「Some 16 years ago」


投稿者 あつし 日時 1997 年 9 月 21 日 13:08:00:

・・・とーとー描いてしまったっす。俺も重傷かな;;
初投稿です。下手な文ですみませんー;;
題名は、「Some 16 years ago」です。



名前を尋ねると、その少年はこういった。「・・・セフィロス。・・・あんたがヴィンセントか?」そうだ、と答えると彼は、私の顔をのぞき込んで言った。「目が赤い・・・ジェノバの影響だろう?・・・あんたもやはりあいつに遊ばれたクチか?」・・・と。(あんた も とは?)聞き返そうとして、私はやめた。彼のマリンブルーの目は、明らかに魔光を浴びた色だった。<「こう」っていうじ・・・無い・・・;;> "あいつ"が宝条を指していることは、容易に想像がついたし、セフィロスはそのために生まれてきたのだ。放っておかれることなど、有るわけがなかった。
地下室での二人の出会いはあまりに自然で、かえって不自然な程だった。(リユニオン仮説の立証だったのだろうが)あれは16年ほど前・・・

「何故ここがわかった?」棺桶の中から立ち上がりながら、ヴィンセントは口を開いた。「・・・なんとなく。」答えにならない返事を返して、セフィロスは少し笑った。背中までもある銀髪が揺れる。まだその顔立ちには幼さが見られる。15、6歳だろう。あまり父親似ではないな、とヴィンセントは考えていた。眠っている間に、赤ん坊だったセフィロスが少年へと成長し、自分の前に再び現れたのだ。ヴィンセントは複雑な気持ちだった。特に話題もなく時間が過ぎる。居心地の悪い空気が不意にかるくなった。「少し外に出てみないか?・・・ずっとここに居たんだろう?」セフィロスの問いかけに答える代わりに、ヴィンセント出口へと歩を進めた。十数年の間に伸びてしまった髪をうっとうしそうにかき上げながら。

きいぃ音を立てて門を開けると最後に見たときとあまり変わらない風景がヴィンセントを迎えた。散歩、と称してニブル山の方へと足をのばした。澄んだ空気はかえって息苦しく感じる。夏の陽気や陽射しはまぶしすぎる、とヴィンセント目を細めた。それを聞き流しながら、セフィロスはただ黙ったままとなりを歩いている。ここへ来て初めてヴィンセントは気づいた。セフィロスは、似ている。ちょっとした仕草や、つり目がちな目元も、凛として歩く足取りや、背のラインも、彼の母親であるルクレッツィアに、似ている。
瞬間、鼓動が早くなった。さび付いていた感情がよみがえる。それは忘れようもない気持ちであると同時に、この少年に対して、抱いてはいけない物だった。

・・・気づかなければ良かった、とヴィンセントは少し反省した。また地下室について戻ってきてしまったセフィロスを見ると、思わずため息が漏れる。まだ外は明るいとはいえ、一筋の光も届かない地下室では、夜と何ら代わりはなかった。
時間とともに、気持ちがはやる。何とか落ち着こうと、ヴィンセントは目を閉じた。
セフィロスはしばらくうつむいて考えていた。帰れば又、宝条につきあわされて、実験を繰り返すのだろう。父親であるはずの宝条が、自分のことを、"材料"としか見ていないことに気づいた頃から、すべては憂鬱になっていった。周りには、 父親 と同じような考えを持った大人しか居なかった。自分は、帰りたくないのだ、と言ったところで、自分の居場所はほかになかった。だからこれからどこへ行こう、と考えていた。
長い沈黙が続いた。
「ずっと、寂しかった。誰にも愛されず、誰も 俺自身 を見ようとしなかった。俺はいつも特別で、俺はいつも一人で、・・・・もういやなんだ・・・どこにも俺の居場所はない。・・・どこにも・・・!」そういってセフィロスは、ヴィンセントの背に抱きついた。ヴィンセントは驚いて硬直したまま、ただ立っていた。「・・・帰りたくない・・・。ここに・・・居たい・・・。」「・・・ここに・・・?」セフィロスは少し離れて言った。「・・・あんたと・・・いっしょに。」今度はヴィンセントがセフィロスを抱きしめた。細い顎に手を添えて、キスをする。少しからだを強ばらせて、セフィロスはじっとしていた。「・・・上へ行こう、セフィロス。」「上へ?」「そうだ。」そういって二人は二階にあるベッドルームへ移動した。
いつのまにか、日は沈んでいた。

暗闇に、ベッドのきしむ音だけが響く。

次の日何が起こるかと言うことなどということは、このときの二人にはどうでも良かった。

「ときはなたれたい」  「今だけでも。」

刹那的時間に、愛と存在価値を求めて。

1997.9X.A.SugisimA



実は、この話、まだ続くんですが・・・;;それは又今度・・・。おじゃましました!!

[小説リユニオン「改」トップへ]