Some 16years ago 2


投稿者 あつし 日時 1997 年 9 月 28 日 19:05:24:

前回の「Some 16years ago」の続きです!!
「Some 16years ago 2」です。(なんて安易な・・・。)
ここの人たち、みんなLV高いですね・・・。俺なんかが書いてて良いんだろーか;;



甘い声。まだ成長しきっていない細い手足。吐息。長い銀髪。
マリンブルーの瞳。どこか女性的な顔立ち。流れ落ちてゆく、汗・・・涙?
触れる手と手。からむ視線。・・・その感覚は、今も覚えている。
「愛してる」・・・そんな言葉は結局聞いたのか、聞かなかったのかわからないけれど、私は確かにあのとき、彼の心を感じ、受け止めていた。

「・・・んっ・・・やっ・・やだっ・・あっ・・!!」セフィロスが声を上げる。雲の影から姿を現した月が、暗闇に二人を照らし出す。セフィロスの肌は、ヴィンセントが思っていたよりも、ずっと白くてなめらかだった。力のはいらない手で、ヴィンセントの背中に爪を立てる。二人共判っていた。自分たちは、お互いを慰め合っているのだと。行き場のない想いと、愛されたい気持ち。重ね合わせた唇から、伝わる想い。後にも先にもない、このときを、せめて、このときを・・・。

「・・・!?・・・」
ま、まぶしい。何だこの光は・・・。ここは地下室・・・。・・・ああ、そうか。・・そうだったな。
「・・・おはよう・・?ヴィンセント。」
「ああ。・・・おはよう。」
「ここって、何も食べる物無いんだな。あんたはどうやって生きていたんだ?」
「・・・ずっと・・・眠っていたからな・・・。」
「眠って!?・・・どれだけの間?」
「・・おまえが産まれたときから・・・だな。」
「十五年も?!」
「そうだ。」
「・・・信じられない・・・。そんな長い間、一人で眠り続けるなんて・・・。」
「そうでもないさ。“そんな長い間”おまえは生きて、孤独を感じてきたんだ。その方が辛い。」
「そんなこと・・・んっ・・・」
優しいキス。起き抜けの渇いた唇を、甘い感覚が潤してゆく。朝食を食べに行こう、と、ヴィンセントは立ち上がった。服を着て、部屋を出る。ふと振り向くと、セフィロスが険しい顔をして、窓の外を見ていた。
「・・・どうした?セフィロス。」
「・・・あいつが・・・」
「?」
「宝条が来た・・・!!」
「なっ・・・何故ここに?!」
言って、ヴィンセントは窓に駆け寄った。見下ろした町の風景に、似つかわしくない物が目にはいる。十五人ほどの新羅の兵士。そして、白衣をまとった男。
「・・・宝条・・・!!」

「逃げよう!!」
冷たい指が腕に絡まる。
「もう・・・もう、あいつの所には、帰りたくない!!」
細かいふるえが伝わってくる。
「・・・どこへ?外へ出れば捕まるぞ。」
心の内を見せまいと、あえて冷たく、ヴィンセントは言い放った。
「とにかく・・・・・地下室に隠れるんだ!あんな所に入ってくる奴は、そうそう居ないだろう?」
「セフィロス」
「行こう!ヴィンセント!!」
「・・・セフィロス!!」
「・・・・何・・・・」
悲しみをたたえた瞳を見つめ返しながら、ヴィンセントは言った。
「見つからないわけがないんだよ・・・セフィロス。ここはあいつの研究所だったのだから。
「・・・そんなっ・・・ッ」
長い沈黙が続く。不意にその沈黙を破って大きな音が響いた。一階でドアが開けられたのだ。階段を上る足音がして、ドアが開いた。そこに立っていたのは、他の誰でもない、宝条、であった。
「やはりここに来ていたか、セフィロス。よりによってそんな男と一緒にいたとはな・・・。さあ、こっちへ来い。帰るんだ。」
「嫌だ。もう帰りたくない。」
セフィロスは、宝条をにらみつけて、そう言った。
「聞き分けのない・・・やむを得ん。」
言うなり宝条は、白衣の内から、拳銃を取り出した。何のためらいもなく、その指が引き金を引き、その弾丸は・・・

その弾丸は、セフィロスの額へと突き刺さった。
「おやすみ・セフィロス。クックック・・・。よく眠りたまえ・・・。」
口元に笑いを浮かべ、宝条は言った。
「・・・セフィロス!!」
床に崩れ落ちたセフィロスの体をつかみ、ヴィンセントが声を上げる。セフィロスにはもはや意識はなかった。
「・・・宝条・・・貴様という奴はッ・・・」
「なァに・・・死にはしない。ジェノバ細胞が、すぐ再生をはじめ、三日後・・・遅くとも、五日後には彼は目覚めるだろう。・・・君が今そうして生きていられるのも・・・ジェノバ細胞が、体内で自己再生を繰り返しているからだ。・・・・ほう・・・だとすれば、君とセフィロスが一緒にいたのは、リユニオン仮説の立証かもしれんな・・・。」
「・・・貴様・・・ッ研究のためなら自分の息子に銃を向けるのか!!」
「セフィロスはその為だけに産まれてきたのだ・・・。たとえ今のように、頭部を撃ち抜いたとしても簡単には死なん・・・。多少の記憶障害は残るだろうがね・・・。」
言い終わると宝条はヴィンセントに銃口を向けた。
「君も眠りたまえ・・・。」
引き金は引かれ、ヴィンセントは倒れた。薄れゆく意識の中で、セフィロスの手を握りしめた。しかしその手は数十秒の後、無情にも引き離された。

これより十年後、当時十六歳のクラウドという少年とともに、再びセフィロスはニブルヘイムに訪れることとなる。

・・・この風景・・・俺は前にも見たことがあるような気がする・・・。


1997.9X.Atsushi sugisimA.



いかがでしょう??お気に召したでしょうか??
でわ、俺は去ります;;。又!


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