シドは気を失っていた・・・。


「わかった、クラウド・・・」
 ヴィンセントは、クラウドを抱きしめながら言った。
「抱いてほしいなら、抱いてやろう・・・だから落ち着くんだ。あれはセフィロスの声ではない」
「ヴィン・・・セント」
「何か、この地に住む魔のものが、お前を魅入って呼ぶのだろう」
「・・・」
 ヴィンセントは、目を閉じてクラウドにキスした。優しいくちづけであった。
 クラウドの手足から力が抜けた。
「たとえセフィロスだったとしても、それは亡霊・・・セフィロスは死んだのだから」
「セフィ・・・もう、会えない・・・」
「だが、生きている人間で、お前を命よりも愛している者もいる」
「・・・」
「・・・勘違いするな、それは私ではない・・・だが、お前を亡霊の手に引き渡したくない・・・それも真実だ」
 ヴィンセントは、力のぬけたクラウドの身体を、そっとベッドに横たえた。
「ヴィンセント・・・ああ・・・」
 クラウドは、ヴィンセントの首に両腕を巻きつけた。
「抱いて・・・!」


 寝袋の中で、レノとルードは、むろん、とっくのとうに目を覚ましている。
 だが、彼らは・・・寝たふりを続行した。


 クラウドは、愛するよりも愛されていたい・・・生まれながらにそういう人間なのだ。ヴィンセントは今夜という今夜、それを実感していた。
 だが、それではいけないのだ。愛することも教えてやらなくては・・・。
 このままではこの雪山に籠り続け、いつかセフィロスの亡霊のとりこになる運命が待っているだけであろう。それは、・・・認めたくないが、かつてのヴィンセント自身の生き方であった。
 彼自身がシドと出会って生き方を変えることができたように、今度は、自分がクラウドを導いてやらねばならない。ヴィンセントはそう思った。
 だから別に浮気だなんて思わない。クラウドは、理屈の通らない相手なのだ。抱かれて、その肌のぬくもりと、ひとときの快楽を通じてでなければ、こちらの言いたいことは理解してくれない少年なのだから。
 シドも、きっと分かってくれるだろう。
 ヴィンセントはそう自分に言い聞かせた。・・・これは、仕事・・・いや、人助けなのだ。
「ん・・・うっ」
 白い肌をそっと愛撫すると、クラウドは可愛い声を上げた。脳髄をしびれさせるような声だ。
(いけない、とりこになっては)
 ヴィンセントは自分をいましめた。そのためか、ひどく冷静な愛撫ではあった。だがそれが、クラウドをよりいっそう燃えさせる結果になった。
「はぁ・・・あ・・・ヴィンセント・・・そんなにじらさないで」
「しっ・・・あいつらが目を覚ます」
 ヴィンセントは、クラウドの口をそっと手でふさいだ。
 と、言うか・・・二人がタヌキを決め込んでいることくらい、ヴィンセントにはわかる。それでもやはりエチケットというものであろう。
「いいか、あまり大声をたてるなよ」
「だって・・・だあって・・・」
 クラウドはヴィンセントを欲しがっておねだりした。
「来て・・・俺もう我慢できない」
「たあいないな」
 ヴィンセントは、ふと微笑した。強情っぱりのシドを、陥落させてメロメロにさせるのもおもしろいが、たまにはこういうのも悪くない。
「まだだよ、クラウド・・・セフィロスに勝つには、まだまだ・・・」
「あぁん・・・そんな、そんな意地悪・・・はぅああ!」
 クラウドは、耳元からささやかれるヴィンセントの優しい静かな声に、かつてないくらい興奮させられていた。セフィロスも優しかったけれど・・・でも・・・声は、ヴィンセントのほうが感じる・・・。
 あのシドでさえ陥落させ、娼婦の身体に変えてしまうヴィンセントの必殺のささやきである。クラウドが抵抗できるわけがなかった。
「だめ・・・もう!」
 身をよじるクラウドの、聞き分けのない部分を、ヴィンセントは白魚のような右手の指でそっと愛撫した。
「はう・・・あああ!イッちゃう・・・!」
 可愛らしい声を上げながら、クラウドは果てた。ぐったりと力を抜いて、ヴィンセントの腕に身をまかせきってしまうのが愛しい。
 ヴィンセントは、冷静だった。
「さあ、してあげるから・・・声はできるだけ我慢するんだよ」
「う・・・意地悪だ、ヴィンセント・・・はぁっ!」
 ヴィンセントは、クラウドの身体を、そっと開かせた。
 声、我慢できるわけがない。クラウドは早くも泣きながら・・・ヴィンセントの名を何度も、何度も呼ぶのだった。
「くあああああっ!ヴィンセント・・・ヴィンセントぉ!」
「クラウド・・・頼むからもっと静かに」
「何でそんなに冷静なんだよ・・・?!俺と、いっしょに燃えてくれよ・・・ふああああっ!」


 まだほてりが冷めず、余韻にひたりきっているクラウドにそっと接吻して、ヴィンセントは、身を起こした。
 クラウドは、放したくないとばかりに指をぎゅっとヴィンセントの二の腕に食い込ませた。
「どうしよう・・・」
「・・・」
「俺・・・ヴィンセントのこと・・・好きになっちゃったみたい・・・」
「勘違いするなと言ったはずだろう・・・?」
「でも、ヴィンセント・・・とっても優しい」
「私より優しい人間は、他にもいるよ」
 ヴィンセントは目を上げた。クラウドの瞳がふっと悲しみにくもる。
「ティファは女の子だから・・・こんなふうには抱いてくれない」
「・・・」
「ティファのこと、好きだし・・・守りたい。でも、駄目なんだ・・・ときどき誰かにめちゃくちゃに抱かれたくなる。俺・・・そういう身体なんだ・・・」
「・・・」
「俺のそばにいたら、ティファが不幸になるよ・・・」
「今、こうして自分のからに閉じこもっているクラウドを見るほうが、あの子には不幸ではないのか・・・?」
 クラウドは、目を上げた。今初めてそのことに気づいた、といった顔である。
「そ、そうか・・・。でも・・・」
「今のお前は、とてもいやなやつだ。自分のことしか考えていない・・・自分の行動で、誰がどんな想いをするか・・・そんなことは一切考えず、ただ手の届かないおもかげだけを追っている。まぁ、それはかつての私の姿でもあるが・・・」
 ヴィンセントは優しく、クラウドのアクアマリンの瞳に言い聞かせた。
「私は、前を見つめ続ける人間が好きだ」
「ティファに・・・あやまらなくちゃ」
 クラウドは身を起こした。
「守ってあげなくちゃ・・・約束したのに・・・俺」
「そうだクラウド・・・それでいい」
「でも・・・ヴィンセントのことも・・・たぶん忘れられない」
「・・・」
「・・・もう一度・・・抱いてくれる?俺・・・吹雪がやんだら、ニブルヘイムに帰るから・・・そしたら忘れるから」
「いいとも・・・お前の気がすむまで抱いてあげよう」
 その時・・・
 バタン、とドアが開いて、猛然と吹雪が舞い込んできた。
 さすがにルードとレノもタヌキをやめて、身を起こした。
「!」
『許さない・・・クラウドは、わたしのものだ』
 吹雪の中に、確かに声がした・・・。
「セフィ・・・?!」
「・・・違う、クラウド・・・セフィロスじゃない。何かべつの・・・妖怪だ!」




 はあ、書いてるうちに気がおさまってきた。次回、タークスと妖怪の対決編・・・かな?
 読者さまには恒例の、愛と感謝のチュッ☆


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