リミット微妙なヴィンクラ


投稿者 会長、実は帰ってきてます!のあゆ(大馬鹿者) 日時 1997 年 9 月 10 日 23:23:34:

お久しぶりです。ちょっと幸せになりたかったので久々に文章書いてみました。
結果はヴィンの一人よがりな幸せな、リミットレベルまたまた0・・・OR1・・おや?
現在殆ど読み専で書込みしてませんが、一応遊びに来てるんだよーーー。
しのぶさんじゃないけど、忘れられそうなので、ちと足跡ならぬお目汚しを・・・ありゃりゃ。
セフィがらみのヴィンクラ誰か書いて・・・。
(でも第一希望は相も変わらぬザックラ・・・)


最初に目に焼き付いたイメージは、蒼穹の下、風に流れる一面の金色だった。
どこまでも無垢で素直な、濁りない光のオーラ。
態度と裏腹なそのイメージに切ないものを感じたら、離れられなくなった。
その青年は彼が同行を申し出たとき、なんとも奇妙な顔をした。
感情を隠さないその仕種に久々の笑みが戻るのを感じ、彼は冷たく閉ざしていた心が水を吸い込む様に柔らかくほころんでいくのを知った。

守りたいと思った。

守れなかった過去を繰り返す痛みを恐れるよりも先に、愛しさが募った。

それが彼の、青年との出会い。
・・・そして、長い、戦いへの出発点だった。

どれだけ嗅いでも生理的に馴れない、錆臭い匂いが暗闇に充満する。
モンスターの体液と自らの血に濡れた巨大な剣を大地に刺し、クラウドは肩で息をしていた。
華奢な身体に何故この大剣を選んだのか疑問に思うほど、その姿が痛々しい。
裂かれた肌から流れ出る血液が、綺麗に赤い。
息切れに上下する胸を押さえながら、それでもその目は暗闇の先を睨んでいた。
「・・・・なんで付いてきたんだ、ヴィンセント。」
意図して押さえた声が静かに問う。
答えず、クラウドの横に並ぶとその手がポウッっと白く光り、ケアルが発動する。
振り返り、それを見つめるクラウドの視線がふいっと上がって真っ正面からヴィンセントを見つめた。
「これは私闘だ。セフィロスが俺を選んで追わせようとしている。俺はそれを受けて立った。こんな戦いにあんた等が同行する事はない。」
言い放つ口調はまるで他人事。反らした目は一度離した暗闇に戻り、ひたと睨みつける。
「正義より、世界より、俺はセフィロスとの私闘を選んだ。そんな奴、さっさと見捨てて早くジュノンへ向かってくれ。」
「・・・まるで世界に味方は要らないといっているようだな。」
溢れる鮮やかな血の流れが止まったのを確認して放した手をさっと差し出し、クラウドを背後から抱きしめた。
「何するんだ!」
驚愕してもがく様が小鳥に似ている・・・云ったら怒るだろうか。思ったより骨格の細い体はしなやかに柔らかく、願望に耐え切れず、その柔らかな髪の中に顔を埋める。
「ヴィンセント!」
「お前がセフィロスを選んだように、私もお前を選んで付いてきた。だから、お前に拒否権はないと思うが・・・?」
「え・・・?」
動きが止まり、クラウドの何処までも蒼い目が見上げてくる。
「今更私には星の命も何も関係ない。存在しないことを選び眠り続けてきたのだ。この私こそ、正義や世界など無縁の事。・・・私が今、ここにいるのは・・・お前を護りたいからだ。」
血の通った右の手で、クラウドの鼓動を確かめるように胸を抱く。
「ある意味、私は既に死んでいた。その私に息を吹き返らせたのはお前だ・・・」
言葉が終わるや否や、ガントレットの左腕が力いっぱいクラウドの腰を抱き寄せた。
「痛っ・・!ヴィンっ!」
骨が軋む。
思わず赤いマントの流れる肩に金髪を散らして仰け反るその胸を、抱いていた右の手が滑って顎を優しく包み込む。 愛し気に頬に触れてくる唇が熱を持って熱い。
抱きしめられた腰が痺れて崩れるのを軽々と支えてヴィンセントはクラウドを覗き込んだ。
「お前を護るためだけに捨てた世界に戻って血を浴びている。今はお前だけが私の存在意義だ。」
「・・・・馬鹿か、お前は・・・」
苦しい息の下、吐息のように漏れる声にヴィンセントの微笑みが深くなる。
「そうでもないさ・・・お前のその魔晄の瞳が喜びや、怒り・・・感情に輝く様を見ていることが嬉しいんだから、仕方が無い。そうして走るお前を背後から転ばぬように護る権利が欲しいだけだ。」
我慢しきれず倒れ込んだ腕の中に大切そうに抱き込まれ、くすぐったさにさっとクラウドの頬に朱が走る。
「こうして抱きしめる権利を許してくれるなら、私は命なんか要らないんだよ。・・・お前がセフィロスだけを見つめ、追い続けても構わない。・・・ただ、走り続ける中、たまにはその眼で私の方を見て欲しい・・・願いはそれだけだ。」
そして、主に忠誠を誓う騎士のように、クラウドの手の甲に口付ける。
「今の私に過去は必要ない。お前がいて、この温もりをこの手で感じることが出来るなら・・・世界なんて、いらない・・・・・」
望むものは金色を纏った、1対の蒼の宝石だけ。
その魔晄の透明な輝きごとこの存在を離したくない・・・触れていたい。
腕の中のクラウドの、意外に細い腕が胸に巻き付いている腕にそっと触れて、抱きしめる。
「そんな価値・・・・俺には・・・ないよ・・・・」
消えるような声に微かな震え。
「・・・人の価値は、本人が決める物じゃない、クラウド・・・。」
誰にも見せたことの無い至上の笑みで、堅く抱きしめる。
「私には・・・・お前が全てだ・・・・・」
その命、その吐息、その鼓動。
何も要らない。
幸せなんてものさえ、この命に比べたら取るに足りない。

風の音にも消えそうな声で、ヴィンセントはそっと、クラウドに囁いた。

この感情の示すところの、一つの”契約”となる言葉を・・・・・・。



どんなに深く憧れ、どんなに強く求めても、青を手にすることは出来ない。
すくえば海は淡く濁った塩水に変わり、近づけば空はどこまでも透き通る。
人魂もまた青く燃え上がるのではなかったか。青は遠い色。

漠としてかすむ遠景へと歩み入り、形見として持ち帰ることのできるのは、おそらく一茎のわすれなぐさだけ、だがそれを見つめて人は、忘れてはならぬものすら忘れ果てる。己がからだのうちにひそむ、とこしえの青ゆえに。

それでもこの蒼を今は抱きしめていたい。

何よりも大切な、魅せられてやまないこの蒼を・・・・・・。



いきなり谷川俊太郎ですか・・・(好きなんです・・・笑。)
そしていきなりな、危ないヴィンセントの純愛や如何に?
久々でこれかあ!って怒んないでね。てへ。

うりさん、この間はTEL有り難うです!
このとおり、復活しました!(大笑)
また遊ぼうね。ふふふ。


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