「検察捜査」3章


投稿者 京都太郎 日時 1997 年 9 月 14 日 15:02:17:

前回までのあらすじ
神羅カンパニーの営業部長セフィロス、部下のエアリス、クラウドは大手総会屋のルーファスに不正な金、暗号名『チョコレート』を渡していた。ところが内密に行われていたはずのそれに、検察が入ってしまう。セフィロスはクラウドに、検察に密告した人間を探すように要請、エアリスとともに調査を開始する・・・
これってちゃんと完結するんでしょうか・・



地検の建物に窓が無いのは、狙撃を防ぐためだとか、いろいろ噂があった。しかし本当の理由は、特捜部員のヴィンセントもシドも、全く知らなかった。
ここはミッドガル地検10階特捜部。
その一角、106号取調室。
「なぁ、本当の事はいちまえよ」
捜査官シドは煙草をふかしながら、机を挟んで向かい合っている相手をにらんだ。
「本当の事を言ってるでしょう。僕は神羅カンパニーから金なんて貰ってませんよ」
相手の男は、髪をバサッとかき上げながら言った。白の服が良く似合う彼は、ルーファスという。表向きは不動産業、しかし裏では、大物総会屋という、別の顔も持っている。
「あのなぁ、検察にタレコミがあったんだよ。お前と神羅カンパニーに不正な金が行き来している、ってな。え? どうなんだ!」
シドは机をドンと叩いた。灰皿が揺れる。
「刑事さん、口には気をつけないと・・」
「うるせぇ! 俺はこういう口の聞き方なんだ! それにな、刑事じゃなくて捜査官だっ!」
声を荒げるシドに、ルーファスはまた髪をかきあげため息を吐いた。
ーーばれるはず無い、そういう余裕がルーファスにはあった。
しばらくして、扉が開かれ、シドがなにやら話し合った。
「なんだと?!」
シドが大声を出す。
「・・・分かったよ」
シドが戻ってきた。
「ルーファス、釈放だ」
「やっと事実を認めてもらえたんですね」
「け! 何が証拠不充分だ! いいか、俺は何と言おうとお前の化けの皮はがしてやるからな!」
勢いあまって、鉄の扉を蹴飛ばした。
・・・ルーファスはへこんだ扉を見て、苦笑した。

「エアリスさん、このコーヒー苦いっすね」
「あら、苦いからコーヒーよ」
「でも少しは甘くないと・・」
「まだまだね、クラウド」
エアリスとクラウドは、コーヒーショップ「讃岐屋」のオープンテラスでゆっくりとコーヒーを飲んでいた。
エアリスがゆとりの表情でブラックを飲むのに対し、クラウドは砂糖を3杯も入れ、それでも苦さにてこずっていた・・。
「来たわよ」
エアリスが言う。オープンテラスから見える地検の玄関から、白い服の男が髪をかき上げながら出て来るのが見える。
「彼が一応不動産業、ルーファスよ」
「はぁ・・はじめて見ますよ、俺」
「私もよ。紳士録で昨日はじめて見たの」
なにせ、会社からルーファスに『チョコレート』を渡すのはちょっとばかり方法がややこしい。
社内Eメールで、セフィロス部長がエアリスに指示をする。エアリスは金を操作して、銀行にアクセスしルーファスの口座に金を入れる。
そしてエアリスがクラウドに社内Eメールで知らせ、クラウドは銀行にアクセスし、ちゃんと口座に移ったかを確認するのだ。
だから、ルーファスと直接面識があるのは、セフィロス部長だけなのだ。
ルーファスは横断歩道を渡り、オープンテラスの方に近づいて来る。
「すみません、チョコレートパフェ3つ、追加で」
エアリスは突然大きな声で、店内のウエイトレスに注文した。
ルーファスが足を止め、こちらを見る。
「・・チョコレート?」
ルーファスの冷たい視線が二人を見つめる。
「ルーファスさん、私たち神羅のものです。お伺いしたい事があるんです。この先の角に水色の車がありますから、そちらで待っていて下さい」
エアリスはルーファスに向かって言い、今度はクラウドに
「行くわよ」
「え? だってまだコーヒーが」
「いいから」
「それにチョコレートパフェだって・・」
「さ、早く早く!」
エアリスはとっとと店内のレジへ行き、清算しだした。クラウドが慌ててエアリスを追う。



ええっと、ナントカ難産の末、第3章出来ました。総会屋ルーファスはいかがでしたか?
もっとワルに描けばよかったなぁ、と思います。でも、これで許してね!
さて、第4章にもルーファスが登場する予定ですが、幾分予定は未定なもので・・・
読んで下さって、どーもありがとう!

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