長編だあ!


投稿者 チープサイド 日時 1997 年 9 月 28 日 12:52:13:

長編だあ!!
ガスト×イファルナ書いてみたかったんだあ!!
どんどん続くぞ!!!
かなり長くて、そのうちセフィエア、クラエアも入ってくるぞお!!


 雪が降っている。
「今夜はひどく降りそうですね…。」
窓の外を見ながら、イファルナがテーブルの反対側にいるガストに言った。
「ストーブには灯油を入れたばかりだから、今夜中は炊いておけますよ。」
ガストがコーヒーを飲みながら言った。
神羅と手を切り、アイシクルロッジで二人が同居し始めてから2カ月ほど立つ。
最近は、神羅の者がこの村へくることもなくなり、セトラの末裔であるイファルナには平和な日々が続いた。
でも、とイファルナは思う。最近、私のこの平和で静かな日々を乱す人がいる。
私を毎日ドキドキさせて、もう静かどころじゃない。こうしてそばにいると、まるで赤くなった石炭の上に座っているように、熱くなって落ち着かなくなってしまう。
テーブルの反対側にいるその人を、ちらっと見てみた。相変わらずのんびりとコーヒーをすすっている。
彼にじっと見つめられようものなら、きっと顔中真っ赤になって、心臓が爆発してしまいそうになるだろう。
 ある日、ガストに質問したことがある。人に恋したことってありますか?と。何でそんなことを聞いたのか、そのときは分からなかったけど。
「実は、これまで一度もないんですよ。」
照れ臭いような笑いを浮かべながら、ガストはそう答えた。
「ホント?」
「ええ。これまでずっと勉強と研究ばかりしていて、まるでそういうことを考えなかったんですよ。時々、あの女性きれいだな、なんて事思ったりもしましたけどね。顕微鏡を覗いたとたんに、そんなこと忘れてしまっていました。」
今はどうなのだろう、とイファルナは思う。自分がガスト博士に恋してることは、すぐに分かった。
彼は、私の思いに答えてくれるだろうか?と、いつも考えていた。
「寝室のストーブつけて来ますね。」
ガストがゆっくりと立ち上がった。下のイファルナの寝室に歩いて行く。なぜかガストは、イファルナとは寝室を分けているのだ。

「ねえイファルナさん、一緒に散歩しませんか?」
次の日、ガストはイファルナを誘った。ちょうどセトラに伝わる伝承を、彼女から聞き終わった所だ。
「どうしたんです?」
ちょっと驚いたように、イファルナは聞いた。
「まあ、いいじゃないですか。」
壁にかけてあるイファルナのコートを取り、そっと彼女の肩にかける。
それだけで、イファルナは胸が高鳴ってしまう。ガストのそういう優しい行為が、イファルナの心を最初に捕らえたのだ。
 外は昨夜の雪が止んで、日が出ている。光が雪にキラキラと反射している。
「イファルナさん、私、どうしてもあなたに聞いてもらいたいことがあるんです。」
歩きながらガストが聞いて来た。イファルナの顔をじっと見つめる。
「え…、何ですか…?」
見つめられてドキドキしながら、イファルナが問い返した。
ガストはその先を言うのを、少しためらうようにしてから言った。
「イファルナさん、私はあなたが好きです。…愛しているんです。できることならあなたと----結婚したい。」
イファルナは驚いてガストの顔を見た。一瞬、耳を疑った。
「ほ、本当ですか?博士?」
「ええ。私はあなたのことを心の底から愛しています。だから、あなたの気持ちをどうしても聞きたい。」
「博士----。」
ガストの目をイファルナは見た。嘘いつわりのない光をはなっている。もう、間違いなかった。
「ガスト博士---うれしい……。」
イファルナは、ガストに抱き着いていた。お互いにしっかりと、堅く抱き合う。
”セトラの民に伝わる至上の幸福は、きっと今私が感じているものに違いない…。”
優しいガストの腕に抱かれながら、イファルナはそう思った。
 樹氷が陽光を照り返し、辺りにキラキラと美しい光を撒き散らす中、まるで自然に祝福されているかのように抱き合う二人の姿があった・・。

 その日、村では結婚式が行われた。
同居を初めて4カ月ほど。二人---ガストとイファルナは、もうお互いなしでは生きて行けないほど、深く愛し合っていた。
結婚式のとき、白いドレスに身を包み、顔を赤らめているイファルナをみて、村中の人はささやきあった。
『お似合いだね、あの二人。私は今まであんなに幸せそうな夫婦を見たことないよ。』
『まったくだ。ガストさんは賢くて頼れるし、イファルナさんは美人で優しい。まるで絵に描いたような夫婦だな。』

「ねえ博士、いえ、あなた。大切な事を聞いてもらいたいんだけど、いい?」
結婚してから半年後、イファルナはどこからか帰ってくると、ゴソゴソとストーブをいじっているガストに声をかけた。
「あ、ちょっと待ってもらえますか?このストーブの調子が……。あ、やっぱりここが緩んでる。」
横においてある工具箱に手を伸ばし、工具をひとつ取ってしばらくしてから、やっとガストは顔を上げた。
「あ、ごめんなさい。ストーブの調子が悪いと思っていたら、やっぱり壊れてました。で、何ですか?大切なことって。」
「ね、まずは座りましょうよ。」
二人はいすに腰掛けた。なんだかイファルナの碧の目が、うれしそうに輝いている。顔も少しほほ笑んでいる。何かうれしいことでもあったようだ。
「どうしたんですか?とてもうれしそうだけど。」
ガストの問いかけに、イファルナはうれしそうに、ふふっと笑う。
「実は、子供、できたの。」
「え?」
「私とあなたの子供。3カ月だって。」
ガストの顔が、驚きから見る見る笑顔に変わっていく。満面の笑顔だ。
「ほ、ホントですか!?あ、あなたと、わ、私の、こ、子供!子供ができたんですね!!いやっほう!!」
まるで子供のように、ガストははしゃいだ。うれしそうに部屋中を駆け回ると、今度はイファルナの頬に何度もキスをする。
なんだかめちゃくちゃな踊りを踊るような感じで、部屋中を飛び回る。そしてイファルナを抱き上げて、ギュッと抱き締め、またキスをし、イファルナを胸に抱えたまま、部屋中をまた飛び回る。
「もうあなたったら。子供みたい。」
興奮の収まったガストの手から、イファルナは床におりながら笑顔で言った。
ちょっと照れ臭そうにガストが笑う。
「でも、あなたのそんなところが私は好き。」
ますますガストは照れてしまったようだ。ちょっと赤くなっている。
「ね、あなたは男の子と女の子、どっちがいい?」
「私はどっちでもいいんですよ。あなたみたいに優しい子であれば。」
「私は---女の子がいいな。人の気持ちがよく分かる、いつまでも優しさを忘れないような---。」
「あなたの子だから、間違いありませんよ。楽しみだなあ、かわいいだろうなあ。」
「生まれるのはまだ7カ月も先よ。落ち着いて待ってなきゃ。」
「生物学の新しい発見をしたときよりも興奮してますよ。うれしいなあ。」
そして彼は、そうっとイファルナにキスをした。


と、言うわけで、まだまだ続きます。


[小説リユニオン「改」トップへ]