『再会』 |
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いー加減、ネタが尽きてきました。
今度はいつになりますやら・・・(ToT)
ブーゲンハーゲンと共に忘らるる都に来た一行は、古代種の装置を動かす為の鍵を探しに出た。
手がかりは「日のあたらない場所」。潜水艦を入手し、さっそく海底探検に乗り出していった。
「?・・・どこだろう、ここ」
あちこち移動し、いろんな所で浮上しているうち、山に囲まれた湖にたどり着いた。見ると、滝の裏側に洞窟が見える。何があるかわからないので、クラウド、バレット、ヴィンセントの3人が様子を見に入る。が、すぐにクラウドとバレットは洞窟を出て、ヴィンセントが出てくるのを待った。
30分ほどして、ヴィンセントが出てきた。物問いたげな2人の視線をかわし、潜水艦に乗り込む。
「ヴィンセント・・・?」
「・・・私の、昔の、知り合いだ・・・」
歯を食いしばるようにして、言葉を紡ぎ出す。そして、彼は黙り込んだ。
そのまま黙り込んだヴィンセントは、宿につくとすぐに部屋に篭ってしまった。ユフィやティファが食事を勧めに来ても、出てこない。仕方ないので先に食事を済ませ、彼の分の食事を盆にのせ、ユフィが運び込む。だが、「まかせて〜!」とはりきっていたユフィも、すぐにしょんぼりと部屋を出てきたため、一行はそのまま部屋に引き上げた。
かすかなノックの音で、シドは飛び起きた。どうやら、夜中を過ぎたところらしい。
「・・・誰だ」
「・・・シド・・・」
すぐにドアを開け、不意の訪問者を中に入れる。
「どうした?」
ヴィンセントは、すぐには口を開こうとしなかった。そんな彼をソファに座らせ、グラスを取り出し酒をつぐ。ヴィンセントはグラスを弄びながら、しばらく呼吸を整えていた。
「・・・彼女に・・・ルクレツィアに・・・会った・・・」
シドの手から、グラスが落ちそうになる。
「!・・・自殺したんじゃ・・・?」
「・・・ジェノバ細胞が・・・死なせてくれない、と・・・」
ルクレツィアのことは、聞いていた。あのセフィロスの母親であり、かつてヴィンセントが彼女を愛したことも。
その彼女の話では、ジェノバ細胞を体内に移植したために、死ぬに死ねない身体になったのだという。それだけでなく、年もとっていない。実験の時から30年近く過ぎているはずである。
不老不死。
人類が永遠に求めて止まないものを手にした彼女。
しかし、ルクレツィアは死を望んでいた。その彼女に、死ぬことを思いとどまらせるような言葉を、ヴィンセントは口に出来なかった。
紅い瞳から、涙が一粒転がり落ちる。シドの指が、そっと涙を拭う。
「シド・・・!」
一気にグラスを空け、ヴィンセントがシドの唇をむさぼる。だが、シドは動こうとしない。
「・・・ダメだ、ヴィンセント。」
そっとヴィンセントの身体を離し、優しく、そしてきっぱりとシドが言う。
「今のおめぇさんを抱いても・・・癒しにはならねえ。かえって苦しくなるだけだ。」
「シド!」
「・・・泣けよ。好きなだけ泣きゃあいい。そっちの方が、楽になるはずだぜ。」
そうして、優しく抱きしめ、背中を軽くたたく。その動作に、堰が切れたように激しく泣き出すヴィンセント。シドはずっと、ヴィンセントが泣き止むまで抱きしめていた。
「・・・少しは落ち着いたか?」
ヴィンセントが泣き止んだのは、大分たってからであった。
「・・・ああ。・・・すまなかったな。」
そう言って、かすかに微笑む。
「もう寝ろよ。」
「そう・・・だな。」
酒が回ってきたのか、ふらふらと歩き出すヴィンセントを見て、慌ててシドが付きそう。
「・・・ったく、しょうがねー野郎だな」
そのままヴィンセントの部屋まで行き、ベッドに入ったのを見届ける。
「・・・じゃあな、おやすみ。」
「シド・・・、居てくれ」
その、切なげな声とすがるような瞳に、シドは動けなくなる。だが、このままヴィンセントを一人にしておくのが気になっていたのも事実だ。枕元に椅子を持ってきて、どっかりと座り込む。
「・・・少しだけだぞ。」
煙草をくわえ、照れくさそうにそっぽを向くシドに、ヴィンセントは安心したような表情を浮かべた。その表情を浮かべたまま、眠りにつく。
無防備な寝顔を見つめ、しばらく煙草をくゆらせる。その儚げな寝顔に、愛しさがこみ上げる。次の煙草に火を付けようとし、思い直して煙草をしまう。
(・・・ホントにあんたからは目が離せねえよ)
長い眠りの間に、”泣く”ということも忘れてしまったのだろう。シドがいなければ、泣くこともせず、ひょっとするとまた長い眠りについてしまったかもしれない。
シドにとって、今更ヴィンセントを失うのは耐え難くなっていた。ヴィンセントの笑顔が見られなくなるのもいやだった。
(・・・いい夢を見ろよ。)
規則正しい呼吸を聞きながら、シドはそっと部屋を出ていった。